ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその434-クリエイション

2020年01月29日 | ロック
日本文化から生まれたロック。

1960年代後期から1970年代初期まで「日本語でロックを作ることは可能か」と言う論議が盛んになされた。
その最終結果が「はっぴいえんど」であると言うことは、今や常識である。
そして、その傾向は「char」により昇華され、ここに見事「日本語でロックを作ることは可能である」と言う確信的な状況は完成した。
しかし、はっぴいえんどから、charに至るまで、日本でのロック作りは、紆余曲折を経て成り立ってきた。
その中心的存在だったのが、今回紹介するバンド「クリエイション」だ。

竹田和夫(ギター)を中心に、GSブームの去った後、ブルースクリエイションとして1963年に結成されたのが最初である。
その後、メンバーを入れ替え、1975年に念願のファーストアルバム「クリエイション」をリリース。
そして、1977年、日本ロック史に残る名曲「スピニング・トー・ホールド」がリリースされ、一挙に彼らは名声を勝ち得た。
1979年、メンバーを一新し、日本歌謡界にも進出。彼らの或る意味一番の代表曲「ロンリー・ハート」がリリースされる。
私の記憶では、彼らはこの曲を引き下げて、当時の人気歌謡番組「ザ・ベストテン」にも出演していたはずだ。
彼らの歴史は、今もなお続いており、リーダーの竹田和夫を精力的に活動を行っている。

私が今回注目したのは、ファーストアルバムの頃のクリエイションである。
日本語ロック論を全く無視した、全編英語のタイトルに英語の歌詞。ある意味時代に逆行するような行動を何故彼は取ったのか。
私が思うに「ロックさえすれば、そこに日本語とか英語の問題は存在すること自体が可笑しい」と言う彼ら独特のポリシーがあったのではないかと思う。
勿論歌を歌うからには、歌詞は必要である、がしかし、音楽とは本来音で何かを表現したり、音を楽しむ事が最も重要である。
それに対する彼らなりの解答が、このファーストアルバム「クリエイション」に出ているのではないだろうか。
今このアルバムを聴けば、彼らの回答がここにあるということは明快に分かる。

今回はこのアルバムの中から、名曲「ユー・ベター・ファインド・アウト」を聴いていただく。
スタンダードなブルースロックだが、なかなか編曲に癖があり、一筋縄ではいかない、見事な作りの曲である。
彼らの野心、情熱が伝わってくる名曲である。今のJ-POPにこのような曲は、求めるべくもないが。寂しい次第である。

You Better Find Out


明日のためにその229-ザ・クロマニヨンズ

2016年05月28日 | ロック
変わらないかっこよさ。

初心忘れるべからず。
初心を貫徹して生きてゆくことは、人生にとって並大抵のことではない。
時を削り取り、先へ進むにしたがって、人は変化を求められる。
また逆に、変化を求める人もいる。
音楽の世界も同じである。
近年、長寿バンドが増えてきて、私も全てのバンドを聴いているわけではないが、それらのバンドのサウンドは変化しているだろう。
短期間の活動ではあったが「ビートルズ」も初期から後期にかけては、サウンドが大きく変わっている。
「プリーズプリーズミー」を演奏していた彼らが「アビイロード」と言うアルバムを誰が製作することを予想したであろう。音楽を純粋に考えていくと、私は彼らの変化は正しいものと思っている。
長寿バンド世界一である「ローリングストーンズ」も、またしたりである。彼らも大きな振幅を繰り返しながら、バンドのサウンドを変化させてきた。
私自身も「ダーリン三浦と横浜シューシャンボーイズ」で音楽活動をしていたとき、やはり五人のアンサンブルでは足りないと言うことを経験した。
私が作詞、作曲してきた音楽は、後年になるほど「楽器」を多用しなければ、納得のゆく楽曲として発表できないと思っていた。
それは私が「ロック」と言うジャンルを意識せず「音楽」自体を制作したかったので、当然の結末と言える。
しかし、世の中には前述した「初心貫徹」を体言しているバンドがいまだにいる。それも日本にだ。
そのバンドの名前は「ザ・クロマニヨンズ」である。

「ザ・クロマニヨンズ」遡れば1985年、甲本ヒロトと真島昌利が結成した「ブルーハーツ」が元素となる。
ブルーハーツ解散後、甲本と真島はTHE HIGH-LOWSを結成。その後解散、現在の「ザ・クロマニヨンズ」となる。

甲本は少年時代「セックスピストルズ」に憧れ、自分でもミュージシャンになることを夢に見ていたと言う。
以後、彼は自分の夢を真島をパートナーとして果たし、現在に至る。
とにかくいくつバンドを解散し、結成しても、演奏する音楽はストレートな「ロックンロール」ばかりだ。
インテリぶって、前衛的な音楽を制作することもしない。
また歌詞も、常に攻撃的メッセージのあるものばかりだ。近年のJ-POPに見られる「手を取り合って仲良くなろう」的なやわな歌詞はない。
彼らは誰にも、迎合しないし、媚びることもしない。自分たちの思った事を、歌詞、メロディーに乗せて唄ってゆく。
甲本ヒロトも既に50歳を過ぎている。熟年域の人生のなかで、彼はまだ「ロックンロール」演り続ける。
ステージでは飛び跳ね、腹の底から声を絞り出す。
これがすこぶる「かっこいい」
私は「かっこいい」と言う言葉を、最高の褒め言葉として使用している。
彼らの、筋金が「ピン」と通った音楽性には感服する。
いくつになっても、この「かっこいい」「ロックンロール」を続けてもらいたい。


明日のためにその118-ザ・ストライプス

2013年11月14日 | ロック
久しぶりに現れたロック界の新星。

1960年代ビートルズに始まった「ブリティッシュインヴェンション」は時を経て1970年代の「ロック混沌期」から1980年代の「パンク・ニューウエイヴ」に至った。
その後1990年代から現在に至るまでブラックカルチャーの「ラップ」がメインストリームとなっている。
現在の音楽要素にはラップは必須となっている感がある。
どのアーティストの音楽もラップに少なからず影響を受けている。
しかし最近アイルランドから新たなるロック界へ彗星の如く登場したバンドがいる。
「ザ・ストライプス」
彼らは平均年齢16歳の若さで2011年にバンド結成。
かのジェフ・ベック、エルトン・ジョンからも高くその資質を評価されているバンドだ。
既に来日も果たし、各公演全てチケットはソールドアウトだったと言う。
日本のテレビ番組「ミュージックステーション」にも出演したということだ。(私は未見だが)
彼らのルーツはブルースをベースにしたロックンロールである。
若干初期のストレインキャッツを彷彿させるところもある。
ルックスあたりまえだがとても若くまだ音楽界に染まりきっていない瑞々しさを感じさせる。
最近ファーストアルバム「スナップショット」をリリース。
早速私も聴いてみたが切れの良いビートには久々に感動を覚えた。
以前このブログで紹介した「ジョンスペンサー&ブルースエキスプローション」と比べるとまだサウンドが軽いと思う。
しかし経験を積み重ねることによりより重厚なロックンロールを聴かせてくれるバンドになりそうだ。
このようなバンドを音楽界は良い方向に育成する義務があると思う。
ロックロールの王道の復活に期待だ。

明日のためにその117-レッドツェッペリンⅣ

2013年11月13日 | ロック
70年代を代表する1枚。

1970年代洋楽の世界はホワイトカルチャーとブラックカルチャーがせめぎあっていた。
まさに洋楽界はカオスの状況を呈していた。
同じ時期彗星の如く表れ今日にもつながるジャンルが誕生する。
「ハードロック」である。
ハードロック界も群雄割拠、様々なバンドが切磋琢磨していた。
代表格では「ディープパープル」「ブルーチェア」「マウンテン」や路線をややハードロックよりにした「ザ・フー」などが挙げられる。
その中でも郡を抜いて実力人気ともに併せ持ったのが今回紹介するイギリス出身の「レッドツェッペリン」である。
ヴォーカル:ロバート・プラント、ギター:ジミー・ペイジ、ベース:ジョン・ポール・ジョーンズ、ドラム:ジョン・ボナーム。
以上の4人が様々な楽器を演奏し革新的な楽曲を次々の作り「ハードロック」界に新しい波を送り込んだ。
今回紹介するアルバムは「レッドツェッペリンⅣ」
名曲揃いの名作である。
発売当初はこのアルバムからのヒット曲が多くコアなフアンからは「駄作」扱いを受けていたものである。
しかし近年評価も変わり「レッドツェッペリンⅡ」と並んで代表作に数えられるようになった。
アルバムA面(アナログ表記になるが)だけでも「ブラックドック」「ロックンロール」「天国への会談」とハードロック界と言う境界線を越えた名曲揃いである。
アルバム全体を通じても様々な要素の楽曲が並び安心して聴いていられる完成度の高いものである。
1968年から1980年までの短い時間の活動であったがこの他名曲の数々を彼らは残していった。
最近では聞かなくなった「ハードロック」と言うジャンルのデファクトスタンダードとしても一聴すべきアルバムである。
1977年発表。


明日のためにその111-ヴェルヴェット・アンダーグラウンド

2013年10月10日 | ロック
ノイジーでソリッドな音。

私の好きな80年代のパンク・ニューウエイヴのバンドはその殆どが1970年代に結成されている。
70年代の音楽界は正に混沌、アートロックやプログレッシブロック派手なコスチュームで演奏するグラムロック。
音楽のメインストリーム不在の時代と言える。
しかし時代は確実に動いていた。
そのような状況下次世代の音楽を目指し様々なロックバンドが産声を上げていた。
今回紹介するヴェルヴェット・アンダーグラウンドは時代こそ60年代終盤のバンドだがこれ以降現れたバンドの先駆けとなった。
1965年に結成されその後あの「アンディウオフォール」に見出されデビューしている。
そして1968年に歴史に残る名盤「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」を発表、しかしその後バンドの方向性の違いからメンバーの交代があり音楽性も変化していった。
このバンドの中心人物は今も現役で活躍する「ルー・リード」である。
彼はこのバンド脱退後も名作、問題作を次々と発表している。
今回紹介するのは別名「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドⅢ」と呼ばれる彼らの三作目のアルバムである。
前述した二作目の「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」を紹介したかったがあまりにも前衛的過ぎるので今回は「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドⅢ」の紹介となった。
内容はいたってシンプル、前作のノイズを全体的にフィーチャーしたアルバムと違い聴きやすい内容となっている。
一曲目のバラード調の「キャンディセッズ」から始まりノイジーでソリッドな「ホワットゴーズオン」を含む全10曲で構成されている。
どの曲もシンプルでケレンの無い見事な仕上がりでとなっている。
個人的には彼らのアルバムの中で一番好きなものである。
「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」
その後の洋楽界をリードすべく現れた稀有なバンドだ。
是非お聴きになることをお勧めする。

明日のためにその46-スーパー・セッション

2012年07月14日 | ロック
うなりをあげるホワイトブルース。

1970年代のロック。
それは以前も書いたようにブルースを基盤としたロックの全盛期でもあった。
そんな時代の中にひときわ輝くギタリストがいた。
マイクブルームフィールドである。
彼は白人にして屈指の名ブルースギタリストであった。
鋭い音の切れ味、コクのあるフレーズ、どれをとっても素晴らしい。
そんな彼の代表作が今回紹介する「スーパーセッション」である。
ブラッド,スウェット&ティアーズにも参加したことのあるアルクーパの誘いにより実現したロックの歴史にその名を残す名盤である。
一曲目のアルバートのシャッフルで完全に私はこのアルバムにのめりこんだ。
この曲はあまりに素晴らしくアルバムの最初を飾るにはまさにうってつけの曲であった。
その他数曲スリリングでコクのあるブルースの曲が収録されている。
一曲目、いきなりの「アルバートのシャッフル」
これを聴くだけでも価値ある素晴らしいアルバムである。
前回紹介したブルースエキスプロージョンとはタイプの違うブルースであるが興味を持たれたら是非お聴きになることをお勧めする。
1968年作品。

あしたのためにその44-ジェリーフッシュ

2012年06月30日 | ロック
90年代の傑作アルバム

トータルアルバム。
何か一つのコンセプトに基づきアルバムを完成させたもの。
1970年代にはビートルズやビーチボーイズ、デヴィットボウイ等が傑作を残している。
その後レコード業界はシングルをセールスすることに重点をおいたためトータルアルバムは自然淘汰されたた。
しかし他の意見としてその後もトータルアルバムは作り続けられたと言う説もある。
残念なことに私自身そのようなアルバムを聴いていない。
ところが1993年に発売された今回紹介する「ジェリーフィッシュ」の「こぼれたミルクに泣かないで」を聴いたときはとても驚き、感心させられた。
ジェリーフィッシュ。
1990年代に活躍したロックバンドでアルバムは前述したものをあわせて2枚しか発表していない。
この「こぼれたミルクに泣かないで」はとてもしっかり作られたアルバムである。
感覚的には70年代に近いサウンドであるが楽曲の作りの素晴らしさは絶賛にあたいしよう。
このアルバムを買った当時は私自身のヘビーローティションのアルバムになっていた。
昨今のポピュラー音楽に飽きてしまった方などには是非お勧めする一枚である。

明日のためにその42-ジョンスペンサー&ブルースエクスプロージョン

2012年06月16日 | ロック
感性に響く重い一音。

ブルース。
昔私たちの時代のアマチュアミュージシャンはこの音楽を手本にギターを練習したものである。
新しくはエリック・クラプトン古くはロバートジョンソンなどのプレイを聞きながらギターのアドリブのリフを考えたものである。
パンク・ニューウエイブの出現する前のロックはこのブルースが基本となりヘヴィなロックンロールを聞かせていた。
しかし「ロック」そのものがオールドウエイヴへ置き去りにされてからは殆ど新しいバンドでブルースをベ-スにしたロックンロールを聞かせくれることがなかった。
今回紹介するバンドは「ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン」
まさに骨太のブルースをベースにしたロックンロールを聴かせてくれるバンドである。
単純に「かっこいい」バンドである。
理屈抜きに楽しめる。
昨今の軽く揺らいだロックとは違い重量級のヘヴィな音が聴くものを圧倒するだろう。

明日のためにその24-ベンチャーズ

2012年03月09日 | ロック
エレキの革命者

私がバンドを組んで自分たちのオリジナル曲を演奏しようと思ったのは「ビートルズ」の影響である。
しかし私がエレキギターを始めたきっかけは「ビートルズ」でも「ジミ・ヘンドリクス」や「ジミー・ペイジ」の影響ではない。
今回紹介する「ベンチャーズ」が私にエレキギターの素晴らしさを教えてくれたからだ。
結成して50年以上にもなるベンチャーズ。
リアルタイムで私はベンチャーズを知らない。
後にレコードで彼らの存在を知ることになる。
とにかく衝撃的であった、エレキギターとは素晴らしいものだと思った。
彼ら独特の音のギミックはとても新鮮で、有名なリバーブを効かせた「テケテケテケ」と聞こえる6弦を使ったグリッサンドや絃を軽く爪で掻きリバーブを効かせた「キュキュ」と聞こえる音にとても興味を惹かれた。
念願のエレキギターを購入した時には「耳コピ」で彼らの代表曲「ダイヤモンドヘッド」などを演奏したものだった。
今のエレキギターをひく少年達は何を手本にしているのか私は知らない。
しかし彼らにも是非聞いてもらいたいバンドである。

明日のためにその1-ビーチボーイズ スマイル

2012年01月09日 | ロック
今日からブログを書くことになった。
主に音楽や映画など自分の好きなことを思うまま書いてゆきたいと思う。
ちょっと緊張するが一回目の今日は音楽を題材にする。

昨年のCD発売話題ナンバーワン「ビーチボーイズ」の「スマイル」

この書き出しをみてピンと来た人はかなりの音楽通である。
ビーチボーイズのスマイル。
天才ブライアン・ウイルソンの率いたビーチボーイズの未発表アルバムである。
なんと40年以上も前に作られていたもののお蔵入りになったロック史上有名なアルバムである。
私はこのスマイルのアウトテイクCDとブライアンウイルソン版のCDそして今回発売されたCDと3種類所有している。
聞く必要のないボーナストラックは聞かずにあるべき姿のアルバムを聞いてみた。
やはり凄いアルバムである。
ブライアンウイルソン版より音楽的にはソリッドであるがそこが良い。
ここで長年の疑問について考えてみたい。
制作当時スマイルが発売されていたら「ビートルズの「サージェントペパー」を超えた作品になっていた」であろうとか「ロックの歴史は塗り替えられいたであろう」とか様々な憶測が流れた。
しかし私が考えるにはスマイルはサージェントペパーとは趣向が違う内容であるので比較の対象にはならないと思っている。
ロックの歴史を塗り替えられたという点については疑問が残る。
混沌とした70年代のロックを統一させられたであろうか?
70年代のロックを牽引した数々のミュージシャンはやはり現れるべくして現れたと思う。
長文になってしまったがこのスマイルは間違いなく傑作アルバムなので興味をもたれた方は是非聞くことをお勧めする。
やはりスマイルの「グッドヴァイブレーション」の収録位置は絶妙である、今回聞いて更にそう思った。