ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその473-今回の名盤

2020年07月30日 | 今回の名盤
ブルースロックの金字塔。

今や国内・国外問わず、ラップやらやたら軽い音楽がもてはやされている。
素人でギターを始めようとする人たちも、流行りのJ=POPのコピーから始める人が多いようだ。
しかし私たちがギターを始めたころは、きっかけは様々だが、皆「ブルース」からその基礎を学んでいた。
私自身もブルースのフレーズを弾いていると、気持ちが段々高揚したものだった。
今回紹介する「名盤」は、そのブルースが隆盛を極めていたころのものである。
アーティストは「フリー」アルバムは「ファイヤー&ウオーター」である。
まず曲目を紹介しよう。

1.ファイヤー&ウオーター
2.アイ・ウエイプト
3.リメンバー
4.ヘヴィイ・ロード
5.ミスター・ビック
6.ドンセイユー・ラブミー
7.オールライト・ナウ

以上7曲で、1曲あたり4分を超えるものが殆どである。
1970年に発売されたこのアルバムは、フリーの3枚目のアルバムになる。
どの曲をとっても、非常にスローテンポでブルージーな曲ばかりだ。
これが大変心地よい。何時間でも聴いていられる要素がそこには存在する。
特に白眉と言ってもよいのが、ベースの「アンディ・フレイザー」の存在である。
もし彼が居なければ、フリーの音楽の質の向上は無かったであろう。
このアルバムでは、実に見事なベースラインを聴かせてくれる。その音、フレーズ、100点満点である。
それと「泣きのギター」ポール・コゾフも忘れてはいけない存在だ。
25歳と言う若さで、夭折した、天才肌の彼の不在は、後のフリーに影響をもたらすことになる。
そして最も驚くことは、彼らがこのアルバムを20代前半に製作していることだ。
アンディ・フレイザーに至っては、まだ18歳と言う若さ。彼らの神童ぶりを認めざるを得ない。
この若さで、これだけの楽曲をつくるとは、まさに信じられない。
残念な事にアンディはフリーを早くして脱退し、フリーは一番肝心なプレイヤーを失ってしまう。
その彼も2015年に逝去してしまった。

最後に創成期(このアルバム製作時でもある)のメンバーを紹介しておこう。
ヴォーカル、ポール・ロジャース
ギター、ポール・コゾフ(故人)
ベース、アンディ・フレイザー(故人)
ドラムス、サイモン・カーク

後にフリーは解散するが、ポールとサイモンは新しバンド「バッドカンパニー」を結成し、キャントゲット・イナフと言うスマッシュヒットを放つ。
このポールの歌唱の素晴らしく、まさに「ロックを唄うため」に生まれてきた存在と言っても過言ではない。
皆様にも、是非聴いてほしい一品である。ただし毎回言っているが、ボーナストラック等が収録されたものは避けた方がよいだろう。
アルバムはあくまでオリジナル発売当初の曲順と曲数で聴かなければ、その本当の良さは伝わらない。
出来ればこのアルバムも、購入していただき拝聴いただくのがベストである。

下にこのアルバムのタイトル曲にもなっている「ファイヤー&ウオーター」を貼った、是非彼らの魅力を感じていただきたい。



明日のためにその451-今回の名盤

2020年05月11日 | 今回の名盤
アメリカンロックの金字塔

混沌とした70年代のロック。
メインストリームが無い中、様々なアーティストが様々な作品を残した。
それはまさに、音楽界の玉石混交。まさにカオス状態だった。
しかし、そんな中、ロック界の金字塔とも呼べるアルバムがリリースされる。
それが今回紹介する「オールマンブラザーズバンド」の「ブラザーアンドシスターズ」である。

ご存じの方も多いと思うが、このバンドを代表していたリードギターリスト「デュアンオールマン」が交通事故で夭逝し、バンドの中心を無くした彼らの復活劇を演出した名盤である。
曲目を紹介しておこう。
1.wasted words
2.ramblin'man
3.come and go blues
4.jelly jelly
5.southbound
6.jessica
7.pony boy
グレックオールマンとデッキーベッツのオリジナルメンバーが中心となり、製作されたこのアルバムは、本国アメリカで大ヒットを記録する。
特に私のお勧めは、4のjelly jellyと6のjessicaである。
前者はコクのあるブルースで、アンニュイな感じを醸し出しているところがいい。
後者はどこまでも明るく爽やかなインストゥルメンタルである。

基本このアルバムは「カントリー」「ブルース」「アメリカンロック」を基調とした音楽が多い。
そしてどの曲の完成度も高く、まさに「名盤」の名に恥じない作りとなっている。
このアルバムも昨今流行りの「デラックスエディション」などと言い、余分なトラックが入っているものが発売されている。
できれば、それが無いオリジナルのエディションを聴いていただきたい。聴き終わった後の感動が違うのだ。

混沌とした70年代のロック界に、一筋の光を当てたこの作品、是非多くの方に聴いていただきたいと思う。
下に「ジェシカ」のリンクを貼った、是非皆様に聴いてほしい。

1973年、アメリカ製作、全米チャート1位。


明日のためにその442-今回の名盤

2020年02月16日 | 今回の名盤
ニトロな名盤。

今回から、不定期ではあるが、過去の日本、海外を問わず、私が選んだ名盤をご紹介したいと思う。
第一回目となる今回は、70年代最も世間に衝撃を与えたアルバム「セックスピストルズ」の「勝手にしやがれ(邦題)」である。
70年代末に発表されたこのアルバムは、当時混沌としていたイギリスの国内状況の如く、混沌としていた世界の「ロック界」に痛恨の一撃をくわえたアルバムである。
アルバムに収録されている曲を紹介しよう。

1.さらばベルリンの陽
2.お前は売女
3.分かってたまるか
4.ライヤー
5.ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン
6.怒りの日
7.セヴンティーン
8.アナーキー・イン・ザ・UK
9.サブミッション
10.プリティ・ヴェイカント
11.ニューヨーク
12.拝啓EMI殿

以上の12曲となっている。
中でも有名なのは、5であろう。イギリスの殆どの放送局で放送禁止になり、しかし、レコードは売れ続け、チャートのトップに輝いた。
つまり、チャートトップの楽曲が、イギリスでは放送禁止だったのだ。これは前代未聞のことである。
彼らのマネージャーは、マルコムマクラレン。様々なバンドをプロデューし、いつも世間を騒がせていた輩である。
一説によると、セックスピストルズの結成のきっかけは、ロンドンのキングスロードにあった、マクラレンが経営していたブティック「SEX」に集まっていた若者を集め、結成されたという。
しかし、デビュー直後、ベースの「グレンマトロック」がビートルズのファンだったことが判明。それを理由にバンドから離脱し、あの「シドヴィシャス」が加入する。
セックスピストルズは、このアルバム1枚を残し、解散してしまう。
その後シドは死亡、ギターのスティービジョーンズとドラムのポールクックは二人で「ザ・プロフェッショナルズ」を結成。メインヴォーカルだったジョニーロットンは、P.I.L(パブリック・イメージ・リミテット)を結成。後に「メタルボックス」と言う名盤を残す。

ここに収められた12曲は、どれも名曲で、当時の混沌としたイギリス社会の若者の叫びが聞こえてくるようだ。
私は当時発売されたLPを所有しているが、対訳歌詞カードには「対訳不能」の文字が並んでいた。それと言うのもジョニーロットンの歌い方が独特過ぎて、歌詞が聴き取れなかったものとおぼしい。
初めてこのアルバムを聴いた時、私は体中に電気でも流れたような衝撃をうけた。そして早速ヴォーカルをコピーし、先輩達のバンドにお願いして、歌を歌った覚えがある。
そして、時を経て、このアルバムは現在、70年代に最もロックに影響を及ぼしたものとして、その位置を不動のものとしている。
最後に「ゴット・セイヴ・ザ・クイーン」のPVを貼っておく。
是非この機会に、再度彼らの偉大さを確認してほしい。

Sex Pistols - God Save The Queen