サラ☆の物語な毎日とハル文庫

アーサー・ランサム⑥~作者ランサムは正真正銘のスパイだった!!

↑この写真は「英国運河をナローボートで旅するには?」のブログから拝借しています。
なかなか魅力的な記事です!

 

●ランサム自身は正真正銘のスパイだった!!

 

ちょっと長い記事。だからリードを少しずつ入れることにする。

まずはランサムがスパイだったという驚きの事実。

ランサマイト(ランサムファン)は、「もちろんさ」というかもしれないけど。

 

まず、作者のアーサー・ランサム自身が、

イギリスの軍秘密情報局MI6(エム・アイ・シックス)に雇われた

諜報部員だったことを、ちゃんと説明する必要があるかな。

つまり、こういうことなのだ。

秘密情報部のスカーレット前長官が、MI6への一般の理解を深めてもらうために、

1909年の創設から40年間の極秘文書の閲覧を、

クイーンズ大学(アイルランド、ベルファスト)のキース・ジェフリー教授に許可した。

 

教授は、それを正史としてまとめ、

二〇一〇年にイギリスで出版したというのがことの発端。

 

あのジェームズ・ボンドがいるMI6に所属!

 

MI6とは、秘密情報部(SIS)の旧称で「軍情報部第六課」の略称。

あの007のジェームス・ボンドが所属していたスパイ組織だ。

ジェフリー教授は本の中で、『第三の男』を書いたグレアム・グリーンや、

『月と六ペンス』のサマセット・モーム、

そしてアーサー・ランサムも、MI6に雇われたスパイだったと語っている。

 

アーサー・ランサムも自伝の中で自分のスパイ活動を告白している!

 

アーサー・ランサムについては、自伝にもそれらしい記述があり、

諜報活動をしていたことが伺われる。

それを事実として確認する文書が、秘密情報部に残されていたということだ。

 

ランサムは一九一八年の秋から一九一九年のはじめごろまでを

MI6のために諜報活動を行っている。

それまでも、ロシア特派員として情報提供に協力していたが、

正式に諜報部員として雇われたのは、この期間ということらしい。

 

ランサムは、ロシアの昔話を書きたくてロシアに行ったのだが、

ちょうどそのときに第一次世界大戦が勃発し、ロシア革命が起こったのだ。

たまたまロシアにいたランサムは、イギリスの新聞の特派員として活動を始めた。

 

ランサムはトロツキーやレーニンとも友達だった!

すごいコミュニケーション能力。人たらしだったのかも。

 

もともと誰とでも友だちになれる才能をもっていたランサムは、

トロツキー、ラデック、レーニンといった

ボルシェビキの要人たちとも仲良くなった。

政治の世界にどっぷりつかっていったわけ。

トロツキーの個人秘書だった女性と恋をして、ずっと後のことだけど、結婚する。

 

二重スパイの嫌疑をかけられもする。

イギリス本国はランサムからの情報をほしがった。

だから、それに応えようと、スパイ活動を行った。

しかし、ボルシェビキの友人のためにも協力をおしまなかったために、

二重スパイの嫌疑をかけられさえした。

 

ランサムはイギリスとロシアの友好の橋渡しをしたかっただけなのだ。

 

スコットランドヤードに連行される!

 

ロシアからイギリスに戻ってきたとき、

ロンドンのキングスクロス駅でスコットランドヤードに連行されたそうだ。

そのときランサムは

『自分がイギリスでは何の政治的意見もいだいたことはないこと、

ロシアでは、この事実のおかげで革命について

はるかに明瞭な見解を持つことができたと思っていること。

現在はたった一つ、干渉は破滅的なあやまちだという

はっきりした意見をもっていること。

そして、干渉が終わり、

私が平常な仕事にもどれるようにのぞんでいること』(自伝より)を

率直に話した。それで大丈夫だったみたいだ。

 

スリルとサスペンスをかいくぐってきた男、アーサー・ランサム!

 

アーサー・ランサムは人生の前半を数々の危険をかいくぐって生きたようだ。

自伝や評伝を読むとよくわかる。

人生はハードだ。

だからこそ彼は、後になって、子どもの頃の休暇の輝くばかりの楽しさを、

それだけを抽出して描いてみせたのだ。

大人になったら、もうそれどころじゃない、

子どもの頃の、無心な、長い、光に包まれた日々。

人生を豊かなものにしてくれる「休暇」という楽しい時間。

その時間に、読者はランサムの物語を読むことで、

ひたりきることができる。

『ツバメ号』のシリーズが、

いまでも人びとに愛され続けている理由は、そこにある。

さて、話は長くなったけれど、

そういうわけでランサムは正真正銘のスパイだった。

キャプテン・フリントも、帆走と冒険が好きな

大男の好人物というだけの男では決してない。

過去にさまざまな経験をし、苦渋もなめた。

さらに言えば、苛酷な戦争の中で、

スパイとして母国にその信念を捧げた男。

そういう側面があるとしたら、

『ツバメ号とアマゾン号』のシリーズは、

さらに、俄然、面白くなってくるじゃないか。

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