新コーナーです。
タイトルからだいたいわかると思いますが、打ち切り漫画にスポットを当てて
その魅力を紹介しましょう!というのが主旨となります。
そして、打ち切りといえば「少年ジャンプ」!
アンケート制の導入により人気のない作品はバシバシ打ち切られる厳しい世界のなか、
一瞬だけ閃光のように輝いて消えていった作品はたくさんありました。
打ち切り漫画を紹介していく上で、こういうところがいけなかったのではないか?
もし打ち切られずに続いていたらどのような展開になったか?
ということも踏まえつつ、記事を書いていこうと思います。
第一回目は和月伸宏先生の【ガン・ブレイズ・ウエスト】を紹介します。
ではどうぞ↓
【ガン・ブレイズ・ウエスト】概要
デビュー作【るろうに剣心】が大人気のうちに円満終了した和月先生の次回作の題材は
なんと「西部劇」でした。
少年誌ではほとんど扱われていないであろうこのジャンル。一体どんな作品になるのだろう?
「西部劇」という未知のジャンル。でも、「明治時代の剣客」というジャンルで成功をおさめた
和月先生なら上手く調理するに違いない!
それに、前作は「侍」で、今作は「ガンマン」。ある意味わかりやすいジャンルの選択!
連載前の読者の期待値は結構高かったと思います。
第一話で示された「ガン・ブレイズ・ウエスト」の意味。
それは、西部のどこかにあるという約束の地であり、十年に一度その地を踏んだ者の中で
最強の者に史上最高の銃が与えられる場所であるという・・・。
主人公・ビュー=バンズはその場所に憧れた!
そして、その場所の存在を教えてくれた男・マーカス=ホーマーと共に
西部へと旅立つことを夢見るようになる。
しかし、訪れるマーカスとの別れ。
マーカスはビューに「夢見た場所へ旅立て」と言い残してビューの前から姿を消します。
そして五年後。
ビューの「ガン・ブレイズ・ウエスト」への長い旅がスタートするのです!!
以上が、【ガン・ブレイズ・ウエスト】のプロローグとなります。
ここまでに五話かけています。
プロローグだけみると、かなり【ワンピース】っぽいですが、
まぁ、冒険モノのプロローグは得てしてこういうものです。
主人公のビューはプロローグ時点では、まだ子供で銃の腕も未熟なので
バトル漫画としてはまだまだ未知数です。
漫画として魅せにくそうなガン・アクションをどう表現するのか?
という課題を残したまま、【ガン・ブレイズ・ウエスト】は本編に入ります。
三人の仲間、バトル漫画としての西部劇
本編突入後、十数話かけてビュー・ウィル・コリスという三人の仲間が揃います。
主人公・ビューが熱く強さを追い求めるキャラであるのに対し、最初の仲間・ウィルはインテリ型のキャラでした。
武器はロープを使用し、自身の知識と合わせて闘います。
「ロープが武器」というのが結構新鮮で、仲間になった以降のウィルのバトルが気になったものです。
他の二人が暴走気味なのに対し、冷静沈着なウィルは二人へのツッコミ役としても機能していました。
コリスは戊辰戦争を落ち延びた会津武家出身の日本人で、現在はサーカスの花形という奇抜な設定のキャラでした。
武器は投げナイフで、どことなくるろ剣の巻町操を彷彿とさせます。
ところがこのコリス、三人の中で一番の実力者で、ビューと一緒に天真爛漫に騒いだり、
ウィルに一言語れるお姉さん的一面も発揮したりと、なかなかに万能なキャラでした。
それもそのはず。コンセプトは「完全無欠のバトルヒロイン」。
その試みが成功していたかはわかりませんが、本作では和月先生の数少ないお気に入りキャラだったようです。
そして、バトルシーン。
前作【るろうに剣心】では逆刃刀という、斬っても相手が死なないという素敵アイテムのおかげで
格闘ゲームの必殺技のような派手な剣戟がやり放題でしたが、今回の主人公は、一発直撃させれば
勝負が決まる銃が武器ということで、表現に苦労した感じが伝わってきます。
ビューはあまり銃を使わずに蹴ったり殴ったりしてる印象が強かったかも・・・。
ウィルのロープは珍しい武器でしたが、作中でウィルの戦闘シーンは初回登場のときのみだったので
そのロープ・アクションを十分に堪能することができずに残念な感じ!
コリスの投げナイフは、彼女の神業的な狙い撃ちの技術を表現するのに一役買いましたが、
ちょっと新鮮味には欠けてた気がします。
他の二人はともかく、ビューのガン・アクションをなんとかして魅せるようにした方がいいのでは?
そんな今ひとつなバトルに新風を入れるように、「コンセントレーション・ワン」という要素が登場しました。
目がキュイーンとなって、その瞬間だけ超集中できるようになるモードのことです。
これを使いこなすことができれば、瞬間の世界で自在に動けるようになるという、
ガンマン同士の戦闘を魅力的に表現するのに非常に向いた設定でした。
実際、ビューが実戦で初めてコンセントレーション・ワンを使用した時のバトルはなかなか迫力がありました。
コンセントレーション・ワン発動!
ビューの目がキュイーンとなります。(認識することに集中して瞬間的に瞳孔が収縮するという設定)
相手の視線を凝視するビュー。
その瞳には、ビューの背後より襲い来るもう一人の敵の姿が映っていました。
ビューは咄嗟に地面を蹴り上げて身体を反転し、背後の敵を狙い撃つのでした!
この戦闘はコンセントレーション・ワンの凄さとガン・アクションによる戦闘のおもしろさを
一度に表現できた会心の戦闘表現だったと思います。
このレベルの戦闘を連発できていれば・・・!
ライバルキャラたち
主人公たち仲間が三人が出揃うと、「ガン・ブレイズ・ウエスト」を目指すライバルキャラたちが
次々と顔見せしました。
ライバルキャラたちは皆個性的で、この先の展開を期待せずにはいられないはずでしたが・・・。
「J・J」は飄々としたキャラが特徴のガンマンでした。
その正体は、史実のアウトロー「ジェシー・ジェイムズ」でしたが、
結局その設定は生かされることはありませんでした。残念!
J・Jの仲間である「ジム」と「マイラ」も、その個性的な武器から期待値が高かったのですが
残念ながら作中で活躍をみることはできませんでした。
マイラのウォーアックスライフルが気になりすぎる・・・。
「甲冑男爵(アーマーバロン)」はライバルキャラたちの中で唯一、ビューと対決したキャラでした。
その出で立ちと「ガン・ザック」という自身を弾丸として撃ちだすバーニアのような武器は
とてもじゃないけど西部劇と呼べる代物ではありませんでした・・・。
まぁ、和月先生の場合、るろ剣の頃からトンデモな敵キャラが数多く登場していたので
これしきのことでは驚きませんが!
「サージ・サンダーアーム」はアメリカ初の超人兵士という設定で、
アメコミのスーパーヒーローのようなサイボーグ戦士でした。
これもまた、西部劇からは逸脱したキャラでしたが・・・。
当初、サンダーアームはビューたちの仲間になる予定だったようですが、
この先この作品の連載も長くは続かないだろうと薄々感じていた和月先生の判断により、
アーマーバロンの強さを引き立てる噛ませ犬になり下がってしまいました。
合掌。
連載終了決定
正確にどの時点で連載終了が決定したのかはわかりませんが、
「ガン・ブレイズ・ウエスト」の案内人であるアーマーバロンが現れ、
ガンブレイズウエストへ導く者たちのテストをするという段階から、連載の雲行きが
あやしくなってきていたような気がします。
結局、ビューとアーマーバロンの対決を最後に連載終了ということになってしまいました。
ガンブレイズウエストを目指し、ビューの旅はこれからも続きます。
そして、ビューの後を追う者の姿も・・・?
という、まぁ打ち切り作品によくあるパターンの最終回が訪れ、
ここに【ガン・ブレイズ・ウエスト】は打ち切られてしまいました。
単行本で三巻分の短い連載期間でした。
個人的に、西部劇という珍しい設定が興味を引いたし、キャラも結構好きだっただけに
この終了は残念でした・・・。
連載が続いていたらるろ剣の左之助が登場していたかもしれない、と後年和月先生が
ほのめかしていたようなので、ますます連載終了が惜しい作品だったと思います。
単行本三巻のあとがきには、和月先生の連載中の苦い思い出が綴られています。
連載開始前の準備期間が満足にとれず、見切り発車のようなスタートを切ってしまったこと、
漫画家になって初めて、くやしさのあまり絵が描けなくなってしまったこと、
連載終了決定前に友人にグチっていたところ、真を突く言葉を言われてしまったこと。等。
最後に、「今作品に期待してくれた読者の皆様、そして今作品を楽しんでくれた読者の皆様、
力及ばず、本当に申し訳ありません。今一度、ゼロから出直してきます。」
というメッセージをもって、締めくくられています。
げに厳しきは週刊少年ジャンプの世界!
かつて【るろうに剣心】をヒットさせ、看板作品不在のジャンプを先頭で引っぱっていった
和月先生ですら、打ち切りというジエンドを食らってしまうのです。
【ガン・ブレイズ・ウエスト】での反省は、以降の【武装錬金】や【エンバーミング】に
生かされているようです。
和月先生、本当にお疲れさまでした。
ご愛読させていただき、ありがとうございました!
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和月先生の作品っていうとるろ剣ばっかですか
らね。後、武装錬金。
ガンブレは殆ど注目されない。個人的に好き
なのがウィルとマーカス。マーカス現代でなら
ニートですな(笑)あの妙に駄目っぷりが好き
しかし、当時まではバンバン切ってました
(ところでコリス19歳、ビュー14歳。年上w
後3巻ラフにデュークザパピヨン。訳すとw)
PEACE MAKER (皆川亮二)
ガン・ブレイズ・ウェストが目指したのはこういう漫画だったんだなあと思う
村枝賢一の「レッド」とか「ブラックラグーン」とか
なんにせよマーカスはいいキャラだったけど冒険のきっかけとするならもうちょっと早めに一旦退場したほうがよかったような
打ち切りになってしまったものだから結果的にプロローグが長い作品になってしまったのが残念です
ちなみに好きだったキャラはバロンですねww
時期は少し違いますが、「黒猫」でも銃では人殺しをしない、ということをアピールしてましたが違和感はとても強かったですね。大切な人を殺した往年の敵はかたくなに殺さないといいつつも、初回で言葉を2,3交わした他人のために通り魔はあっさり殺してましたから。和月先生なんかに比べたら、話の作りや諸々が上手くなかったといえばそれまでですが。
しかしアーマーバロンが武装錬金に出てきた時はびっくりしたなぁ。しかも武器としてだもの。打ち切りになった自分の作品に対しての敬意とか愛なんでしょうね。
ジャンプでブラックラグーンは連載できないだろうし、西部劇のガンアクションをリアルに描くのは無理だろうなぁ。
デッドリーターゲットくらいまでは「魅せるガンアクション」を目指してそうだけど、主人公が敵を射殺できない足かせが重かった。
こりす登場あたりから「ファンタジー西部劇」にしてガンアクションにこだわらなくなって、そこから展開が面白くなった。
ジャンプ漫画としては、後半のノリで続いてほしかったです。
最終話に出てきたバッファローに乗った戦士がすごい気になりました。
あの名作『荒野の少年イサム』が
あるわけで。
主人公が「不殺」の手段を模索するのはいい
としても、イサムが体験した程度の葛藤は
欲しかったなぁ。
西部劇という割に派手さがだいぶ抑えられてたなと
それも長く続けばわかんなかったんでしょうけど
この時代ワンピースのコピー(という印象を受ける第一話)めちゃめちゃ多かったですよね
↑ここみたいにもうちょっと突っ込んだ話をしてほしいな。
ちょっと期待はずれな記事。