紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

魔法陣グルグルのこと(1)

2007-06-03 21:43:51 | コミック全般
『魔法陣グルグル』という漫画作品がある。

--概要(wikipediaより)--
月刊少年ガンガン(エニックス)で1992年8月号-2003年9月号に連載されていた。単行本は全16巻。1994年に朝日放送 (ABC) 系列局で『魔法陣グルグル』、1996年に松竹系劇場にて劇場版『魔法陣グルグル』、2000年にテレビ東京 (TX) 系列局で『ドキドキ♡伝説 魔法陣グルグル』と3度アニメーション化された。それぞれの作品は海外でも出版・放映された。
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僕は小さな頃、この作品が大好きだった。
1994年10月、アニメで放映されたこの作品の第1話を観たとき、
なんて面白い作品なんだろう、と思ったことをうっすらと憶えている。
当時の僕は12歳の小学6年生。この作品の主役の2人とほぼ同年代だった。

で、この『魔法陣グルグル』どんなストーリーかというと、

 魔物がいて、魔法があって、…というファンタジー世界を舞台として、
 両親から無理矢理勇者として旅立たされた少年・ニケと
 「グルグル」という特殊な魔法を扱うミグミグ族の少女・ククリが
 魔王ギリを打倒するため旅立つ

という、とてもシンプルなものである。
コメディの要素が強く、当時流行した『ドラクエ』に代表されるロールプレイングゲーム
のパロディ要素が作品内の各所に散りばめられていた。

この作品の最大の見所は、タイトルにもある「グルグル」と呼ばれる魔法で、
"魔法の杖で地面に魔法陣を書き、それが魔法として実現する"という斬新さにある。
火のシンボルを魔法陣として描けば魔法陣から火が、
猫のシンボルを描けば魔法陣から猫が、
また、なんだかわからないものを描いてしまうと、魔法が失敗し、
魔法陣の中から得体の知れないものが出現してしまうというように、
魔法と言えば杖から火なり風なりを起こすというくらいしかパターンがなかった当時としてはとても斬新であった。

そんな斬新さに触れた12歳の僕は、毎週のアニメの続きも待たずに急いで漫画単行本を買いに走った。
1巻はすぐに見つかり、すぐに読んでしまった。
ニケとククリがノコギリ山の魔物を退治したところで1巻は終わってしまっていた。
ところが、2巻がなかなか見つからない。3巻はあるのに何故か2巻がない。
そのときのもやもや感は、今でも思い出せるほどだ。
もやもやの限界に達した僕は、何と、2巻を待たずに3巻を買って読んでしまうという愚行を犯してしまった。
3巻の内容は、半年間離れ離れで修行していたニケとククリが久しぶりに再会するというものであり、
"修行"という初耳なキーワードはおろか、作品内時間が半年も進んでいることに僕は愕然とした。
また、1巻では見たことのないキャラクターもたくさん登場していた。
2巻はそれより程なくして見つかったが、僕はそれ以来、漫画の一冊抜かしは二度とするまいと誓ったのだった。

まぁ、そのエピソードに象徴されるように、要は『魔法陣グルグル』は
"思春期の頃にハマった漫画"ということで僕の中で特別な位置に付けられる。

ところが、この漫画の作者は筆がとても遅く、漫画単行本が発売されるのは
年に一冊、もしくは二冊といった超スローペースでの刊行だった。
当然、アニメはすぐに原作のストーリーに追いついてしまい、
アニメの方は、魔王ギリの城までたどり着いたニケとククリが、「やっぱりやーめた」と言って
魔王に背を向けて帰るという前代未聞の最終回を迎えたのだった。

アニメは終了しても、漫画の中でニケとククリの旅はまだまだ続いていた。
僕は中学生になり、高校生になった。
いつのまにか僕はグルグルを読まなくなった。
たしか、漫画単行本でいうと10巻あたりで僕はグルグルを読むのをやめてしまったのだ。

1~10巻までのニケとククリの旅の軌跡を簡単に書くと以下のようになる。

 【ジェムジャム大陸】
 ・ジミナ村(二人の冒険スタート)
  ↓
 ・コーダイ城(王様に勇者と認められる)
  ↓
 ・キタの町(ノコギリ山で魔物退治)
  ↓
 ・闇魔法結社(グルグルの秘密の一端を知る)
  ↓
 【ゲルニ大陸】
 ・シュギ村(二人離れ離れになっての半年間の修行)
  ↓
 ・アッチ村(黒い絵本が開かれる)
  ↓
 ・妖精の村(二人の旅の目的決定)
  ↓
 ・ネコジタ谷(ミグミグ族の遺跡発見,二人の能力開花,きりなしの塔攻略)
  ↓
 【コパ大陸】
 ・コパール王国(バナナムーンをめぐる冒険)
  ↓
 ・イエタ村(ミグミグ族の忘れ物がいっぱいの村)
  ↓
 ・魔境の村(魔境の入り口・魔物たちの村)
  ↓
 ・アラハビカ(魔境の中の夢の国)
  ↓
 ・パンフォス遺跡(夢の中の戦い)

・・・と、だいたいここまでで10巻終了。
僕の知っているニケとククリの冒険はここまでだった。

あれから月日はたった。

二人の冒険がその後どうなったのかまったく気にならないまま、
僕は社会人三年目となった。
ところが、ふとしたきっかけで、wkipediaの『魔法陣グルグル』の項目を
調べたとき、僕の目に"単行本は全16巻"という文字が飛び込んできた。
なんと、二人の冒険は終わっていたのだった。

 一体どういう終わり方をしたのか?
 魔王ギリとは一体何者だったのか?
 二人の恋はどういう結末を迎えたのか?

堰を切ったように、様々な想いが僕の胸に去来した。

 どんな物語だったのかを思い出そうとする想い。
 物語を読んでる当時の自分とその周囲を懐かしむ想い。
 止まっていた物語の先を知りたい想い。

僕はBOOK OFFに走った。
僕はその時、2巻を探して走り回った12歳の頃の自分を思い出していた・・・。


(つづく)

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