今年の夏至は6月21日。この夜、ソリストに神尾真由子さんを迎え、日本センチュリー交響楽団の定期演奏会が催されました。
席数1,700余りのザ・シンフォニーホールのチケットは早々に完売。当日は朝から降り続くあいにくの強い雨ながら、ステージから立ちのぼる芳潤なハーモニーが熱く満場を魅了しました。
チャイコフスキー国際コンクール優勝をはじめとする数々の快挙に、世界から注目されている神尾真由子さんは豊中市出身。ニューヨーク・タイムズ紙では「正確なテクニックとあたたかなビロードの音色で示す強靱な表現力」と評され、世界各地で絶賛を博されています。
豊中市では、新田南小学校ご卒業まで過ごされました。その後、東京へ移られてからも、中学2年生のころにはアメリカへの音楽留学を前に、広報とよなか・2000年10月号のために『豊中にありがとう』と題したエッセーをお寄せくださいました。
2007年のチャイコフスキー国際コンクール優勝後にもご報告においでくださり、広報とよなか・2008年1月号の特集記事・新春市長対談では、淺利敬一郎豊中市長と音楽と豊中に寄せる思いを語っていただきました。
豊中を「ふるさと」として大切に思ってくださる神尾さん。新世代のヴィルトゥオーゾとして目が離せない神尾さんの国際的なご活躍を、これからも見守っていきたいと思います。
設立当初から、市内の服部緑地にオーケストラハウスを構える公益財団法人・日本センチュリー交響楽団は、今回の定期演奏会で172回を数えるほか、さまざまな特別演奏会や社会貢献事業などで、益々活躍の場を広げておられます。今年6月には、市立豊中病院で患者さんのために、「音楽のおくすり」として心癒されるチャリティーコンサートを開催くださいました。
1989年に大阪センチュリー交響楽団として活動を開始し、昨年4月に、その名称を日本センチュリー交響楽団に変更して新たにスタート。アンサンブルの緻密さ、古典から現代作品に至るまで、柔軟かつ優れた演奏力は、創立以来、高く評価されています。
豊中市内には、同楽団のほかに大阪音楽大学のザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団がありますが、高い水準を誇るプロのオーケストラが2つあるという都市は全国的にも珍しいものです。(豊中市以外では、新宿区、名古屋市、京都市、大阪市)
市民の芸術文化活動が盛んな豊中にとって、音楽分野の高度な創造性を発信し続けてこられた日本センチュリー交響楽団は、大切な地域の財産です。音楽あふれるまち、そして、創造性豊かな都市をめざし、市でも同楽団とともに、豊中の一層の魅力づくりに取り組んでいきたいと思います。
さて、末筆ながら、冒頭でさわりだけ記しました、拍手の嵐さかまく当日の演奏会の模様を少しだけお伝えしておきましょう。
プログラムは、前半が、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」とラロの「スペイン交響曲」、後半は、ブラームスの「交響曲第3番」。
「スペイン奇想曲」が日本センチュリー交響楽団の手にかかると、めりはりの効いた歯切れの良さと流麗さのうちにその輪郭と細部までが浮き彫りにされ、リムスキー=コルサコフが憧れたスペインの極彩色の光輝と憂いを帯びた陰影が眼前に浮かび上がるようです。
続く「スペイン交響曲」では神尾真由子さんが、ヴァイオリンのソロを通して、作曲から140年近い時を経たラロの曲想とともに、神尾さんの輝かしい演奏活動に醸され、深い精神性に満ちた音楽の心を語りかけてくださったように感じました。いつまでも鳴り止まない拍手に応えてのアンコール曲は、パガニーニの「24のカプリース」から有名な第24曲で、鮮やかな弓さばきや粒の立ったピチカートが溌剌颯爽、会場は心地よい緊張感に静まりかえりました。
後半の「交響曲第3番」。地中から湧き上がってくるような、また、燻し銀のようなブラームスならではのふくよかな響きが日本センチュリー交響楽団によって奏され、重厚に組み立てられた音律のうねりにたゆたう思いでした。
若い世代や親子連れの姿も会場のそこここで見られ、同楽団の今後のさらなる可能性を垣間見た気がします。
以上、都市活力創造室の加藤がお伝えさせていただきました。
続けて、見逃せない特ダネを・・・
■神尾真由子さんの素敵な「横顔」が、「広報とよなか」や市長の日記に!
○豊中にありがとう
(リレーエッセー~とよなか ゆめ・まち・ひと~/広報とよなか・2000年10月号)
http://www.city.toyonaka.osaka.jp/h_file/kohotoyo/200010/46.pdf
○神尾真由子さんが来訪
(あさり市長のつれづれ日記/市ホームページ・2007年10月9日)
http://www.city.toyonaka.osaka.jp/top/shicho/nikki/2007/kamiosan.html
○特集・ふるさと豊中 音楽あふれるまちづくり
(新春市長対談~世界のバイオリン奏者・神尾真由子さんを迎えて~/広報とよなか・2008年1月号 ※3ページ~7ページ)
http://www.city.toyonaka.osaka.jp/h_file/kohobook/0801_ebook/webr/wysiweb_win_viewer.html
■湖面にさわやかな風わたる、8月のびわ湖畔で聴きたい!
○神尾真由子さんと日本センチュリー交響楽団の協演(びわ湖定期公演vol.4)
■誕生以来、豊中の地で20余年。もっと知りたい日本センチュリー交響楽団
○公式ホームページをチェック!
http://www.century-orchestra.jp/
○緑陰にたたずむセンチュリー・オーケストラハウス
木立に囲まれた緑地公園の一画にあり、日本センチュリー交響楽団の練習場のほか、音楽に関する書籍などを自由ご覧になれる音楽サロンが併設されています。隣接する服部緑地野外音楽堂では、8月25日(土)・26日(日)の2夜にわたって、「星空ファミリーコンサート」が催されます。
(入場無料、両日とも先着2,000人。お問合せは同楽団・06-6868-3030まで)
センチュリー・オーケストラハウス
服部緑地野外音楽堂
第17回 日本センチュリー交響楽団 星空ファミリーコンサート2012