1982(昭和57)年、榛名山の噴火で吹き出された軽石にすっぽり埋まってしまった1500年前の村が発見され、「日本のポンペイ」として全国的に大きな話題となったのが渋川市の黒井峯遺跡です。竪穴式住居のほか、壁をめぐらして屋根をかけた平地式の住居や倉庫、家畜小屋のほか、建物を取り巻く垣根や道、そして苗代、祭りを行った跡も発見されました。伊香保温泉を麓に有する榛名山の二ツ岳は6世紀初めと半ばの2回大規模な噴火を起こし、周辺の村に被害を与えました。黒井峯遺跡が壊滅的な被害を受けたのは、6世紀半ばの噴火であり、軽石が2mほどつもり、竪穴式住居からは噴火物の熱さで2人が亡くなったことも確認されました。今は、遺跡は埋め戻され、見晴らしのいい丘陵は一面の蒟蒻畑で、約10km離れた榛名山が一望できました。噴火時は当時の人々が自然の恐ろしさに動揺しながらも、なすすべがなかったのだろうと遙か昔を忍ぶことができました。古代の村の復元の計画もあるそうで、往事の姿の復元により、現代の災害への対処法の一助になることが望まれます。
黒井峯遺跡。遺跡は地下に眠っています。
噴火時の様子
発掘時の様子。田畑、畦や住居跡など多くの痕跡は見つかりました。
遠くに見える榛名山。噴火時は軽石などが遺跡を埋め尽くし、その熱さで多くの人が命を落としました。