「今こそ憲法改正を! 1万人大会」に安倍首相はビデオメッセージをよせ平和憲法の改悪を煽りましたが、11月11日の参議院予算委員会では「緊急時に国民の安全を守るための国家と国民の役割を憲法に反映させることが重要だ」とも述べ、日本国憲法の平和主義の改悪を目指すことを国会でも露骨に訴え始めました。
しかし、安倍首相は、現行の平和憲法下で首相に就任したはずで、現行憲法の擁護義務さえあるのですが・・・・。そんな立憲主義の基本原則さえも全く無視した憲法クーデター思考がもたらす迷走政治は、憲法53条の規定に基づき125人の衆議院議員と84人の参議院議員による臨時国会開催の要求も「開催権限は官邸にある」との一言で、秋に新閣僚で再発足したはずの安倍政権は、遂に今年中の臨時国会開催さえも見送りました。
11月12日報道では、遂に自民党は11月11日、日清戦争から第二次世界大戦の戦犯を断罪した東京裁判、連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策などを検証する安倍首相直属の機関を、今月中にも設置するそうです。仮に、自民党が主張するように、今の憲法がアメリカ民主主義の押し付けだとしても、戦後、現行の日本国憲法で国民が苦しんだことなどなく、逆に日本の戦後の平和と繁栄の礎にもなってきたはずなのですが・・・・。
そして、11月13日には、パリの同時多発テロが発生し、安倍首相は11月14日にトルコ・イスタンブールで記者団に対し、「強い衝撃と怒りを覚える。いかなる理由があろうともテロは許されない。断固非難する」「私たちと価値を共有するフランスが困難に直面している。日本人はフランスの人々と常にともにある。強い連帯を表明する」とも述べましたが、日本は有志連合の軍事行動とは一線を引いているはずです。その点に配慮した言葉はなかったようです。11月15日からのG20首脳会合では、国際テロリズムが取り上げられるため、安倍首相は、「ISIL」との「テロとの戦い」に向け連携を強める考えとも言われています。(一方、トルコのエルドアン大統領と中国の習近平主席は11月14日トルコ南部アンタルヤで会談し、パリ同時多発テロを受けて、国際社会がテロに共同で立ち向かう仕組みを構築すべきだとの考えで一致したと報道されました。エルドアン大統領は、10月に首都アンカラで100人以上が死亡したトルコ史上最悪の自爆テロが起きたことにも言及したそうです。こちらも有志連合の軍事行動には触れていません。)
しかし、もう安倍首相はもう昨年来の失政を全く忘れたかのようです。昨年9月に安倍首相は、イラクやシリアで勢いづく「ISIL」との戦いを支持することを国連で表明しました。(「中東地域は動揺のただ中にあります。特に、国境をまたぎ、独自にカギカッコ付「国家」の樹立を宣言する(イスラム国)「ISIL」の活動を、国際秩序に対する重大な脅威とみなします。いま重要なのは、地域の人道危機へ迅速に対応するのと同時に、過激主義が定着するのを阻止することです。その一助として、日本は新たに5000万ドルの緊急支援を、直ちに実施します。」と述べその直後から湯川さんが行方不明になり、ジャーナリストの後藤さんは10月に捉えられたとも言われていたのです。そして今年1月17日、訪問先のエジプトのカイロで中東政策について演説した安倍首相は、昨年の支援に加え、新たに総額25億ドル(約2940億円)の経済支援を実施すると表明し、イスラム過激派「ISIL」の台頭に伴う難民支援などのため、トルコやヨルダンなど周辺国に2億ドル(約235億円)を無償資金協力として供与すると付け加えました。(「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、「ISIL」がもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、「ISIL」と闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」と安倍首相は述べ、中東・ゴラン高原シリア側地域で1月18日、イスラエル軍による空爆があり、シーア派原理主義組織ヒズボラの戦闘員6人が死亡したとの報道があり、安倍首相が1月20日のイスラエルを訪問の真っ最中に、「ISIL」は、遂に日本国民と日本政府に向け、後藤さんと湯川さんの人質ビデオを公開したのです。テロは直接は安倍首相の言動のせいではないと思いますし挑発でもあり卑劣な言動でもありましたが、「ISIL」の声明は明確に「安倍首相」について明言をしました。それは誤解からでもなく事実でした。
今回の11月13日のパリの同時多発テロにも前兆がありました。アメリカ防総省は、前日の11月12日に、日本人ジャーナリスト後藤健二さんらを殺害したとみられる過激派組織「ISIL」の黒い覆面の男、通称「ジハーディ・ジョン」らを標的とした空爆をシリア北部のラッカで行ったことを明らかにしました。また、11月12日は、レバノンの首都ベイルート郊外で2件の自爆攻撃が相次ぎ、「ISIL」が犯行声明を出していました。 レバノンの首都ベイルート郊外の住宅地では11月12日、2件の自爆攻撃が相次ぎ、少なくとも43人が死亡、240人以上が負傷しました。現場はイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の拠点地区でした。シーア派のヒズボラがアサド政権を支援するため、シリアに数百人規模で戦闘員を派遣し。「ISIL」との戦闘を繰り広げている真最中です。
オランド大統領は演説で、「我々は戦争に直面している」と述べましたが、今回のパリのテロは、フランスが参加した「ISIL」へのシリアへの空爆戦争への報復という見方もあります。シリアで「ISIL」を空爆しているロシアには前日に「テロ予告」が向けられていました。10月31日には、エジプト東部シナイ半島で乗客乗員224人が死亡したロシア旅客機墜落も「爆破テロ」という見方が高まっていますが、プーチン政権はシリア空爆や世論への影響や「ISIL」への刺激も考慮して「テロ」との断定を慎重に避けています。しかし、11月12日に「間もなく海のように血があふれかえる。ロシアの町は、『アラー(神)は偉大なり』と叫ぶ声に驚かされるだろう」との声明をISILは出しており、ロシアへのテロも示唆していました。これに対して、ロシアのペスコフ大統領報道官は「治安機関が対応することになるだろう」と述べ、テロの未然防止に全力を尽くす考えを示していました。
11月4日にオランド仏大統領が訪韓して新素材や製薬など、11の先端技術分野で韓国と協力する行動計画を発表したばかりの韓国でもパリのテロは大きく取り上げられています。
先月の10月25日には、イギリスのブレア元首相が、放映された米CNNとのインタビューで、在任中の2003年に始まったイラク戦争が過激派組織「ISIL」の台頭につながったと認め、戦争に踏み切る際の計画にミスがあったと謝罪していました。
イラク戦争が「ISIL」国台頭の主な原因だと思うかとの記者の問いに、ブレア氏は「いくらかの真実」があるともコメントしました。当時のフセイン政権を倒したアメリカやイギリスやフランス主導の有志連合国が現在のテロ多発状況と無関係だとは言えないと認めました。
実はアメリカがイラク戦争で滅ぼしたはずの旧フセイン体制の政治家・軍人・公務員がその「ISIL軍」の多くを占めているとも言われています。元CIAのスノーデン氏は、「ISIL」の指導者であるバグダディは、実はイスラエルのモサドとアメリカCIAとイギリスMI6が育てたエージェントであるとも主張しています。かつて、アメリカが支援育成したテロ組織アルカイダが9.11テロを実行し、その報復戦争のイラク戦争にも中心になって来たイギリスですが・・・。かつてアメリカ・CIAとパキスタン軍総合情報局が冷戦相手のソ連のアフガン侵攻に対抗するためイスラム義勇軍を訓練して育てたのが9.11テロを起こしたアルカイダ勢力の始まりであり、アメリカを中心にした戦争がフセイン政権を倒した2003年のイラク戦争がきっかけで、スンニ派のアルカイダ過激派が分裂して、ヨルダン人のザルカウィ容疑者らが作った当初アルカイダのイラク支部だった「IS」から、今日のテロ国家「ISIL」が生まれたといわれています。そして、その道義なきイラク戦争を全面支持した小泉政権下で「ショー・ザ・フラッグ」というアーミテージ米国務副長官の言葉を捏造リークしたのは、当時の安倍官房副長官とも言われています。テロ国家「ISIL」成立をもたらした同義的な政治責任が安倍首相にもあったことは意外と知られていません。
「ISIL」は、過激なイスラム原理主義で武装しかつて、シリア軍から奪取した武器も利用し銀行占拠、石油密売、人質・拉致を使ったテロ事業によって強固な資金力もち、西側のドロップアウトした若者も取り込んだ組織力をもったテロ「国家」に変貌しました。かつて、9.11の百倍返しの復讐戦争と石油資源の確保を絶対視したアメリカは、イラクの大量兵器所有疑惑に過剰反応し戦争を起こしました。過去10年間余りでアメリカを中心としたイラク戦争以後、約22万人以上の民間人がいわれのない戦争の犠牲にもなりました。アメリカの「平和」を戦争体制の安全保障で実現しようとした戦闘の連鎖と策略がテロ国家「ISIL」をも育成してしまった大失政に繋がり、憎しみと暴力の無限の連鎖も生み続けています・・・・。
過去5年間のシリア内戦でも約25万人以上の民間人が犠牲となっており、シリア人口の半分にあたる1100万人以上が難民になっています。その矛盾の戦争の歴史は、イスラム・アラブ民族に、いやという程の憎しみと復讐心を生み、西側の移民者やドロップアウトした若者の体制への復讐心さえつかみ、狂ったテロ「国家」組織を育成してしまったのではないかと言うひともいます。テロの土壌には差別と貧困と不条理な戦争があります。(憎しみの連鎖の根源にある差別と偏見と貧困を放置し空爆戦争の一方で石油資本を死守して逆に利益を得てきたのは先進国の支配層であると言う現実があることも否定はできません。)
(欧米の一部には、イスラム自爆は、日本の特攻隊に学んだとかいう誤解があり、日本国内にも「・・爆発物を巻き付けて自爆を強いる(イスラム)過激派の卑劣。(同じく)70年前、特攻という人間爆弾に称賛を送った国があった」と言う主張などもありましたが、ジハードで戦死すれば殉教者として、必ず天国に迎えられると言う宗教は戦死すれは靖国に祭られるという神道や日本の特攻よりも古い歴史があります。日本人はむしろアメリカの「無差別空爆」や「原爆のホロコースト」とイスラム自爆は、民衆への無差別テロという卑劣で共通していると主張する勇気をもつべきです。そして戦争社会とは正義を主張する欧米側も報復の非道を正当化する狂気に染まっていると反論しなければ誤解はとけません。事実、今日のISILなどの自爆テロの非道の本質はむしろアメリカやナチスや関東軍の無差別空爆と同質です。戦闘行為であるイスラム教のジハードや靖国とは違い、その本質は民衆への無差別テロであり報復テロなのです。)
(戦争の本質は、そうかもしれませんが、事実として、ジハードの自爆は、自分の命の犠牲による戦闘行為で、それを美化すると言う点でも、まさに靖国やカミカゼ特攻と共通しています。イスラム社会でも欧米社会でも、サムライ精神と靖国は変に誤解もされています。しかし、アジアではA級戦犯合祀が非難されますが、欧米で靖国がカルトと呼ばれるのは、靖国に祭られる特攻は自らの命に対してもテロを働いているからです。ジハードの名でも靖国の名でも、民衆にでも自分の命にでも、テロは決して美化されるべきではあません。愛国心で靖国を美化し肯定してきた日本の政治家達とそれを許してきた日本国民も・・・・靖国や特攻の精神に共鳴する今日の自爆のジハード普及にどう責任が取れるのでしょうか?)
(「捕虜の辱めより自決」「降伏より一億玉砕」と命を犠牲にして誇った戦前の日本軍に象徴される全体主義の国家から曲がりなりにも、敗戦を機会に民主国家・平和国家を理想を掲げ人権も保障した日本国憲法が生まれました。日本が朝鮮戦争やベトナム戦争やイラク戦争に韓国と違って直接戦争に巻き込まれなかったのは、まさに日本国憲法のおかげなのですが・・・安倍首相は日本の戦後の歴史の本質を岸信介と同様に屈辱としてしか感じていないのかもしれません。)
古くから、反英米のシーア派のホメイニーのイラン革命に対抗してスンニ派を支援してきた英米の策略の失政の結果であったとも言われています。(アメリカ大使館員が一時人質に取られてイランから追放された、アメリカは1980年4月にイランと国交断絶し、経済制裁さえも発動していましたが、遂に2015年7月に、オバマ政権はイランと和解しました。背景には、「ISIL」の台頭があるとも言われています。)かつての朝鮮戦争もベトナム戦争もイラク戦争もシリア紛争もイスラム・パレスチナ紛争もアメリカ軍が関与し集団的自衛権も行使した戦争戦略です。
今度狙われているのは、日本を含めた北東アジアなのでしょうか??。70年間、日本は集団的自衛権行使の戦争の挑発には乗ってこなかったのですが・・・多くの国民の反対も無視してアメリカの戦争戦略に組する集団的自衛権の行使を解禁した安倍首相は、いよいよ来年は改憲を日本国民に提起して戦争を憲法で封じてきた日本を再び「戦争できる国家」として軍国主義を取り戻すことに全力を尽くす様子です。