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 増田 いずみ ~ OFFICIAL BLOG

古典から現代へ

2008年05月01日 | masudaizumi.com
夕刊を読んでいたとき、オペラと歌舞伎の舞台芸術の演出について、書かれていて、すごく考えることがありました。

よく新聞で書かれていることです。
日本の伝統芸能の場合、お家の芸として、ずっと演出のスタイルを崩すことはありませんが、オペラの場合、演出を現代に換えて伝えていくことで、共感をよぶ、ということで、時代設定を変えたり、たくさんの現代演出がされています。

実際わたしも先日書き込みした「魔笛」の現代演出のDVD、設定を第一次世界大戦の頃にしたもの、は良かったと思っていますし、、、


でも、それは古典演出を知ったうえでのこと。
オペラの場合、演出家をみて、これが現代っぽくなるか、古典のままの演出なのか、想像するだけで、劇が始まってからでないと、演出がどうか、というものは、知らされませんよね、そうした現代演出からオペラというものを見始めるという場合でも、作品の本質は伝わって、娯楽として楽しめていれば、成立しているのかもしれませんが、、、、どうなんでしょう。

作曲された当時の演出を忠実に再現していけば、時代の違いでわからないことが多く、現代の設定にして演出したほうが、音楽や作品の本質が浮き彫りになる、、という考えの違い

考えてしまいます。

私は、どちらかというと、古典は古典のまま再現して欲しい、改訂版なら、しっかりそれをチケットを買う前に教えてくれ、という考えです。


あるテレビの教育番組ですが、番組の方向が変わってしまい、最近がっかりしていることがあります。以前は「さわり」といわれる、オペラでいう「アリア」を短く放送してくださっていたのですが、最近は、小説のなかの有名なくだりを、新作として創作して放映されています。

以前はリトルも「今頃は、はんひったん、、、どこにどうしてござろうぞ」と楽しそうに披露しておりましたが、最近は忘れてしまったようです。
わからなくても丸呑みする時期だからこそ、古典を面白く魅せてあげたいと思うのですが、、、。

現在放映されているスタイル、小説の有名な台詞を伝統芸能の語り口で語れば、近代小説に触れることもできるし、それで、子供さんは楽しんでいるかもしれません。でも、劇場にいって、全く違うものをやっていれば、子供さんが伝統芸能に持った興味は、減ってしまうのでは?と考えてしまいます。テレビで親しんでいる「おかあさんといっしょ」の公開収録で、全く違う歌や演目をやっていたら、、、という感じでしょうか。

コンサートでも、知っているメロディがあると、気持ちを沿わせることができますもん。

もちろん、これは私独自の考えですから、、、独り言ではありますが、子供向けに古典のものを「魅せる」、ということは、どのような形がいいのでしょう。

そんなわけで、最近、その朝の番組は、古典芸術というものに、誤解を生むので、みなくなってしまいました。

私が選んで子供に選んでいるディズニーのDVDには、有名なオペラのフレーズやイタリアの民謡などがたくさんでてきます。

映っている画像、オペラを歌っているのは、ミッキーや鶏ではありますが、彼らが口にするだけで、メロディになんの変化も付け加えていません。

リゴレットででてくる「女心のうた」、「オーソレミオ」などのナポリ民謡、「カルメン」に出てくる音楽、そしてベルカント アリアのスタイルで、たくさん装飾をつけて歌い、最後に高い音でのばして締める、拍手喝采、という歌唱も、しっかり盛り込まれています。

オペラ調で歌っているものではありません。


ただ、メロディが美しい、わくわくする、心に残る、だから、鶏が歌っていても、そのメロディを聴くことは子供にとっても楽しい。


それが、オペラの劇場にいったときも、小さいころからディズニーで楽しんでいる同じメロディを大人が歌っていることで、作品の一部でも「あ、これ、知ってる!」と共感できるのではないか、と思っています。




テレビの子供番組も、テレビの世界だけで消化されてしまうのではなく、舞台芸術にすんなり入って行ける工夫がされていると、影響のある番組だからこそ嬉しいな、と思うのですが、もちろん、私は1視聴者というだけですので、勝手な話ですが、、、。




独り言でした。