敵地への侵入捜査など、普通は夜または荒天時にやるものだ。
清々しく晴れた穏やかな朝に侵入するなど、非常識としか思えない。
エルとイヴは、高い外壁の上から周囲を見渡した。
木々で隠すように囲まれた土地があるのが分かる。
門のあった方にある建物は、木造3階建て。
その1階部分が長屋の様に、その土地目前まで伸びていた。
「行くわよ。」
「ええ。」
エルとイヴが音を立てずに走る。
するとエルが、止まってと手で合図した。
『どうしたの、エル?』
念話で問いかけるイヴに、エルがここを見ろといった感じで手で知らせる。
糸だ。
半透明の、少し白っぽい色。
土地を囲む木々に張り巡らせている。
触れれば警報が鳴る、典型的なトラップだ。
だがそれは、普通の人を相手にすればの話。
『私に任せて。』
イヴが己の魔力を糸に伝わせた。
数秒後、
『この糸に魔鍵を掛けたわ。』
と言って糸を引きちぎってみせた。
蜘蛛の糸の様な粘りがある糸だったが、その粘りすら無力化している。
糸の効能全てに魔鍵を掛けたのだ。
魔鍵を外さない限り、この無力化を解く事は出来ない。
これが“魔鍵のイヴ”という二つ名で恐れられる力の一端か。
エルの表情は変わらないが、それでもどこか満足そうな雰囲気で、
『行くわよ。』
とまた言うと、イヴと共に邪魔な糸を斬りながら奥へと進んでいった。
ケイトとフランソワが外で待機していると、
清々しく晴れた穏やかな朝に侵入するなど、非常識としか思えない。
エルとイヴは、高い外壁の上から周囲を見渡した。
木々で隠すように囲まれた土地があるのが分かる。
門のあった方にある建物は、木造3階建て。
その1階部分が長屋の様に、その土地目前まで伸びていた。
「行くわよ。」
「ええ。」
エルとイヴが音を立てずに走る。
するとエルが、止まってと手で合図した。
『どうしたの、エル?』
念話で問いかけるイヴに、エルがここを見ろといった感じで手で知らせる。
糸だ。
半透明の、少し白っぽい色。
土地を囲む木々に張り巡らせている。
触れれば警報が鳴る、典型的なトラップだ。
だがそれは、普通の人を相手にすればの話。
『私に任せて。』
イヴが己の魔力を糸に伝わせた。
数秒後、
『この糸に魔鍵を掛けたわ。』
と言って糸を引きちぎってみせた。
蜘蛛の糸の様な粘りがある糸だったが、その粘りすら無力化している。
糸の効能全てに魔鍵を掛けたのだ。
魔鍵を外さない限り、この無力化を解く事は出来ない。
これが“魔鍵のイヴ”という二つ名で恐れられる力の一端か。
エルの表情は変わらないが、それでもどこか満足そうな雰囲気で、
『行くわよ。』
とまた言うと、イヴと共に邪魔な糸を斬りながら奥へと進んでいった。
ケイトとフランソワが外で待機していると、
地下迷宮から出てきたカイルたち6人の姿が目に入った。
ケイトが腕を振る。
カイルが気付き、近付いてきた。
全員で大きな袋を背負っているのを見て、え?となる。
まだ午前中よ。
探索され尽くして誰も寄らなくなった小さな迷宮で、
ケイトが腕を振る。
カイルが気付き、近付いてきた。
全員で大きな袋を背負っているのを見て、え?となる。
まだ午前中よ。
探索され尽くして誰も寄らなくなった小さな迷宮で、
何狩ってくればあんなデカい袋6つも出来るわけ?
「・・・まだお昼前だけど、随分景気が良さそうね。」
「ケイトの言った通りでした。
地下1階で土埃に隠された扉を見つけ、未踏のエリアを発見。
そこで超巨大鼠と戦闘してきたんです。」
「ええ?
地下1階のデブ鼠って、本当にいたの?」
「解体にだいぶ時間がかかりましたが、どうにか5袋で足りました。」
「残り1袋は?」
この問いにゴッセンがニヤリとする。
「デブ鼠は箪笥貯金が大好きだったみたいでな。
たっぷりの金貨を手に入れてきたってわけよ。」
「それは凄いわね。
また行くの?」
「冒険者ギルドに報告と換金。
それからお昼を食べて落ち着いたら第2ラウンドだな。」
「ケイトたちは何を?」
「知り合いがとある場所に潜入中でね。
それを待っている状態よ。」
ケイトとカイルが話していると、フランソワがカイルの顔を覗き込む。
「あなたたちが、地下からの侵入ルートを探している冒険者なのね。
私はフランソワ。
初めまして。」
「あ、初めまして。
カイルといいます。」
「私のお姉様に協力してくれる御礼をするわ。」
そう言うとフランソワは、花魔術を行使する。
一凛の青い花が手中に現れ、それをカイルに差し出した。
「前衛の誰かに持たせなさい。
窮地に陥った時、必ず役に立つ花よ。」
「ありがとう。」
カイルは素直に受け取り、とりあえずシーマに手渡す。
そして冒険者ギルドへと向かっていった。
「・・・まだお昼前だけど、随分景気が良さそうね。」
「ケイトの言った通りでした。
地下1階で土埃に隠された扉を見つけ、未踏のエリアを発見。
そこで超巨大鼠と戦闘してきたんです。」
「ええ?
地下1階のデブ鼠って、本当にいたの?」
「解体にだいぶ時間がかかりましたが、どうにか5袋で足りました。」
「残り1袋は?」
この問いにゴッセンがニヤリとする。
「デブ鼠は箪笥貯金が大好きだったみたいでな。
たっぷりの金貨を手に入れてきたってわけよ。」
「それは凄いわね。
また行くの?」
「冒険者ギルドに報告と換金。
それからお昼を食べて落ち着いたら第2ラウンドだな。」
「ケイトたちは何を?」
「知り合いがとある場所に潜入中でね。
それを待っている状態よ。」
ケイトとカイルが話していると、フランソワがカイルの顔を覗き込む。
「あなたたちが、地下からの侵入ルートを探している冒険者なのね。
私はフランソワ。
初めまして。」
「あ、初めまして。
カイルといいます。」
「私のお姉様に協力してくれる御礼をするわ。」
そう言うとフランソワは、花魔術を行使する。
一凛の青い花が手中に現れ、それをカイルに差し出した。
「前衛の誰かに持たせなさい。
窮地に陥った時、必ず役に立つ花よ。」
「ありがとう。」
カイルは素直に受け取り、とりあえずシーマに手渡す。
そして冒険者ギルドへと向かっていった。