7月31日(金)糠平キャンプ場~帯広(ぱんちょう)~夕張・石炭の歴史村キャンプ場
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5時半起床。
そろそろ南に向かおうかと、9時半前後からテント撤収。Hという平塚市からきているセローの常連キャンパーとちょっとしゃべる。毎年、ここにきているという。9月には関東でキャンプ会をするかもしれないというので住所を教える。
10時には出発。11時開店の帯広「ばんちょう」に開店時間直前に到着。店前にバイクがズラーッと並んでいる。どうやら今日は開いているようだ。一般客に混じって大勢のライダーが店の前に並んでいる。開店と同時に座る席を非常に細かく指示される。意外に狭い店内だ。2人連れの客はここではテーブルに対面では座れない。横に並んで座るようにと、すでに座った客にもわざわざ指示している。
「向かい合って座ると、その横にもお客さんがこられるから、食べ終わったあとで、外に出にくいでしょう」と、いうことらしい。
細かい。ここまでやるか。ここまで効率重視の店は始めてだ。
なんか、落ち着いて食べられそうにない。
どうやって回転率をあげるか、店主も大変なのはわかるけどなあ。客は楽しみより、食べる機械と化す。1100円のぶた丼(梅)、ワカメみそ汁(180円・これはちと高いか)を注文。采配を振るっているオカミさんは、言葉もやさしく、にこやかな笑顔ながらも、「食べさせてやっているんだから」と目で言っている。早く食ったら、さっさと店を出ていってねという雰囲気が確かにある。食べ終わるまではお客さんだけどね、とも。で、出されたぶた丼は、うまい! というほどじゃない。たぶん炭火焼き、甘辛い照り焼きだが、こんなんで、ここまでの値段かという感じだ。原価いくらだよ。「タレがよそとはまったく違う」とキャンプ場で断言したライダーがいたが、そこまでじゃないだろう。煮きった酒と醤油味のタレ、砂糖とダシ。タレが甘すぎる。
羅臼の定食屋とか、知り合いにここだけは絶対に連れていきたいという店――自分1人でもぜひ再訪したいという店がいくつかあったが、ここはダメだ。お勧めはできない。味は当然だけど、来てもらった客に、おいしく食べてもらいたいという心意気が伝わってこない。もう一度、ここで食べたいとは思わない。名物という名前だけが、一人歩きしてしまった店だろう。
さて、今夜はどこにテントを張ろうかと地図を見ながら思案する。
夕張にいくことにする。日勝峠から西かう274号はトラックばかり。競争するように走り、ぜんぜん楽しくない。峠は濃霧。映画「幸せの黄色いハンカチ」のセットが残っている場所を見学などして、4時には夕張の「石炭の歴史村キャンプ場」(無料)にテントを張る。段々になった高台にあり、芝生もきれいに刈られていて清潔でなかなかいい。
あとで知ったことだが、この下には今も縦横無尽に石炭採掘用のトンネルが走っているという。町もこれまで見てきた北海道の町並とはどこか違う。採掘者の住んでいた長屋が点在して、目的不明の鉄管が道沿いにどこまでも長く伸びていたりする。緑に覆われたボタ山とおぼしき小山が、ふいに目に飛びこんでくる。夜は500ミリ缶ビール3本、味付けジンギスカン。隣にテントを張っている夫婦者が風呂かどこかにいっているすきに、キツネがやってきて、テント前に置いてあったゴミ袋や食べ物の袋を引っぱり出し、そこら中にまき散らす。止める間もないほど素早い。
夜は早々と寝る。午前2時前後に目が覚めてトイレ。