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「ゴールデンウイークに入るまでに(1住戸あたり)200万~300万円は価格を上げる予定です。需要はありますから」
湾岸タワーマンション価格の高騰を牽引する「ドゥ・トゥール」の写真はこちら
4月中旬、東京・湾岸エリアで売り出し中のタワーマンション「ドゥ・トゥール」(東京都中央区晴海、総戸数1450戸)の販売担当者は、
こう言い放った。取材時点で南西角、2LDK、70.70平方メートルの部屋が8180万円だったが、さらに上積みされる可能性があるということだった。
東京オリンピックを目前に、湾岸エリアでタワーマンションの価格がぐんぐん上がっている。湾岸はタワーマンションの建設ラッシュ。
勝どきから晴海、豊洲にかけてのエリアには、これから5年以内に、総戸数500戸以上のタワーマンションがざっと10棟以上建つ予定になっている。
■ 湾岸エリアは建設ラッシュ
分譲中の主な物件は、住友不動産の「ドゥ・トゥール」のほか、三菱地所の「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」(861戸)、
三井不動産や三菱地所、野村不動産などの「勝どきザ・タワー」(1420戸)。6月には三井の「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」(693戸)、
10月には同じく三井の「パークタワー晴海」(1084戸)が売り出される。2020年以降は、勝どき東地区で総戸数3000戸超のタワーマンション3棟が建設予定で、
オリンピック後には選手村の跡地もタワーマンションとなりそうだ。
東日本大震災後、湾岸エリアのタワーマンションの人気は急落した。だが2011年11月に売り出した野村の「プラウドタワー東雲キャナルコート」が、
液状化対策や防災設備を充実させ、説明にも時間をかけたことで、好調な販売を記録した。安心材料を得た他の大手デベロッパーは、計画を次々と具体化。
2013年秋に東京オリンピックの誘致に成功したことで、価格面でも強気の姿勢を見せ始めた。
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ここ数カ月、湾岸タワーマンションの価格の牽引役となっているのが、冒頭のドゥ・トゥールだ。ドゥ・トゥールの立地は、都営大江戸線・勝どき駅
から徒歩9分とさほどよくないものの、この欠点をカバーするため、JR新橋駅とマンションを往復する住人専用シャトルバスを走らせる。さらに、
共用設備にサウナ付きのスパやバーを設けたり、ホテルを彷彿とさせる天井高10メートルのエントランスホールを用意したりと、ラグジュアリー感を全面的に打ち出した。
当初は平均坪単価300万円台前半で売り出したが、5月下旬から始まる第3期販売では、中低層階でも坪380万円強で売る住戸が出てきそうだ。
ドゥ・トゥールに引っ張られ、他物件も価格の改定に動き始めた。2棟建てのザ・パークハウス晴海タワーズ(駅徒歩12~13分)は、2013年竣工の1棟目
「クロノレジデンス」より1割近く高い、平均坪単価300万円弱で2棟目の「ティアロレジデンス」を販売中。その隣に建設予定のパークタワー晴海は、
駅徒歩12分の立地にもかかわらず、「坪300万円で売りたい」(販売を担当する三井の関係者)とかなり強気だ。
パークタワー晴海の企画にはオリエンタルランドが参画。「イマジネーションランド」と銘打つ約1万9000平方メートルの広大な敷地を5つのゾーンに分け、
「妖精の小路」や「冒険の森」、「くじらテラス」と名付けたエリアを設けることで、他物件との違いを打ち出そうとしている。
■ 低金利がかろうじて実需を下支え
湾岸タワーマンションの主な買い手は、世帯年収1000万円を超える高給サラリーマン世帯だ。上がり基調にあるとはいえ、中心価格帯は6000万円半ば~7000万円台。
港区や世田谷区など都心高級マンションのファミリータイプが優に1億円を超えることを考えれば、湾岸タワーマンションはまだ手が届く買い物だと言える。
低金利も、実需を後押ししている。長期固定金利の住宅ローン、フラット35の金利は、直近のピークだった2009年には3%を記録したが、以来、低下を続けている。
返済期間35年以下(融資率9割以下)の最低金利は今年2月に1.37%と過去最低を更新。5月も前月より0.08%低い1.46%だった。