安倍首相らは、平和憲法は「GHQによって押し付けられた物」 であり、日本人自身の手により新憲法を制定しなければ、敗戦国家のままだと真面目に主張しています。
(自民党が若者に配布した漫画「ほのぼの一家の憲法改正ってなあに」から)
しかし、平和憲法だけではありません。民主主義もGHQによってもたらされたのです。そして、日本は、平和憲法も民主主義とともに受け入れたのが戦後平和の出発点です。それを自らのものとして守り発展させ、実現させようとしてきた、日本の平和主義の歴史は、もう既に70年近くもあります。P
その戦後平和の存在を根底から否定するべく「戦後レジームからの脱却」を公言して再登場した安倍首相でしたが、第二次安倍内閣は、2012年衆院選、2013年参院選、2014年衆院選で議席数を伸ばし、衆議院単独での法案の再可決や憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を上回る与党議席を衆議院で遂に確保してしまいました。2014年衆院選での有権者に占める自民の得票割合は25%しかなく有権者の75%は自民を選んだわけでもないのに小選挙区のマジックで小選挙区の76%の議席を自民が占めてしまったとも言われますが、2012年には70%近くの支持率があり、以降も不支持率より支持率が上回ってきた安倍内閣はアベノミクス期待もあり、基本的には、やはり人気があったのです。
しかし、その安倍内閣の支持率にも、ようやく政権末期の翳りがおとづれたようです。アベノミクスが生活費高騰の生活苦を民衆に与える一方で、年金積み立て金も株式市場につぎ込んで、株所持者だけがぼろ儲けしている現実に気づいてきたのでしょか? 株所持者も株バルブが行き着く先は上海の株バブル崩壊のような悲劇であることを危惧し始めたのでしょうか?? 安倍政権発足翌年だけで1.5倍に自民党献金を増やしたしたゼネコンに配慮とか談合疑惑にもゆれ当初予算より900億円以上も膨らませて基本契約しようとする新国立競技場の建設費は、もうギリシャより悪くしてしまった日本の国家財政では財源の目処さえもたたない現実に気づき始めたのでしょうか???
7月6日の毎日新聞報道で発表された全国世論調査では、2012年12月の第2次安倍内閣発足後初めて、支持と不支持の率が逆転しました。また、9割の憲法学者が「憲法9条違反」と指摘している安全保障関連法案については、過半数の52%が「憲法違反だと思う」と答え、「思わない」は29%で、国民への説明が「不十分だ」との回答が81%に上り、今国会での法案成立の方針に61%が「反対」、「賛成」は28%でした。
また、憲法学者の9割が憲法違反とする法律を、さらに(与党だけでないにしても)強行採決することも厭わないと言う民意も憲法も無視の態度ですから、安倍内閣発足時の口実としていた議員定数の不平等に対して最高裁が下した違憲状態であるという判決についても、安倍内閣は未だに放置をしたままです。本来は内閣自体も違憲無効とも言える政治体制なのですが、来年の参院選以降、18歳以上が初めて投票する選挙でも定数は小手先の是正しかしない様子です。むしろ、参議院の与党議席の増加も予想し憲法改正の発議を実施して国民投票を行う意思で、その下準備のため若者対策の漫画配布だったようです。
週刊現代に、安倍首相は記者との「オフ懇」で「安保法制は南中国海の中国が狙い」と述べ、「中国との戦争を計画」していることを認め、米軍と共に「南中国海の中国を叩かなければならない」と発言したことが暴露されていますが??
あくまでオフ懇の酒によった話として安倍政権は真偽についてのコメントを控えました。そして、菅義偉官房長官は6月30日の記者会見で、安保関連法案は「特定の国に向けられたものではない」と述べました。しかし、安倍首相に限らず保守メディアの主張では、暗に、直に中国や北朝鮮の存在が自衛隊増強や安保法制の口実とされ仮想敵国ともされていることは、日本では周知の事実であり、それが安倍首相の本音だとしても驚くには値しません。
「日本の週刊現代によると、日本の安倍晋三首相は6月初めの各メディアトップとの非公開の会談で、飲酒後に驚くべき発言をし、安保法制改革は南中国海の中国を念頭に置いたもので、日本は確かに中国との「戦争」を計画しており、集団的自衛権を行使して米軍とともに南中国海で中国を「叩く」必要があると妄言を吐いた。」人民網日本語版は、安倍の野望、日本の悪夢と見出しをつけて安倍首相の暴言を報道しました。
安倍政権は最終的に何を目指すのでしょうか?
それは、各方面で、何度も語られています。それは祖父の岸信介の悲願でもあった自主憲法制定と言う名の「憲法改悪」であり「自衛隊を軍隊に変え」るなど、まるで戦前の富国強兵の(美しい?)日本を取り戻すことのようです。
その目的のための独裁的手法の選択のようです・・安倍首相には、民意の存在もそれを基本にした民主主義も立憲政治の基本たる憲法遵守なども眼中には全くなく、戦後レジーム(体制)や戦後日本の平和主義の存在、その全てを否定する偏狭な意思しかないように見えます。
ヒトラーが経済政策や派手なパーフォーマンスを使った点や反復・断言の洗脳的攻撃的な語り口や自分への批判を許さなかった性格や無知で、無教養で、詭弁ばかりの偏狭なナショナリストであった点や独裁的手法などが、安倍首相と似ているという旨の発言は従来多くありますが、少し大げさです。一番の共通点は、むしろ安倍首相に限らず、その取り巻きに共通する点なのですが、「敗戦国家」を屈辱と感じている心にあるのだと思います。第一次世界大戦で敗戦国家となり非武装国家とされたドイツでは、民衆に屈辱の群集心理が煽られ妄想的な国粋民族主義が煽られ、他民族(ユダヤ人)を排斥し、仮想敵として共産主義が掲げられました。ヒトラーが当時目の前に手の出せない国が、集団的自衛権の行使を否定してきた歴史をもつスイスでした。日本では誤解されていますが、徴兵はあるもののスイスの軍事費は2011年統計でも世界37位の軍事小国で核も所有しません。しかし現在でも集団的自衛権の行使を否定する永世中立国のスイスを敵に回す国はないのです。敗戦後の一時期、日本は東洋のスイスを目指していた国のはずでした。
安倍首相が否定しているのは、実は、日本国内の民意だけではありません。
7月10日の報道によると、日本外務省は、今後「在外公館等を通して日本の正当性を各国に説明していく予定」を明らかにしました。日本はユネスコ世界遺産委員会の席上で、戦時期に朝鮮半島から徴用された労働者が「“自己の意思に反して”(against their will)動員され“強制的に労働”(forced to work)させられたことがあった」と明確に主張したのですが、今回の韓国報道で、 日本が当時、強制労働動員したことを戦後認めて認めたとの事実から、日本が1932年に批准していた国際労働機構(ILO)の「強制労働に関する協約」に違反したこと抵触しかねない事実に気づいたのだそうです。そのため、 日本はこの問題が朝鮮人強制動員被害者の個人請求権を巡る韓国の法的攻防に今後影響を及ぼす可能性を憂慮しているからなのだそうです。しかし、安倍首相も、修正後の「forced to work」については「当時、国民徴用令により徴用された。国内でもそのような人がいた。(徴用とは)意思に反してなされるもの」との認識を話して、一応納得していたはずのですが・・・・・。なお、今回の世界遺産登録にあたって、日本は情報センターを設立して歴史をきちんと説明することもユネスコから義務づけられています。しかし、その国際公約をも否定する様子です。
しかし、事実関係は、そもそも違ったようです、公約通り韓国は明治の産業遺産の世界遺産登録に一切反対もしませんでした。韓国は逆に賛成の意見陳述をする予定でした。ところが、日本が韓国の賛同の陳述の予定稿に「forced labor」(強制労働)という表現があることを問題視した安倍首相の意向があり「表現を変えるように」急遽迫って、現場が紛糾し「forced to work」に決着したのだそうです。それは、4月のアメリカ訪問時にワシントンポストのインタビューで、安倍首相が慰安婦について聞かれ「human trafficking」という表現を使って、アメリカ向けには強制連行を認めるようなポーズをとりながら、日本国内向けには「人身売買」だから韓国側の責任であるのようなダブルスタンダードの詭弁外交の結果でもあったようです。日本の『週刊現代』の6月の報道で、安倍首相は6月初旬にメディア関係者を含めた懇親会で「慰安婦問題は3億円あれば解決できる」と侮辱発言をしていたことも暴かれ、改めて反感も呼んだ様子です。
外交と言えば、ロシア中部ウファで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議の記者会見で、中国の程国平外務次官は7月10日に、北京で9月3日に開かれる抗日戦争勝利記念行事に、安倍首相を正式に招待したと公表しました。6月上旬ごろに正式に招待したのだそうです。正式公表した背景には、安倍政権から訪中の意向の内打診があったのでしょうか??9月3日といえば、まだ会期延長された衆議院の会期末の時期で、自民党は総裁の任期切れに伴い9月25日に安倍首相を再任する意向とも言われています。
おそらく、その頃、安倍首相の取り巻きは、また靖国参拝し、安倍首相は失望の70年の個人談話を発表する一方で、さらに低迷する支持率を外交で回復するつもりなのでしょうか???。(ウルトラナショナリストの安倍首相ですから、本音では抗日戦争勝利記念行事など、招待の受け取りさえ拒否したかったのではないでしょうか??P)