年を重ねてなお、評価の高まる小津映画。
おととしの英国映画協会発刊の雑誌の「世界歴代BEST映画」で映画監督が選ぶベスト1に小津の「東京物語」が選ばれたという。
そんな小津安二郎の世界に浸るための粋で端正な関連本を。
三省堂名古屋高島屋店の福澤いづみさんリコメンド。
1)「小津安二郎を読む」フィルムアート社編 1982年 フィルムアート社\2484
小津映画入門の定番にして必携の一冊。との太鼓判。ハイレベルな入門書であり定本である。
サイレント時代を含め全作品をていねいに解説。さらに、食べ物やカメラ位置などの「小津事典」、出演した俳優・女優のプロフィルも充実。
小津ファンにはこたえられない一冊。思い入れを排したクールな筆致も好ましく、文句なしの一冊だ。
2)「絢爛たる影絵 小津安二郎」高橋治著 1985年 岩波現代文庫 \1382
「東京物語」の助監督として小津に仕えた高橋治のロングセラーでよく読まれている。
映画監督から小説家に転じた高橋は自らの体験と取材を交え、達者な文章で巨匠に迫る。
偉大な監督に対して、若い同業者はアンビバレントな感情を持ちつつ、その圧倒的な存在感と格闘するのだ。
3) 「小津安二郎先生の思い出」 笠智衆著 1991年 朝日文庫¥540
②と対照的。小津映画の常連・笠智衆による回想記。
「ぼくは先生の言われる通りにやっただけ」と小津をひたすら尊敬し、恩人と慕った、控え目な名優の思い出だ。
福澤さんは、「読み進むうちに、いつしか彼の独特のセリフ口調で文字を追っていることに苦笑してしまう」と言う。
確かに笠は独自の雰囲気を持った俳優で、実はただものではない。
意外だが、2人は仕事以外ではあまり口をきかなかったそうだ。笠が口べただったからだが、見えない緊張感もあったのだろう。
4) 「小津ごのみ」中野翠著 2008年 ちくま文庫¥821
小津ファンなら、そうだよね、と相づちを打ちながら読むのは記者のおすすめ「小津ごのみ」。
秀才評論家のとんでもない深読みをさらりとかわし、粋で端正な小津ワールドに案内してくれる。
着物の柄や和装の女性の物腰、あるいは障子や湯飲みなどの小道具に、小津の美意識を見、深く共感している。
その象徴が、粗い布地(ドンゴロス)に題名や俳優名などが刻まれるタイトルバック。
「大人の、いい趣味。和風で洋風、古風でモダン」と絶賛だ。
小津映画の世界に浸る快感は、「サザエさん」を読む快感と重なる、という指摘には、なるほどと納得。
笠智衆と波平の古風なファッション、とかね。
おととしの英国映画協会発刊の雑誌の「世界歴代BEST映画」で映画監督が選ぶベスト1に小津の「東京物語」が選ばれたという。
そんな小津安二郎の世界に浸るための粋で端正な関連本を。
三省堂名古屋高島屋店の福澤いづみさんリコメンド。
1)「小津安二郎を読む」フィルムアート社編 1982年 フィルムアート社\2484
小津映画入門の定番にして必携の一冊。との太鼓判。ハイレベルな入門書であり定本である。
サイレント時代を含め全作品をていねいに解説。さらに、食べ物やカメラ位置などの「小津事典」、出演した俳優・女優のプロフィルも充実。
小津ファンにはこたえられない一冊。思い入れを排したクールな筆致も好ましく、文句なしの一冊だ。
2)「絢爛たる影絵 小津安二郎」高橋治著 1985年 岩波現代文庫 \1382
「東京物語」の助監督として小津に仕えた高橋治のロングセラーでよく読まれている。
映画監督から小説家に転じた高橋は自らの体験と取材を交え、達者な文章で巨匠に迫る。
偉大な監督に対して、若い同業者はアンビバレントな感情を持ちつつ、その圧倒的な存在感と格闘するのだ。
3) 「小津安二郎先生の思い出」 笠智衆著 1991年 朝日文庫¥540
②と対照的。小津映画の常連・笠智衆による回想記。
「ぼくは先生の言われる通りにやっただけ」と小津をひたすら尊敬し、恩人と慕った、控え目な名優の思い出だ。
福澤さんは、「読み進むうちに、いつしか彼の独特のセリフ口調で文字を追っていることに苦笑してしまう」と言う。
確かに笠は独自の雰囲気を持った俳優で、実はただものではない。
意外だが、2人は仕事以外ではあまり口をきかなかったそうだ。笠が口べただったからだが、見えない緊張感もあったのだろう。
4) 「小津ごのみ」中野翠著 2008年 ちくま文庫¥821
小津ファンなら、そうだよね、と相づちを打ちながら読むのは記者のおすすめ「小津ごのみ」。
秀才評論家のとんでもない深読みをさらりとかわし、粋で端正な小津ワールドに案内してくれる。
着物の柄や和装の女性の物腰、あるいは障子や湯飲みなどの小道具に、小津の美意識を見、深く共感している。
その象徴が、粗い布地(ドンゴロス)に題名や俳優名などが刻まれるタイトルバック。
「大人の、いい趣味。和風で洋風、古風でモダン」と絶賛だ。
小津映画の世界に浸る快感は、「サザエさん」を読む快感と重なる、という指摘には、なるほどと納得。
笠智衆と波平の古風なファッション、とかね。