熊本地震災害時には、NHKなど、各放送局は、「のど自慢」などの番組も休止し、地震関連情報を長時間にわたって放送し、安倍首相が地震当日の夕方に収録した(フジテレビにゲスト出演した情報バラエティー番組)「ワイドナショー」も、特番に代わり被災地の状況を伝えました。やはり災害時にふざけた番組報道は、不謹慎だとのそしりも意識して、報道自粛が行き渡っている様子です。
そして、バラエティ出演の放映は取り合えずカットされた安倍首相ですが、その他の行動においても不謹慎だとの怒りがネット等で広がりました。
一つの批判は、4月14日に熊本地震発生から1時間後の安倍総理ツイッターのツイートが、熊本震災を取り上げず、福島を訪問した際の自身パーフォーマンス宣伝であったことに苦情が殺到した様子です。
もう一つの批判は、安倍首相が4月14日の熊本地震当日の夕方に、出演情報バラエティー番組「ワイドナショー」の収録に臨んだ、その夜に、酒を伴う会食中に熊本の地震が起こりました。そのせいでしかたなかったのかもしれませんが、地震後にテレビ報道された安倍首相の顔が、まだ赤かったので、不謹慎にも飲酒の酔いが抜け気っていないまま会見しているではないかと言う疑惑が生じ批判も殺到しました。
安倍政権は、熊本県の蒲島知事が「激甚災害の早期指定」を求めたにも係わらず、当初、2000人しか出さず、被害の大きさが報道されて、ようやく増員派兵したとも言われています。また、安倍首相は、政府会合で「(まず熊本の)現場を自らの目で確かめ、被災者の生の声に接し、今後の対策に生かす」と雄弁に主張していたにも係わらず、余震が発生したことから(しかし、余震があってもマスコミ報道陣は、大挙して現地を訪問し被災者を励ましているのが現実ですが・・・結果としては、予定を変更し現地視察を取りやめたのは現場での作業に不用意な負担をかけることを避けれたとの意見もありますが・・)やはり自身の身の安全の方を優先したと言うのは不謹慎な見解ですが、事実として雄弁な先の発言にも反し、早期の現地視察をとりあえず延期しました。
(4월14일 구마모토현 지진에 부산에서도 137건의 지진을 감지했다고 하는 신고의 전화가 있었습니다.)
そして、4月15日夜に、菅官房長官は、記者から「予想もしなかった大きな地震が発生した。早急な緊急事態条項の必要性をお考えか」と水を向けられると、菅長官は「今回のような大規模災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るために、国家、そして国民みずからがどのような役割を果たすべきかを憲法にどのように位置付けていくかということについては、極めて、大切な課題であると思っている」と述べ、不謹慎にも、露骨に憲法改正のキャンペーンに政治利用しました。(熊本地震を引き合いに出して、非常時に首相権限で行政・立法・予算も統括できる戒厳令的な「緊急事態条項」を憲法に盛り込む必要性を主張したのです。)
アメリカ軍の支援の申し出についても、菅官房長官は「動員を拡大し、現地で活動することができるようになり始めているので、自衛隊で対応できる」と当初は否定していたのですが、何故か安倍首相は必要としないとの方針を変更し、4月16日午後になって、中谷元防衛相が「米軍の支援受け入れ検討」を表明しまました。このため、不謹慎にも震災救助をサミットを前にして親米活動のキャンペーンに利用したのではないかとの批判もあるようです。
日本の気象庁は4月16日午前の記者会見で、熊本県の地震移行、震源が熊本、阿蘇、大分へと北東方面に拡大していく今回の地震の誘発・連鎖について「広域的に続けて起きるようなことは思い浮かばない」と述べて、日本の観測史上、例がない事象である可能性を示唆しています。九州の2つの原発への影響は一応ないようですが、九州や四国から本州への断層への誘発・連鎖が進めば、不謹慎な見解かもしれませんが、原発事故のリスクを高める可能性も否定できません。(オリンピック開催を前に海外の風評リスクの払拭も含めて原発脱却宣言を安倍首相に求める声が一部にある様子です。)
そして、活断層の誘発だけでなく、プレート由来の地震誘発への懸念もあるようです。あえて、この時期に不謹慎な意見として、一定の報道自粛もある様子ですが、それでも、安倍首相が伊勢での開催に拘って決まった伊勢志摩サミットの開催地の地震発生リスクについては、テロのリスク以上に、各方面でクローズアップがされてきました。
日本政府の地震調査委員会は、日本の最高峰の知識と技術を酷使し、全国の主な活断層での掘削調査を実施し、今後、想定される地震の規模や30年以内の発生確率などを公表してきました。日本には2千以上の活断層があり、全国どこでも大きな地震が起こる可能性があるのですが、今後の地震発生の最大確率がおおむね3%以上を「高い」、0.1%以上を「やや高い」と調査委は、評価をしており、今回の熊本県の布田川区間の地震発生確率は30年以内では、最大0.9%と評価されていました。全国の主な活断層の中では「やや高い」との評価の区分ではあったのですが、日本全国の約半数の活断層が1%以上の評価ですから、その点では、あまり発生確率が高い方ではなかった地域でした。
一方、5月に開かれる、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の会場となる三重県に決して遠くない場所の南海トラフは、日本政府の地震調査委員会では30年以内の発生確率が、70%程度と評価されています。南海トラフ地震震源地は、活断層ではなくプレートの歪みで約100~200年の間隔で定期的に大地震が発生する場所であり、近年では、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震 (1946年)が発生、昭和東南海地震及び昭和南海地震が起きてから、もう70年近くが経過していることから、地震の発生の可能性が極めて高確率な場所となっています。
しかも、今年の4月1日には、和歌山県で震度4を記録した三重県沖の地震が突然発生しています。(日本政府の地震調査委員会は、南海トラフの巨大地震の想定震源域で起きたと認めたうえで、今後に想定されている巨大地震に繋がる陸側と海側のプレート境界で起きたものではないとしているようですが、和歌山県古座川町で4月1日に震度4を観測した三重県沖の地震は、マグニチュード6・5であり、震源の深さは29キロで、その震源は三重県南東沖であり、この地殻エネルギーが南海トラフの震源に影響していない保障も、いまのところはありません。仮に南海トラフ巨大地震が発生した場合、東北震災同様な巨大津波の被害が想定されています。)