ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその294-ミゲール・コット

2018年01月24日 | ボクシング
偉大なるチャンピオンの引退。

ボクシング。
世界戦ともなれば、3分、12ラウンドを戦う激しいスポーツだ。
ラウンドごとに優劣を付けられ、ポイントを加算していく。
しかし、ラストラウンドに強烈なパンチを浴び、ノックアウトされれば、ポイントの優劣は無くなり、逆転勝利となる。極めて残酷な競技と言えよう。
先日偉大なるチャンピオンが引退した。
プエルトリコ出身の「ミゲール・コット」だ。
彼は「スーパライト級」から「ミドル級」までを制覇した、プエルトリコ初の四階級王者である。
驚くのは、彼が、ミドル級まで制覇したことである。
ミドル級は、それ以下の階級と比べて、明らかに体格が違う。
ミドル級用の体格が必須となる。
しかし、コットはその体格差をものともせずに、ミドル級のチャンピオンになった。
その功績は驚くべきものである。
そのコットの引退試合の相手は、アメリカ出身の29歳、サダム・アリだ。
体格的には、両者ともほぼ互角。年齢差は8歳、そう、コットは37歳なのだ。
では、その引退試合の12ラウンドを、簡単に振り返ってみよう。文中最後にあるのは、ポイントを取った選手名だ。(あくまで、私見であるが。)

1R 一進一退のお互いの攻防、決め手の一打なし。 イーブン。
2R 1Rと同じ展開だが、後半アリの右ストレートがヒット。コットぐらつく。 アリ。
3R コット積極的に攻める。 コット。
4R コット積極的に攻めるが、後半アリに打たれる。 アリ。
5R コット積極的に距離を詰め攻める。 コット。
6R 5R同様コット距離を詰め積極的に攻める、後半右ストレートがヒット。 コット。
7R コット全体的にペースを握る。 コット。
8R コットペースを維持し、主導権を握る。しかし、ラウンド終わりにアリのアッパーヒット アリ。
9R 前半アリの攻勢、後半コットの攻勢。 コット。
10R 一進一退の攻防、後半アリのパンチヒット。コット失速する。 アリ。
11R アリの攻勢に、コット防御するのみ。 アリ。
12R 前半アリの攻勢、後半苦しみながらコット反撃。 アリ。

結果 3対0の判定で、サダム・アリの勝利。

試合は終った。
引退試合を「勝利」と言う花道で帰りたかったろうコット。
しかし、現実は残酷である。
試合後、インタビューに答えたコットは、インタビュアーの「引退を撤回しませんか」と言う問いに、混じりけなしの、爽やかな顔で「これで引退です。後は家族とゆっくりすごします。」と答えた。
16年にわたったコットの冒険は幕を閉じた。
しかし、この偉大なチャンピオンを、ボクシングフアンが忘れることは無いだろう。

明日のためにその102-ボクシングとは

2013年09月16日 | ボクシング
ボクシングで闘うということ。

昨日注目のボクシングの試合があった。
WBA、WBC統一王者のタイトルマッチである。
統一戦である以上に戦う二人の存在に世界中が注目をした。
36歳でなお現役無類のスピードを誇るフロイド・メイウエザー。
片や15歳でプロデビュー、20歳でチャンピオンになったサウル・アルバレス。
どちらもプロで40戦以上して無敗のスーパースターである。
そのスピードを活かしアウトボクシンで相手を翻弄するメイウエザー。
アルバレスは連続の強打を武器にしたファイターである。
戦前のオッズも珍しくアルバレス優位であった。(かってメイウエザー戦ではメイウエザーのオッズ優位は揺るがないものだったのだが)
まだ20代のアルバレスの若さとタフネスに興味があったのであろう。
アルバレスの強打の連打がメイウエザーーのディフェンスを破り彼に始めての敗戦を味あわせると周囲は見ていたのだ。
しかし試合が開始すると前半のラウンドこそ積極的に前にでたアルバレスが目立ったものの、後半に流れるにつれて「メイウエザー劇場」とも言える彼の華麗なボクシンの前にアルバレスは防戦一方となる。
結果はドロー一人、メイウエザーの勝利二人の判定でメイウエザーがこの一戦を勝利した。
果たしてアルバレスは何故負けたのであろうか。
私なりに考えてみたのだが最近のボクシングの試合では強者同士が闘うと派手な打ち合いになり早いラウンドでのノックアウトが見られると思ってしまう。
昔はそうだったのだが最近はその傾向が違ってきた。
それは何故か。
ボクサーの気持ちの持ち方が違ってきているのではないかと私は思っている。
昔は「自分が勝つのだ」と言う気持ちで闘っていたのが今は「自分は負けなければ良いのだ」と言う気持ちに変わってきているのではないだろうか?
今回の一戦もアルバレスに「自分が勝つ」を言う強い気持ちがあればもっと積極的に連打できたと思う。
古い話だが80年代を代表するトーマスハーンズ対マービンハグラー戦などはお互いの「自分が勝つ」と言う闘志むきだしの素晴らしい試合だった。
私もボクシングが昔から好きで様々な試合を観てきたのだが今回の試合を観て前述した「気持ちの持ち方」の変化を感じたときすこし寂しい気がした。


明日のためにその60-クリアヒット

2012年12月15日 | ボクシング
閃光の一撃。

私は昔からボクシングのファンで今でもテレビをとおしてボクシングの試合を観ている。
日本にも偉大なるボクシング選手は多数存在した。
中でも「具志堅 用高」は忘れてはならぬチャンピオンの一人だ。
プロ9戦目で当時世界最強といわれたチャンピオンを7回マットに沈めた。
日本ボクシング史上最短の挑戦を制しチャンピオンベルトを巻いたのだ。
その後13度王座防衛に成功しており、日本人としては未だ破られていない記録を持っている。
今でこそテレビのヴァラエティで活躍している彼だがその彼がこれほど偉大なチャンピオンであったことは決して忘れてはならない。
先日今年最大に注目されたボクシングの試合が開催された。
現在最強のボクサーと謳われ6階級制覇をはたしたフィリピン出身のマニー・パッキャオ。
そのパッキャオと過去3度にわたり拳を交え一歩も引けをとらなかったメキシコ出身の4階級制覇をはたしたファン・マヌエル・マルケス。
この二人の4度目の試合が先日開催された。
過去パッキャオの2勝1分、どの試合も接戦であった。
パッキャオは得意の左ストレートでマルケス以外の対戦相手は殆どマットに沈めていた。
または圧倒的な勝利を得ていたのである。
しかしマルケスだけにはいつも接戦を強いられていた。
その二人が事実上どちらが強いかを決める一戦なのである。
試合は両者とも1度ダウンを奪われるという緊迫した試合だった。
結果は6ラウンド2分59秒パッキャオが得意の左ストレートを放とうと踏み込んだ瞬間マルケスの右カウンターがヒット、パッキャオは音もなく前のめりにマットに沈んだ。
これである、これこそがボクシングの醍醐味である。
一瞬のカウンターに崩れ行く肉体。
このカタストロフィーこそボクシングがアートである所以である。
このボクシングの持つアートに魅入られて私はボクシングを観始めた。
この美しきボクシングのアートの世界、まだボクシングを観たことが無い方には是非一度観ることをお勧めする。