1172『自然と人間の歴史・世界篇』中国とアメリカなどのどちらが民主主義的か(論点整理のために)
はじめに、海外(中国)駐在中の一人の日本人による、次の見解を紹介しよう、それは、今時珍しい、権威におもねることのない、清々しい論説にして問題提起であると感じられるからである。
○「中国共産党は、近年、外交面においてアメリカやその他の民主主義国家と対立することが増えてきています。中国の外からマスメディアが報じる中国は、一党独裁、人権問題、貧富の格差などの言葉とともに報道されることがあるようです。しかしながら、実際に中国の北京に住んでいる私にとっては、どこまでが事実に則(のっと)って報じられているのかわからなくなることもあります。
北京市内では路上生活を見たことがありませんし、中国人の同僚や友人さらには日本人の友人と話をしても共産党に対する不満を聞いたことはありません。上述したように、コロナ対策も今のところはコントロールできています。さらには、北京市内を走る車は日本よりはるかに電動化されており、お金の支払いも全てスマートフォンで電子決済されます。逆に日本では、コロナ禍による失業者の増加や貧困の問題が深刻化しており、感染状況と昇降を繰り返す状態、IoT技術の立ち遅れも目立ってきています。
これらの違いを実感してしまうと、中国のほうが他の民主主義国家よりも上手く運営されており、科学技術においてもすでに世界のトップに位置していると感じることも少なくありません。」(堀場(中国)貿易有限公司、江原克信(えはらかつのぶ)「海外便りー中国・北京、その1」一般社団法人日本半導体製造装置協会「SEAJ Journal」No.174、2021年9月号)
北京市内では路上生活を見たことがありませんし、中国人の同僚や友人さらには日本人の友人と話をしても共産党に対する不満を聞いたことはありません。上述したように、コロナ対策も今のところはコントロールできています。さらには、北京市内を走る車は日本よりはるかに電動化されており、お金の支払いも全てスマートフォンで電子決済されます。逆に日本では、コロナ禍による失業者の増加や貧困の問題が深刻化しており、感染状況と昇降を繰り返す状態、IoT技術の立ち遅れも目立ってきています。
これらの違いを実感してしまうと、中国のほうが他の民主主義国家よりも上手く運営されており、科学技術においてもすでに世界のトップに位置していると感じることも少なくありません。」(堀場(中国)貿易有限公司、江原克信(えはらかつのぶ)「海外便りー中国・北京、その1」一般社団法人日本半導体製造装置協会「SEAJ Journal」No.174、2021年9月号)
これについては、「北京市内では路上生活を見たことがありません」というのは、筆者も現役時代に二度、都会と田舎の二ヶ所に出張したおりには、そのような光景は街中を数時間歩いた限りでは見かけなかったのを思い出す。ちなみに、2022年1月8日放映のNHK(BS1)番組「ねらわれるアジア人」では、今回のコロナ禍でアメリカの路上生活者が増えている光景(ロサンゼルスからの中継で、去年の2倍とのこと)が報道されていた。
次の「中国人の同僚や友人さらには日本人の友人と話をしても共産党に対する不満を聞いたことはありません」というのは、現地で生活している人がそう仰るのだから、「そうですか」と受け取りたい。とはいえ、今時のドキュメンタリーなど(例えば、2021年放送の不動産バブルの報道では、民衆が地方政府に対する不満を述べ、何とかしてくれと陳情を繰り返していた。地方政府もやっと腰を上げる場面があった。何しろ14億もの人口、民族も多種なのだから、それと発展途上の国なのだから、それなりに受け止めて然るべきだろう。
「コロナ対策も今のところはコントロールできています」というのは大方その通りなのだろう。それと、方針がその都度修正され、経験が生かされているように見受けられる。その上、住民の自主組織としての「社区」の活動とタイアップしているのは、アメリカや日本などに比べるとより民主主義的な運営がなされているのであろう。それから、「北京市内を走る車は日本よりはるかに電動化されており、お金の支払いも全てスマートフォンで電子決済されている」のには、こちらは「うーん、日本はどうなのか」と考え込んでしまう、中国の経済・社会もまた常に変化しているのだろう。
次の「中国人の同僚や友人さらには日本人の友人と話をしても共産党に対する不満を聞いたことはありません」というのは、現地で生活している人がそう仰るのだから、「そうですか」と受け取りたい。とはいえ、今時のドキュメンタリーなど(例えば、2021年放送の不動産バブルの報道では、民衆が地方政府に対する不満を述べ、何とかしてくれと陳情を繰り返していた。地方政府もやっと腰を上げる場面があった。何しろ14億もの人口、民族も多種なのだから、それと発展途上の国なのだから、それなりに受け止めて然るべきだろう。
「コロナ対策も今のところはコントロールできています」というのは大方その通りなのだろう。それと、方針がその都度修正され、経験が生かされているように見受けられる。その上、住民の自主組織としての「社区」の活動とタイアップしているのは、アメリカや日本などに比べるとより民主主義的な運営がなされているのであろう。それから、「北京市内を走る車は日本よりはるかに電動化されており、お金の支払いも全てスマートフォンで電子決済されている」のには、こちらは「うーん、日本はどうなのか」と考え込んでしまう、中国の経済・社会もまた常に変化しているのだろう。
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それにしても、先の引用の「しかしながら、実際に中国の北京に住んでいる私にとっては、どこまでが事実に則(のっと)って報じられているのかわからなくなることもあります」にもあるように、なぜアメリカやその同盟国が、こんなにも執拗に中国のなすところを次から次へと探しだして問題にするのだろうか。
その理由を理解するのは21世紀も20年代とあってはなかなかに難しいものの、その大元の感情を推し量ること位は可能であり、単刀直入にいうならば、自分たちのこれまでの覇権が危機に立たされているのをひしひしと感じているのであろう。その場合のメルクマールとしては、やはり軍事と経済なのであろう。なぜなら、この二つは根っこのところではそれなりに結びついていて、しかも相手(二国間関係のみならず、多国間においても相応に)に対して様々な事柄を有利に運ぶに欠かせないからだ。
殊にアメリカがそうした状況に至っている、というのは、間違いなく対中国への対抗心なりであって、それ以外のいかなる国へ向けてのものではない、その相手を「経済・外交・軍事・技術力を結集し、国際システムに持続的に挑戦する能力がある唯一の競争相手」(「国家安全保障の暫定指針」2021年3月)とみなしているが故のことなのだろう。
殊にアメリカがそうした状況に至っている、というのは、間違いなく対中国への対抗心なりであって、それ以外のいかなる国へ向けてのものではない、その相手を「経済・外交・軍事・技術力を結集し、国際システムに持続的に挑戦する能力がある唯一の競争相手」(「国家安全保障の暫定指針」2021年3月)とみなしているが故のことなのだろう。
こうした居丈高な態度を鑑みるに、自らが主体の世界秩序に挑むのは中国だと決めつけた上で、これを奪われてはならないということで火花を散らす、やたや中国は「覇権を求めない」と言明してているにも関わらずの話であって、これを大人げないと思うのである。なぜなら、かような態度たるや、世界は中国のものでもないし、アメリカのものでもあるまい、そのような時代はもう終わりを告げるべくあらねばならない、その中での荒々しい、かつての帝国主義を彷彿とさせる出来事と断定しても、過言ではあるまい。
(続く)
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