雨です。
雨の音はいいですね。
心を慰めてくれるような、優しい響きの雨音です。
なんだかいいことがありそうな…。
…なんですが、ブログの記事のほうは、相変わらず、アーサー・ランサムです。
どんだけ引っ張るんやねん!
風見鶏が東の方向を向くまでは続きます。
(ちょっとアレンジしてますが、さて出典はどの本でしょう?)
●キャプテン・フリントの裏の顔はスパイなのか?
ところで、ジョンを筆頭とするウォーカー家の
若きセーラーマンたち、
あるいは、ナンシーとペギィのアマゾン海賊は、
遊び仲間であり思慮深いアドバイザーでもある
キャプテン・フリントの裏の顔が、
ロシアを舞台に暗躍したイギリスのスパイだったとしたら、
どんなに驚くだろうか?
ナンシーは「おどろきもものきっ」と大声でさけんで、
飛び上がるかもしれない。
ティティは早速、スパイに関する諸知識を
各方面から仕入れようとするだろう。
新たな物語の側面が加わったのだから。
実際に作者のランサムが、キャプテン・フリントという人物を、
そのように描いたわけではない。
シリーズに示されているキャプテン・フリントの情報は、次のような点だ。
本名はジェイムス・ターナー。
アマゾン海賊、ナンシィとペギィの母親の弟、つまり二人にはおじさんにあたる。
『ツバメ号とアマゾン号』では、ハウスボートに住んで本を書いている。
『雑多なこけ』という題名で、これまでの三〇年にわたる冒険の数々を書いた
エッセイ集のようなものらしい。
姉妹が母親から聞いた話では、
「小さいときは家中のもてあましもので、
そのために南アメリカにやられた。しかし、南アメリカに居つかず、
世界中を旅してまわった」ということだ。
そして去年、(ウォーカーきょうだいとアマゾン海賊が初めて会った夏休みの前年)
「たくさんもうけたから落ち着くつもりだ」と言って、ハウスボートを購入し、
アマゾン海賊の実家であるブランケット家からそう遠くはないところで
水上生活を始めた。
3冊めの本『ヤマネコ号の冒険』を参照すれば、
トレジャー・ハンターとして、宝探しに明け暮れていたということになる。
6冊目の『ツバメ号の伝書バト』では、
南アメリカの鉱山で採鉱を試みたがうまくいかず、イギリスにもどる途中である。
ブランケット家にあるキャプテン・フリントの書斎には、
化学薬品や実験器具、鉱物関係の専門書が多数あり、
化学に詳しい様子が伺われる。
……とまあ、こういうようなことである。
どこにも、スパイの「ス」の字も出てこない。
しかし、大事なことは、キャプテン・フリントは、
まさにランサムの分身であること。
ランサム自身の人生をかけて学んだ全てのことが、
キャプテン・フリントに託されているといっていい。
キャプテン・フリントの意識は、まったくもってランサムの意識である。
ランサムはキャプテン・フリントの姿を借りて、物語に参加している。
だから、ランサムがスパイとして活動していたのなら、
キャプテン・フリントも同じくそうであるという逆説が
成り立つのじゃないだろうか。
❤アーサー・ランサムがイギリスの諜報部員だったという話は次回に。
第一次世界大戦中、モスクワで革命が起きた時期の話です。