ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその446-今週の一曲

2020年02月28日 | 今週の一曲
みなさま、週末のひととき、いかがお過ごしでしょうか。
今回の今週の一曲は、アラブ歌謡から、女性歌手の「マイッサム・ナハス」をご紹介します。
軽快なアラブのリズムにのり、軽々と歌いこなす彼女の実力は大したもの。
きっと皆さまも、ご納得いただけるでしょう。
では、ご堪能あれ。

Mayssam Nahas Khodne Fe Hodnak ميسم نحاس - خدنى بحضنك

明日のためにその445-亀は意外と速く泳ぐ

2020年02月25日 | 邦画
荒唐無稽な大駄作。

世の中、様々な映画が存在する。
しかし、映画の世界だけではないが、結果的に問われるのは、それが「傑作」か「駄作」かである。
「普通」と言う選択肢もあるが、果たして何をもって普通と言えるかは個人それぞれである。
だが、傑作と駄作だけは、映画そのものの作り等で、映画自身がそれを語ってくれるので面白い。
今回紹介する映画は「亀は意外と速く泳ぐ」
キャッチコピーとしては「脱力系スパイ映画」とあった。
ストーリーを紹介しておこう。

夫が海外単身赴任中の主婦、すずめはある日「スパイ募集」の小さな張り紙を見つける。
興味を持った彼女は、早速そこに書いてあった電話番号に連絡し、スパイの一味として活動することになる。
しかし、いくら待っても、スパイに関する指令は無く、毎日を淡々と過ごしていたのだが........

「駄作」である。
全く監督のイメージが空回りして、観客に訴えるものが何ひとつない。
ネットで監督を調べて驚いた、以前このブログで紹介した「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」と同じ監督ではないか。
あの作品も、誉める所を探すのにかなり苦心した作品だったが、この作品は更に酷い。
90分と言う短い時間の映画にも拘わらず、かなり観ている方としては苦痛を感じた。
何が言いたいのか、何を表現したいのか、全く分からないのだ。
この映画は、以前キネ旬の邦画ベストテンの中に選出されていた作品と憶えていたが、キネ旬のホームページを見たところ、製作年にこの映画がキネ旬のベストテンには選ばれておらず、私の勘違いであった。
では何故この映画のタイトルを憶えていたのだろうか、私自身未だに謎である。

「脱力系」とか「ポップな彩色」とか、この映画を形容している言葉はあるが、それには全く無理がある。
一体日本映画は何処に向かうのだろうか、心配は募るばかり。
収穫の全くない本作、私は観る必要は無いと思う。

2005年、日本製作、カラー、90分、監督:三木聡

明日のためにその444-今週の一曲

2020年02月21日 | 今週の一曲
みなさま、週末のひととき、いかがお過ごしでしょうか。
今回の今週の一曲は、ポルトガルの「ファド」をご紹介いたします。
依然もファドはご紹介しましたが、今回ご紹介する歌手「アナ・ラインス」は、ファド特有の少々重く、暗いビートで歌うのではなく、軽快で瑞々しいスタイルで歌いあげます。
或る意味ファドの「新機軸」とも言えましょうか、
では、みなさま、ご堪能あれ。

Ana Láins - Zanguei-me com o meu amor

明日のためにその443-血槍富士

2020年02月19日 | 邦画
凝縮された群像ドラマ。

人間、個々に人生は違う。
身分の差も、現代では無いように思うが、実はあったりする。
特にサラリーマンの世界では、江戸時代の身分制度があてはまるシチュエーションに度々出くわすだろう。
個々に違う人生が交錯する社会、そこに真の平等が求められるべきではないのか。
今回紹介する映画は「血槍富士」
江戸時代の階級制度に、辛辣な一撃を加えた映画だ。
ストーリーを紹介しておこう。

江戸を目指して東海道を旅する若様、小十郎と槍持ち権八、お供の源太。
彼らは、旅の途中途中で様々な人と出会い、触れ合う。
そして彼らは、街道中を荒らしまわっている泥棒を見事捕まえる。
ひょんな出来事に、彼ら自身も驚いたが、担当藩主からの礼状に、小十郎は激怒した。
捕まえたのは自分ではないのに、何故自分の手柄になるのか。
礼状一筆だけで、金銭も含めた礼が全くない。
この件を境に、小十郎の中で、武士世界に対する疑問が沸々と浮かび始めるのだが.........

旅する人たちの、群像の描き方が実に上手い。
各個人の描き方も、しっかり個性を込めて描いている点はさすがであろう。
いくつもの人間のストーリーが重なり合い、そこに重厚な物語が出来上がってくる。
とにかく素直に映画にのめりこめるところが秀逸な作品である。
とても柔和な形で映画は進んでいくのだが、それがラストには一転、悲惨な結果が待っている。
小十郎が求めた、自由で、人を尊重する世の中には、現在に至っても達成されていない。

人間は「エゴ」と言うものを持っている。
これを無くすことは無理なのであろうか。
これさえなければ、社会はもっと住みやすくなると思うのだが。
間違いの無い傑作なので、観ておられない方は、観ることをお勧めする。

1955年、日本製作、モノクロ、94分、監督:内田吐夢

明日のためにその442-今回の名盤

2020年02月16日 | 今回の名盤
ニトロな名盤。

今回から、不定期ではあるが、過去の日本、海外を問わず、私が選んだ名盤をご紹介したいと思う。
第一回目となる今回は、70年代最も世間に衝撃を与えたアルバム「セックスピストルズ」の「勝手にしやがれ(邦題)」である。
70年代末に発表されたこのアルバムは、当時混沌としていたイギリスの国内状況の如く、混沌としていた世界の「ロック界」に痛恨の一撃をくわえたアルバムである。
アルバムに収録されている曲を紹介しよう。

1.さらばベルリンの陽
2.お前は売女
3.分かってたまるか
4.ライヤー
5.ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン
6.怒りの日
7.セヴンティーン
8.アナーキー・イン・ザ・UK
9.サブミッション
10.プリティ・ヴェイカント
11.ニューヨーク
12.拝啓EMI殿

以上の12曲となっている。
中でも有名なのは、5であろう。イギリスの殆どの放送局で放送禁止になり、しかし、レコードは売れ続け、チャートのトップに輝いた。
つまり、チャートトップの楽曲が、イギリスでは放送禁止だったのだ。これは前代未聞のことである。
彼らのマネージャーは、マルコムマクラレン。様々なバンドをプロデューし、いつも世間を騒がせていた輩である。
一説によると、セックスピストルズの結成のきっかけは、ロンドンのキングスロードにあった、マクラレンが経営していたブティック「SEX」に集まっていた若者を集め、結成されたという。
しかし、デビュー直後、ベースの「グレンマトロック」がビートルズのファンだったことが判明。それを理由にバンドから離脱し、あの「シドヴィシャス」が加入する。
セックスピストルズは、このアルバム1枚を残し、解散してしまう。
その後シドは死亡、ギターのスティービジョーンズとドラムのポールクックは二人で「ザ・プロフェッショナルズ」を結成。メインヴォーカルだったジョニーロットンは、P.I.L(パブリック・イメージ・リミテット)を結成。後に「メタルボックス」と言う名盤を残す。

ここに収められた12曲は、どれも名曲で、当時の混沌としたイギリス社会の若者の叫びが聞こえてくるようだ。
私は当時発売されたLPを所有しているが、対訳歌詞カードには「対訳不能」の文字が並んでいた。それと言うのもジョニーロットンの歌い方が独特過ぎて、歌詞が聴き取れなかったものとおぼしい。
初めてこのアルバムを聴いた時、私は体中に電気でも流れたような衝撃をうけた。そして早速ヴォーカルをコピーし、先輩達のバンドにお願いして、歌を歌った覚えがある。
そして、時を経て、このアルバムは現在、70年代に最もロックに影響を及ぼしたものとして、その位置を不動のものとしている。
最後に「ゴット・セイヴ・ザ・クイーン」のPVを貼っておく。
是非この機会に、再度彼らの偉大さを確認してほしい。

Sex Pistols - God Save The Queen

明日のためにその441-今週の一曲

2020年02月14日 | 今週の一曲
みなさま、週末のひととき、いかがお過ごしでしょうか。
今回の今週の一曲は、ジャズハーモニカで有名な「ツーツ・シールマンズ」をご紹介します。
曲はジョン・シュレンジャー監督の映画「真夜中のカウボーイ」の主題曲です。
哀愁を帯びた、音色がとても素晴らしい演奏です。
では、みなさま、ご堪能あれ。

Toots Thielemans - Theme from Midnight Cowboy - European Quartet Live 2010

明日のためにその440-パラサイト半地下の家族

2020年02月12日 | アジア映画
カンヌ、アカデミー賞受賞作品。

今年のアカデミー賞で、奇跡が起きた。誇張表現と思われる方もいるだろうが、私にとっては「奇跡」以外の何物でもない。
そう、韓国のボン・ジュノ監督の映画「パラサイト」が、アカデミー賞の監督賞と作品賞を受賞したのだ。
これは92回を誇るアカデミー賞の中で、母国語の「英語」以外が使用された映画が、作品賞を取るのは初めてである。
それもアジア圏からそれが現れるとは、誰も予想だにしなかったことではないだろうか。
早速それを受けて、私もパラサイトを観に行ってきた。
普段ならばここで、ストーリーの紹介をするのだが、この映画、ストーリーを紹介すると、全てネタバレとなってしまうので、あえてここは割愛させていただく。
よって、今回は、私のこの映画を観たストレートな感想を書いてみたい。

ボン・ジュノ作品は何本か観ており、正直あまり好きな監督ではない。
何と言うか、作品は実に上手く作ってあるのだが、その作りの上手さがスクリーンに出過ぎてしまって、少々鼻につくのだ。
今回もそのような点が目立つのを覚悟に、劇場へと足を運んだ。
しかしどうしたことだろう、いくら時間が経ってもその「鼻につく上手さ」が全く出てこないのだ。
これは意図的なものか、彼の作風が変わったのか、私は知るべくもない。
ここについては、観終わった後、今になっても、この映画の最も疑問な点である。
そして、韓国映画については、いつも思うのだが、脚本が上手い。
韓国映画は脚本で持っていると、私は常々思っている。
この映画も例外ではない、脚本の上手さが目立つ。
しかし、前述のとおり、監督の映画作りの上手さは、全く目立っていない。
繰り返し申し上げるが、いつものボン・ジュノの映画とは違うのだ。
それが功を奏したと言うことは無いと思うのだが........
それと、何故か映画の前半に、是枝裕和の「万引き家族」の臭いがしていた。(私だけがそう思ったのかもしれないが)

韓国には名匠「キムギドク」が居る。果たしてボン・ジュノは彼に追いつき、追い越せるのだろうか。
各国の映画賞を受賞した作品が、全て名画とは限らない。後に語られる映画になるとも限らない。
果たしてこの「パラサイト」は、後年どのような評価を受けるのだろうか。
私自身は、傑作と呼べるほどの映画だとは言えないと思った。これが素直なこの映画の感想である。
しかし、昨年のカンヌ映画祭のパルムドールを受賞し、今年の米国アカデミー賞の作品賞、監督賞を受賞した作品だ。
特にアカデミー賞の受賞内容が凄いので、駄作ではないとは言えよう。
現在公開中であるから、観ていない方には、観ることをお勧めする。

2019年、韓国製作、カラー、132分、監督:ボン・ジュノ


明日のためにその439-The NET 網に囚われた男

2020年02月09日 | アジア映画
国にとっての個人とは何か。

北朝鮮。未だ謎の多い閉ざされた国である。
多くの人民は、貧困で飢えに苦しんでいると言う。
一方南朝鮮(韓国)は、決して裕福とは言えないものの、以前の軍事政権下時代に比べれば、自由な生活を送っている。
この南北朝鮮問題は、いつ解決するのだろうか。
今回紹介する映画は「The NET 網に囚われた男」
南北の朝鮮に、人生を破綻させられた男の物語である。
ストーリーを紹介しておこう。

北朝鮮の漁夫、ナム・チョルは、妻と娘と三人で質素に暮らしていた。
ある日彼は、いつも通り前日に仕掛けた網を上げるべく、小さな船にのり、自分の漁場まで行く。
しかし、網が船のスクリューに引っかかってしまい、挙句スクリューを回転させるモーターまで故障させてしまう。
彼は波の動きに逆らえず、どんどん韓国との境界線に近づき、ついには韓国側へ入ってしまう。
それを見ていた韓国側の兵士は、彼を捉え、警察に引き渡す。
引き渡された所で、彼を待っていたものとは.........

この映画の監督は、キム・ギドク、韓国を代表する一流監督である。
全編見渡した所、彼独自の解釈がこの映画にはでていない。
しかし、さすがはギドク、強烈なメッセージを込めて映画は作られている。
韓国当局に引き渡されたチョルは、一人の優しい若い刑事に親切にされるが、後の刑事には不当な扱いを受ける。
暴行を含んだ取り調べを受けるのだ。
韓国側としては、北朝鮮に彼を帰すことなく、韓国へ脱北し、新しい家族を作り生活してもらうのが狙いだが、彼は断固としてそれを断る。
ソウルの街並みの裕福さを見せ、心変わりをさせる作戦も、彼には通用せず、結局脱北の作戦は不発に終わる。
そんな折、彼が捕まった直後に捕まった別の北朝鮮人が、スパイとして認定されるのだが、彼は取り調べの最中に脱走をして、自らの命を絶つ。
しかし、マスコミの調査で、死んだ彼は北のスパイではないことが報じられ、もはやチョルに対しての、スパイ容疑をでっち上げることが難しくなった。
散々の取り調べの上、チョルは北朝鮮へ、来た時と同じ船で戻ることになる。
北朝鮮に恩義を感じ、徹底的に韓国の取り調べに対抗した彼だったが、北朝鮮に帰国すると、すぐ当局に連行され、韓国で受けたような取り調べを経験する。
「折角帰ってきたのに、この仕打ちは何だ」彼の心からの悲痛な叫びがスクリーンを通じてこちらにも響いてくる。
韓国、祖国で受けた仕打ちに、彼はすっかり人間として壊れてしまっていた。
そしてラスト、彼はいつも通り、魚を捕る網を張りに川に出ようとする。しかし、境界線の警備隊に「お前は既に漁夫ではない、他の仕事を探せ」と冷たい言葉を投げかけられる。
ついに怒り心頭に発したチョルは、警備員の静止を振り切り、船を出す。船を出したら即射殺すると言う警備員の言葉も彼には通じない。
そして彼が船を出した後、銃声が聞こえたのだった。
結局国家にとって、人個人は、大した存在ではないのであろうか。人が集まり、やがて国家と言うものができる。その礎は、国民一人一人の存在ではないだろうか。
この映画を観て、いかに個人と言うもが、国に大切に扱われていないのかと言うことを痛感した。

ギドクの映画の中では、具象的な分かりやす作品であるから、是非観ていない方は観ることをお勧めする。

2016年、韓国製作、カラー、112分、監督:キム・ギドク

明日のためにその438-今週の一曲。

2020年02月07日 | 今週の一曲
みなさま、週末のひととき、いかがお過ごしでしょうか。
今回の今週の一曲は、マレーシアの女性歌手「ノラニザ・イドリス」をご紹介します。
独特のリズムに、彼女の力強い声がのる、なかなかの名曲です。
では、ご堪能あれ。


明日のためにその437-ジョーカー

2020年02月05日 | アメリカ映画
圧巻の演技が見どころ。

世間には、富裕層と貧困層が存在する。
高見から、社会を見下ろす富裕層と、底辺のプライドで何事にも挑む貧困層。
この両者の違いは、言葉では言い尽くせないものがあるだろう。
今回紹介する映画は「ジョーカー」
バットマンの宿敵として知られる、彼のことを、彼の視線から描いた作品だ。
ストーリーを紹介しておこう。

ゴッサムシティの貧困層に生まれ育ったアーサー。
彼はコメディアンを目指し、ピエロとして働いていた。
しかし、世間の目は冷たく、彼には災いばかり降りかかってくる。
ある日彼は、富裕層のエリートサラリーマンと、電車の中でトラブルを起こす。
そして彼は、彼らに袋叩きにあう。
アーサーは、職場の仲間から、自分の身を守るようにと借りていたピストルで、彼らを殺してしまう。
必死に逃げるアーサーだったが.........

まずこの映画で、観客の目を釘付けにするのは、アーサーを演じた「ホアキン・フェニックス」だろう。
彼の演技の迫真さは、観る者を圧倒的な力でねじ伏せる。
最近観た映画の中では、ピカイチの出来である。
アーサーは、母親と二人暮らし、しかし実は、昔母親から虐待を受けたため、精神に欠陥が残り、極度の緊張をすると、笑ってしまうと言う病癖がある。
そのため、コメディの舞台に立っても、話しがなかなか進まない。
一方世間では、アーサーが起こした「富裕層サラリーマン殺人事件」が貧困層の大衆の支持を受け、街ではピエロの化粧やお面をした群衆が、激しいデモを行っていた。
そして、やがてアーサーに自我が芽生え始める。
そう、バットマンの宿敵「ジョーカー」としての自覚だ。
自分を受け入れてくれなかった世間への実力行使として、映画後半にジョーカーは颯爽と誕生する。
バットマンとの絡みも、しっかり描かれていて、幼い頃のブルース・ウエイン(のちのバットマンと出会うシーンも、しっかり作ってあり、映画の作りの丁寧さにも満足できた。
ただ唯一、重箱の隅を言うならば、ラストシーン近くで、クリームの演奏する「ホワイトルーム)と言う曲がかかるが、そこだけはシーンと音楽の間に剥離間が有ったように思う。
しかし、主演俳優の演技の素晴らしさと言い、映画作りの丁寧さと言い、近年では傑作の部類に入る作品である。
まだ観ていない方がいらっしゃったら、是非観ることをお勧めする。

2019年、アメリカ製作、カラー、121分、監督:トッド・フィリップス