12月1日中国・東北部の新高速鉄道の営業運転が始まりました。時速300キロで大連から黒竜江省のハルビンまで、南北におよそ921キロの区間を結びます。ハルビンから大連は、在来線で9時間あまりかかっていましたが約3時間に短縮され瀋陽までは2時間で到着します。
しかし、最低気温が氷点下40度の寒冷地を走るため、安全確保のため12月1日~3月31日は時速200キロメートルに減速して運転するそうです。また、「北京と広州間の高速鉄道も近く開通予定」といわれます。
現在20時間以上かかる北京・広州間が、開通後は8時間あまりに短縮される見込みです。高速鉄道を巡っては2011年7月、温州(浙江省)で衝突脱線事故が起こり、一時中断していた高速鉄道の建設ですが、再び積極的に進められたようです。
また、中国とタイ政府は中国がタイの高速鉄道路線の建設を中国が支援することを協議し始めました。また、11月27日スリランカ初の通信衛星が中国四川省の西昌衛星発射センターで打ち上げられました。インド洋進出も図る中国は最近スリランカに対し資金援助や港湾整備などで関係を強化しています。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
そして、暴走デモで日本車攻撃が図られた中国ですが、日本の10月の自動車の中国向け輸出は前年同月比で8割超も減少したそうです。一方、トヨタから世界一の座を奪還したアメリカのゼネラル・モーターズは、中国との合弁会社「上汽通用五菱汽車」、広西チワン族自治区)を通して、重慶に新工場を建設すると、11月末に報道しました。
乗用車とエンジンの新工場で、年産能力は40万台、投資額は66億元(約860億円)で2013年初めに着工し2015年の稼働を目指す予定としています。(ゼネラル・モーターズの中国での自動車現地生産は、1998年からで、トヨタ(2000年から)には先行しましたが、独のフォルクスワーゲン(1985年から)には大きく立ち遅れていました。)
------------------------------------------------------------------------------------------------------
また、会計事務所のトーマツとKPMGの11月の発表では、世界経済の不況にもかかわらず、今年1月~9月の中国の対外投資額は好調で増加しており、約449億ドルの去年同時期より16.2%も増え、522億ドルに達したとしています。特にヨーロッパ地域における中国の買収取引が多く全体の22%以上を占めているそうです。また、中国民営企業の海外での合併・買収活動の数が増え、全体の62.2%を占めて、初めて中国国有企業を上回ったそうです。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
11月30日、アメリカAP通信は、過去5年間で中国と貿易関係を結んだ国の数は、すでに米国のそれを超えた・・2006年に貿易関係のある国と地域の数は米国が127カ国、中国が70カ国だったが、11年にはそれぞれ76カ国、124カ国と中国が逆転している。これは第2次世界大戦以来の国際政治経済局面に表れた最も重要な変化のひとつであると報道しました。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
尖閣問題では、中国メデアは「アメリカの対中日「二重抑止」戦略は逆効果と主張しています。日本の新駐米大使のインタビューで「中日間の島嶼争いにおいて米政府は決して中立ではない」との大使の意見に対して、『中国と日本への「二重の抑止」によって事態のエスカレートを防ぐ。
アメリカ外交にとって「二重の抑止」は常用手段で、曖昧さを保つことで中日アメリカの最終的な意図を推し量らせ、双方を抑止する効果を達成しようとすると主張し、中国からすると、アメリアは断じて中立などではない。日米は軍事同盟関係にあり、安保条約適用に関する表明はアメリカが日本の肩を持っていることを明確に示している。安保協力を強化したうえ、これを他のアジア太平洋諸国にまで拡大する米日のやり方は、間違いなく中国を念頭に置いており、中国はこの問題においてアメリカが中日関係の中立で公正な仲裁者になるとは信じていない。アメリカの抑止理論は、中国の国家意志に対する誤った判断を招くだろうと』などと反発しています。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
今般アメリカ上院議会は11月29日本会議で、沖縄県の尖閣諸島が日本の施政下にあり、また、日米安全保障条約の適用対象であることを確認する条項などを、2013会計年度国防権限法案に追加する修正案可決の中で盛り込んだと日本のマスコミは報道しました。
これは中国の脅威を念頭に、「第三者による一方的行動は、尖閣諸島における日本の施政権を認めるという米国の判断にいかなる影響も与えない」との文言を明記し、日米安保条約5条が尖閣諸島に適用されるとの米政府の立場について「(同)条約に基づく日本政府への責任を再確認する」するものだそうです。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
アメリカは連邦債務上限引き上げ法に基づき、今後10年間で4870億ドル(約38兆4700億円)の削減に加え、議会の動向次第では、来年からさらに6千億ドルの国防費が削減される恐れが捨てきれませんが、日本をはじめアジア太平洋地域におけるアメリカ軍の戦略に予算削減の影響が及ばないことに狙いがあったようです。今回の国防権限法案に追加する修正案可決は、国防に関する法的効力を有せず、従来のアメリカの見解を確認したに過ぎず、「尖閣諸島の主権に関して特定の立場を取らない」との姿勢を変えたのではありませんでした。しかし、あたかもアメリカが日中戦争を前提の安保体制を強化したかのごとく「尖閣に安保を適用」などと報道されており、また日中間の紛争の火に油が注がれるようです。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
一方、12月1日の新華社電によると、中国海軍は、海洋での捜索救助を中国海軍の4隻の艦艇と艦載ヘリコプター1機を使用して1日に西太平洋で行ったそうです。中国の船舶が海洋権益保護のための活動中、他国の艦艇に衝突され、海中に転落した係官2人を捜索、救助するという内容で、これも、沖縄県・尖閣諸島周辺海域での日本の巡視船との衝突を想定したものであろうと日本側の報道はみています。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
先月、19日のプノンペンでは、東アジアサミットにおいて、例年の「日中韓首脳会談」は開かれず、中国の温家宝と、韓国の李明博大統領だけが短時間の会談をしたそうです。政権を去る両首脳は、日中間の尖閣諸島、日韓間の竹島をめぐる対立を念頭に、それぞれ日本政府の対応に不満を表明したそうです。
温家宝は、今の日中の対立は「日本が軍国主義を清算出来なかったためだ」と語り、李大統領は「日本の右傾化は周辺国の不安要因になり得る」と述べたと伝えられています。中韓に限らず、欧米の最近の報道でも(自民党と維新の保守二大政党が選挙予想で優勢とも伝えられ)日本のナショナリズムの高まりと大衆迎合政治がもたらすであろう、次期日本政権の下での極端な日本社会の右傾化が、対中国・韓国への強硬路線をもたらし、日本が本来親密である中韓の隣国を敵に回すことを予想し警告しています。
日本の選挙の結果がどうあれ、政策論争では、右翼の主張する対中国・韓国への強硬路線もアメリカのアジア経済支配策TPP参加もアメリカ要望である原発再稼動も沖縄を初めとした米軍基地強化も、次期政権予想の政党(自民党も維新も公明党も民主党も)は度合いの差はあれ、基本的に全て賛成なのですから一般民衆側の政治(左翼政治)ではないことは確かなようです。しかし、最近日本ではもう感覚が麻痺して右傾化と批判されてもピントきません。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
しかし、元毎日新聞社駐独記者の村田氏は「現在の多くの日本人が歪んだ世界観と歴史観を持っているのはみな、日本の小学校、中学校、高校の歴史教科書が歴史をありのままに記述していないからだ。日本の歴史教科書は東京大空襲や広島、長崎の原爆などの出来事は力の限り宣伝する一方で、甲午戦争(日清戦争)の開始から九一八事変」(日本名:柳条湖事件、満州事変)、南京大虐殺、731部隊による中国での残虐行為などの歴史事実については否認するのか、態度をはっきりさせないかだ。
日本国内では『中国人とユダヤ人が共謀してルーズベルト米大統領を操り、第二次世界大戦を引き起こした。ドイツのヒトラーと日本の東条英機は犠牲者だ』というような醜悪な妄説ですら公然と出版され、はびこって害をなし、日本の多くの若手教師がこうした歪曲された歴史にだんだん賛同するようになっている。
中国だけでなく、ドイツを含む欧米各国でも歴史を歪曲するこうした恥知らずな教科書は犯罪行為として禁止されているが、日本では公然と出版されている。日本の歴史教育の現状がどれほど『異常』かが分かる。欧米の一部の国が『日本の極右化』を懸念するのも当然だ」と述べたことが10月3日の人民網に掲載されています。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
「人民網」といえば、2012年11月23日の記事は、異色なものでした。日本人はなぜ魯迅を好むのかとして北京青年報の記事を伝えたものでした。「魯迅が創作を開始してから今日にいたるまで、彼に対して数えきれないほど多くの批判・評価がなされてきたが、魯迅の自己評価よりも厳しく、骨の髄まで染み渡る批判はなされていない。
この点は、おそらく日本民族にとって最も不足している、今日にいたるまで把握できていない精神だろう。刀の鋭さと菊の趣を愛でる民族は、驕りやすくまた挫折しやすい。反省をせず、死んでも過ちを認めなければ、次の悲劇が始まるだろう。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
中国と日本は、歴史・文化の面で同じ源を持ち、心理・歴史の面で同じような経験をしてきた。」と述べる一方で「 仙台市は今日も、毎年一連のイベントにより魯迅の誕生日(9月25日)を祝い、この中国出身で、奮起し戦争に立ち向かった弱小民族のすべてを代表する精神的指導者を称えている。
今日の中国では、韋小宝(金庸の武侠小説「鹿鼎記」の主人公)のような功利主義・日和見主義が横行しており、批判と反省を妨げている。魯迅は当時、「中国人はなぜ自信を失ったのか」と問いかけた。理想と希望を軽視・嘲笑し、自己反省と自己批判が失われ、権力を恐れ、不公平を無視し悪に同調すれば、新たな「阿Q」が生み出されるのではなかろうか。」と結んでおり、明らかに反日行為批判と中国社会の自己批判でもありました。