バイク・キャンプ・ツーリング

NERIMA爺、遅咲きバイクで人生救われる

1998年7月3日 北海道ツーリング 6日目

2025年01月28日 | 1998年 北海道ツーリング
7月3日(金) 東川~士別~オロロンライン~稚内




 朝、小雨。
 9時の飛行機でカミさんが到着するので、旭川空港までK代の車で迎えにいく。空港カウンターの歓迎の看板に「TI様」と旧名を書いて、ロビーで待つ。定刻通りに飛行機到着。ヘルメットを持っていなくても、すぐにそれとわかる、いつものジーンズ姿がほどなく到着ロビーに現れる。
 一旦、東川に寄って、バイクのパッキングをやり直す。シート・バッグはK代宅に預け、サイド・バッグとタンク・バッグ、それにカミさんの背負うデイパックだけにする。一応、カミさん用にディスカウント・ストアで買ったレイン・スーツ(ようするにカッパ)を持ってきているが、どうにも心配で、カミさんはKMさんの登山用レイン・スーツを借りる。

 雨が止んできた12時半前後には出発。空はどんより。
 40号を士別まで北上、そこから239号をひたすら西へ向かう。途中から小雨。レイン・スーツを着込む。海沿いで232号に合流、北上。だんだんと雨足が強くなってきて、ついにサロベツ原野では激しい雨。視界は10メートル弱。それでも、ひたすらオロロンラインを走る。ときおり、トラックに追い越しをかけられると、ぶあっとタイヤの水しぶきが霧状に襲ってくる。追い抜きざまに、ヘルメットが左右にグイン、グインと風に煽られる。途中で休憩したいが、この直線道路だと――ヘタにバイクを停めると危険なので、稚内まで突っ走ることにする。ウィンター・グローブをしているが、手先が冷たい。だが、カミさんは軍手だ! 手がかじかんで痛いようだ。とにかく一刻も早く、熱い湯にでもはいってくつろがなくては。

 と、思っていると、稚内の近くになって雲が途切れてきて、筋状の光線が射してくる。なんと太陽まで顔を出す。空が金色に輝いて、利尻島がくっきりと見える。まるで海に浮かんでいるようだ。しばし、バイクを停めて、二人で至福の景色に見入る。雨上がりのせいか、空気まですっきり感じる。

 その後、気持ちよく稚内まで走る。今夜はどこに泊まるか、まだ決めていない。とりあえず稚内駅のあたりを一周してみる。駅の横道をはいったところに、「さいはて旅館」という旅館があり、そのネーミングに嬉しくなり思わず笑ってしまう。
「ここにするか?」
 と、冗談でカミさんに言うと、
「んにゃ」
 と、笑って答える。
 どこか、安くていいビジネスホテルはないかと、再び、駅前に戻り、歩道脇でバイクにまたがったまま、携帯電話片手に旅行案内書をめくっていると、知らないおじさんが近づいてきて、何気なく声をかけてくる。
「ひと部屋、まだ空いているよ。素泊まり4000円……」
 キャバレーか風俗の客引きみたいで、どこか胡散臭いので、早くあっちにいってもらおうと、適当に相づちを打つ。
「どこですか?」
「すぐ、そこ」とさっきの横道を指している。
 まさかね、と思っていると、
「さいはて旅館というの」との返事。
 おお。どっかーんという感じだ。
 いやいや、それは無理と、さっき、カミさんと話したばかりだ。冗談じゃない。おじさんを無視しようとするが、なかなか立ち去らない。ホテル案内の稚内の項を目を追っていると、さりげなく、
「熱い風呂沸いているよ」
 と、ボディ・ブローがくる。
 ぐらりとくる。
 カミさんの顔を見ると、まんざらでもないようだ。
「2人で8000円ですか?」とわかっていることを訊いてみる。
 頷くおじさんの顔を見て、もう一度、オバと相談。
「ここに、するか?」
「おう」
 と、いうことで、まさか泊まるとは思っていなかった「さいはて旅館」に投宿決定。部屋は和室で狭い。サイド・バッグなどを部屋に運ぶが、レインカバーをしていたにもかかわらず、中までぐしゃぐしゃになっている。レイングローブや軍手は、テレビの上や卓上ライトの上に載せて乾かす。

 早速、熱い湯(狭いステンレスの共同風呂)に浸かり、夜の稚内に繰り出す。教えてもらった居酒屋『Tちゃん』は、はっきりいって期待外れだった。有名俳優や歌手が美味そうにカニなどを頬張っている写真が店内に飾られているが、実際にでてきたカニ(毛ガニの刺身4800円。3000円の細ーい焼きタラバ)は大したことはない。ウニ(一ヶ、600円!――エゾバフンとムラサキウニを頼む)も痩せていて、正直がっかり。カニのウチコだけがちょっといけるという感じ。
 その夜、自分はものすごいイビキをかいて寝ていたようだ。




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