『若草物語』が出版された7年後に書かれた物語。
通称「おばが丘」(場所はたぶんマサチューセッツ州ボストン。近くに海)に住む
キャンベル一族の8人のいとこたちの話です。
(手元にはアマゾンの中古で購入した村岡花子さん訳の文庫本『八人のいとこ』と、
谷口由美子さん訳の、講談社青い鳥文庫『8人のいとこ』の二冊があります。
今回読み返してみて、本当に幸せな読書のひと時でした!)
さて物語の、そもそもの始まりから…。
一年前に、いとこの中でたった一人の女の子ローズの父親が亡くなりました。
母親はもっと以前に亡くなっていたので、ローズは孤児となってしまいます。
後見人はアレック叔父に指定されていたけれど、
海外にいたためにマックおじさんがローズの元にかけつけ、
マックおじさんとジェーンおばさん夫婦が、まずはローズのめんどうをみることに。
といっても、ジェーンおばさんはローズを学力中心の寄宿学校に入学させます。
1年が経ったころ、ローズはプレンティ大叔母さんに、学校がつらいと訴えます。
プレンティ大叔母さんは、早速ローズを休学させ、おばが丘の自分の家に引き取ることに。
そこはローズのお祖父さん、今は亡きキャンベル氏の屋敷で、
アレック叔父もアメリカにいるときは、ここに滞在します。
ローズがピース大叔母さんとプレンティ大叔母さんの家にやってきて1週間がたちました。
ただいま13歳と半。
7人の元気な男のいとこたちとも会い、小間使いの少女フェーブとも知り合い、
いよいよアレック叔父がインドから戻ってきました。
ちなみにアレック叔父は昔、ローズの母親に恋をしていました。
ローズの母親がアレック叔父の兄にあたるジョージを選んで結婚したために、
兄と長く仲たがいをしていた、といういきさつがあります。
ただ、ローズのお父さんであるジョージがなくなる前に、兄弟は再会して仲直りをしました。
そして、「自分に何かあったら、ローズを忘れ形見に」と弟のアレックに託したのでした。
つまり、アレック叔父とローズは、これまでいちども会ったことがない。
物語はアレック叔父が戻ってきてローズと会うシーンから、弾み出します。
この本はある意味、教育書であるといってもいい、
顔色の青い、ゴリゴリに痩せた、頭痛もちの女の子が、
アレック叔父がくり出す魔法のような処方箋で、
見違えるように健康で、美しく、喜びに満ちた女の子になっていく物語。
(その処方箋については、また別の記事で。)
オルコットの精神と生きる喜びが織り込まれ、本を置くことができなくなるほど面白い。
本が出版されてから145年経ったいまでも、どうすれば幸せに生きられるかの参考になる、
素敵な本です。