都市活力創造室長の長坂です。
8月29日(水)、初めての大阪国際空港就航都市サミットが開催されました。このサミットは、本市の淺利市長らが就航都市に呼びかけ、企画したもので、今日はその様子をご紹介します。
会場となった千里阪急ホテル「仙寿の間」のロビーには、参加都市のPRポスターが展示されていました。どのポスターもその地域の魅力をとてもよくアピールしていて、つい見とれてしまいます。
サミットには、大阪国際空港の地元市である大阪府池田市や兵庫県伊丹市をはじめ、24都市から首長や担当者が参加。100人近い市民の方も観覧されました。
まず、サミット開会に先立って、早稲田大学アジア研究機構教授・戸崎肇先生による基調講演がありました。世界各地の空港の事例をもとに、アジアにおける空港間競争が激化している中、日本の空港は空港間ネットワークを強化し、対抗していく必要があることや、空港を単に乗り降りの場と捉えるのではなく、生活機能や文化的機能を備えた拠点として活用していくことが重要とのご指摘をいただきました。
さて、いよいよサミット開会。冒頭、主催者の淺利敬一郎豊中市長が、遠方よりお越しいただいた各都市の首長をはじめ、ご来場いただいたみなさんのご協力に感謝の気持ちを伝えるとともに、空港を有する自治体同士、お互いをよく知り合い、連携を深めていきたいと、開会のあいさつを述べました。
参加首長らによる全体会議のテーマは、「都市間交流と空港を活かしたまちづくりを考える」です。
福島県須賀川市の橋本市長は、東日本大震災の際、鉄道や道路が寸断される中で、空路による支援物資の輸送が有効であったことなど、防災拠点としての空港の重要性を指摘。淺利市長も、阪神淡路大震災の際には、大阪国際空港が支援物資の受入拠点となった例をあげるなど、防災拠点としての空港の役割が改めてクローズアップされることとなりました。
福島県玉川村の石森村長は、原発事故で外遊びを控えている子どもたちのための遊び場確保という行政課題の解決策と、周辺地域からの空港への集客策を結び付けた取り組みとして、この10月に福島空港ビル内に「屋内子どもの遊び場」を開設することを明らかにされました。また、島根県益田市の山本市長からも、空港を地域活性化に活かす取り組みとして、日本で唯一滑走路を走るマラソン「萩・石見空港マラソン全国大会」の紹介がありました。大阪国際空港ターミナルでも音楽イベントや美術展が開催されており、こうした事例は、戸崎先生の言葉をお借りすれば、“これまでの空港の概念を超えた空港”のあり方が、強く求められていることを示唆しているように思います。
島根県隠岐の島町の門脇副町長は、少年野球やバレーボールなど、本市市民との間で長く続いている市民交流の例を挙げ、このサミットを機に、多くの都市との間で、市民交流を拡げていきたいとの思いを語られました。
このサミットは、まさにこのような市民交流が数多くの就航都市間で拡がり、相互の地域への理解と共感が深まっていくことを願って開催したものであり、サミット参加者全員の思いでもあると思います。
こうした思いは、会議の最後に「大阪国際空港就航都市サミット宣言」として採択されました。
今回ご参加いただいた自治体は、人口規模も地理的条件も就業構造も、何もかもさまざまです。就航都市間で、相互の地域への理解と共感が深まり、お互いを補完し合えるような関係を築いていくためには、長い期間を要するのかもしれません。
ただ、たとえ1日足らずのサミットであっても、就航都市間で互いに協力しながら、できることから一歩一歩取り組んでいく思いを共有できたことは、きっと次の大きな一歩につながっていくものと思います。