11月も半ばとなり、今年もまたコカ・コーラのCMにサンタクロースが登場した。
赤い服に真っ白でゆたかなひげ。
コカ・コーラのサンタはなんだかかっこよくて、キマってる。
(ちなみに今年は、瑛人がカバーしたAIの「ハピネス」がCMのバック流れてるね。)
さて、もはや、クリスマスといえばサンタクロースだ。
ぬきにしては考えられない。
それに、サンタクロースのことなら、絵本で読んだからくわしく知っている。
(皆さんもよくご存じでしょう。さまざまなサンタクロースの絵本が出てるから。
ちなみに僕のごひいきはマウリ・クンナスが書いた『サンタクロースと小人たち』。)
フィンランドの北のはずれ、ラップランドのコルバトントリという山の麓に住んでいて
何百人もの小人に囲まれ暮らしている。
(もともとは北極に住んでいたのだけど、1925年、
「北極では食料が不足し、トナカイに餌をあげることができなくなったため、
サンタクロースは、フィンランドのラップランドに引っ越した」
とフィンランドの新聞が発表した。)
サンタクロースと小人たちは、クリスマスではないとき、何をやっているかというと、
世界中の良い子に配るプレゼントを製作している。
夏には休暇もあるし、イベントで劇をやったりもする。
クリスマスシーズンになると、それこそ出発の準備で大忙し。
ほら、サンタクロースについては、ずいぶんくわしい。
でも、サンタクロースって、
冷静になればなるほど、実在の人物とは思えなくなってくる。
完全にファンタジーだろう。
大人たちはそれを見て見ぬふりして、容認している。
「いいじゃないか。
夢で上等。
子どもの夢は大事にしたい」なんちゃって…。
しかし、いるはずないと否定してしまうには、
あまりに存在が素晴らしすぎる。
サンタクロースは、いったい何もの?
いるのか、いないのか。
ネットで検索してその歴史を紐解いてみた。
(コカ・コーラの回しものではないけれど…)
この人こそサンタクロースといわれるのは「聖ニコラス(Saint Nicholas)」
現在のトルコのパトラというところで270年ごろに生まれたそうだ。
ミュラの司教となり、子どもや船乗りの守護聖人で、サンタクロースの原型だといわれている。
6~9世紀にかけて、聖ニコラス信仰がビザンチン帝国(東ローマ帝国)で広まる。
数々の伝説が語られ、その中の一つに「金貨の贈りもの」がある。
★「ある日、聖ニコラスは貧しさのあまり、三人の娘を嫁がせることができない家があることを知った。
聖ニコラスは真夜中にその家を訪れ、屋根の上にある煙突から金貨を投げ入れた。
暖炉にはちょうど靴下がぶら下がっていたため、金貨は靴下の中に入っていった。
この金貨のおかげで娘たちは身売りせずにすんだ」という話。
(おやっ、煙突からのプレゼント→靴下だって!)
オランダでは、13~14世紀、聖ニコラスをアムステルダムの守護聖人と崇めていた。
12月6日は聖ニコラスの命日なので、その日を「シンタクラース祭」として祝った。
(シンタクラースは子どもにプレゼントをもってきてくれる聖人でもあった。)
聖ニコラスはオランダ語では「シンタクラース(Sinterklaas)と発音される。
でもって、1620年代に新大陸、アメリカのニューアムスルダムに移住してきたオランダ人たちは、故郷の慣習にしたがって、「シンタクラース祭」を祝った。
どうやら、このアメリカに入ってきたシンタクラースがなまって、サンタクロースになったということらしい。
(はじめて「サンタクロース」の文字があらわれたのは、
1776年12月26日の「ニューヨーク・ガゼット」という頒布物。(新聞かなー)
「先週の月曜日、プロテスタント・ホールでSt.Nichola──St.A.Clausとも呼ばれる──の祭典が行われた」と書かれていたそうだ。)
サンタクロースのイメージを決定づけたのは、アメリカ・コロンビア大学教授クレメント・クラーク・ムーアが書いた(といわれている)「セント・ニコラスの訪問」(クリスマスの前の晩)という詩。
この詩は1849年に、赤い服を着たサンタクロースが挿絵の絵本として出版される。
★「クリスマスの前の晩、もう子供たたちもぐっすり眠っている。
父親も寝ようとしたとき、外からガタガタと音が響いてくる。
窓を開けると8頭のトナカイと橇とサンタクロースが現れた。
サンタクロースは煙突を通って暖炉から飛び出してきた。
そして、全部の靴下にプレゼントを詰めると、父親のほうを振り向き、
鼻の横に指を立ててうなづいてから、また煙突を上って出ていった」というような内容。
(もちろんですが、実際の詩はもっとずっと素敵です。)
↑ こちらは、時代がくだって、ターシャ・チューダーがクレメント・クラーク・ムーアの詩に
挿絵をつけた『クリスマスのまえのばん』(偕成社)
さてさて、サンタクロースはいろんな国の伝説がまじりあって実態をまとってきた。
長い歴史と、人々の思いと、イメージが重なって、
いまやサンタクロースのいない世界なんて考えられない、と思うくらい現実味を帯びている。
結局、サンタクロースはいると思う。人々の心と記憶の中に、ありありと存在感をもって。
これだけ世界中の人たちが、個々のイメージの中で
サンタクロースとプレゼントのことを気にかけているのだもの。
そのイメージの集合体ときたら、存在を支えるのに十二分のパワーだろう。
メガトン級の想念の力が働いている。
そして、サンタクロースの実体は何かといったら、「やさしさ」だと思う。
人は「やさしさ」に触れることで生きていられると思うから。
サンタクロースは、人々が作り出した混じりけなしのやさしさだ。