ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその67-ミッド・ナイト・イン・パリ

2013年02月27日 | アメリカ映画
過去への郷愁は現在への否定。

元号が平成に変わり20年以上が経過した。
今や平成生まれの芸能人等が活躍する時代になった。
「昭和」は遠くなりにけりだ。
平成生まれの人達は「昭和」についてどのように思っているのだろうか。
一度はタイムスリップしたい時代なのだろうか。
私など昭和生まれのものは昭和に郷愁の念を抱く。
今回紹介する映画は「ミッドナイトインパリ」
監督は名匠ウディアレンである。
ストーリーを紹介しよう。
売れっ子脚本家であるが小説作家にあこがれる男性主人公がフィアンセと彼女の両親とパリへ旅行することになる。
1920年代のパリを「黄金時代」とあこがれる彼はある日深夜のパリを一人散策していた。
深夜を知らせるベルが鳴り響く中、一台のクラッシックカーが彼の前で停車する。
中には見知らぬ人達が乗っていて彼にも車に乗るように勧める。
疑念を持ちながらも彼はその車に乗る。
あるクラブの前で車を降りた彼は驚く、そこはなんと1920年代のパリだった.......
さすが名匠のウディアレン、ものの数分で自分の映画の中に観客を取り込んでしまう映画のつくりは見事である。
1920年代にタイムスリップした彼はその年代の有名人達と遭遇する。
作家のヘミングウエイ、作曲家のコールポーター、映画監督のルイスブニュエル、画家のピカソ。
枚挙にいとまがない。
映画は後半さらに意外な方向に進んで行くのだがそのシークエンスで「過去への憧れは現在の否定なのだよ」と言うメッセージが受取れる。
映画全体のつくりも申し分なくしっかりしていて観ていてもあきることがない。
蛇足だが主人公がルイスブニュエルに後年彼が撮る事になる映画の筋書きを教えるところではおもわずほくそえんだ。
映画フアンならずとも全般に受け入れられる作品なので是非観ていただきたい。
2011年製作、2012年日本公開、ウディアレン監督、アメリカ製作、アカデミー脚本賞。

明日のためにその66-ニーチェの馬

2013年02月26日 | ヨーロッパ映画
力強い映像に圧倒される。

カメラ=万年筆。
フランスの映画監督「アレクサンドル・アストリュック」が提唱した理論である。
私たちは映画のカメラを通して物語を見る。
正確に言えば監督の意図としたカメラワークを通して映画に参加しているとも言える。
正に「カメラ=万年筆」の理論に合致しているのではないだろうか。
今回紹介する映画は「ニーチェの馬」
今までならここでストーリーを紹介するのだが今回は割愛させていただく。
そもそもこの映画に具体的なストーリーは無い。
ただただ父親と娘の数日の生活を映し出しているだけである。
しかし凄いのは映像力である。
台詞も殆どなく、エピソードも無い。
しかしカメラはその風景をとても力強く撮っている。
ワンシーン、ワンカットの長回しのカメラワークを多用しその映像の力強さには圧倒される。
あまり一般的な映画とは言いがたいのでお勧めできないが観る機会があれば是非観てほしい。
2011年製作、2012年日本公開、タル・ベーラ監督、第61回ベルリン映画祭銀熊賞。



明日のためにその65-リンダリンダリンダ

2013年02月19日 | 邦画
荒削りだが共感の持てる作品。

文化祭。
この言葉を聞くと今でも少年時代の自分が蘇る。
文化祭での私の最大の思い出はやはり「バンド」でのライヴステージだろう。
今でも鮮明にその記憶は残っている。
今回紹介する映画は「リンダリンダリンダ」
高校の文化祭を題材にした映画である。
高校の文化祭、女性バンドがあることをきっかけで分裂してしまう。
しかし彼女らはステージに立つことを選択肢新しいヴォーカリストを迎え練習に励むことになるのだが....
この映画は文化祭、バンドをモチーフにした青春群像である。
個人的にバンドを組んでいる私には共感できることの多い映画であった。
しかし映画のつくりとしてはまだまだ荒削りである。
だがそのようなつくりが新鮮で瑞々しい。
それに俳優の演技がナチュラルで好感が持てた。
監督は山下 敦弘。
最近の映画では芥川賞を受賞した「苦役列車」を撮った監督である。
若干映画の出来には不安定さがある監督である。
しかし未だ未見の苦役列車は是非見てみたい作品である。
2005年公開、カラー、日本、114分、山下 敦弘監督