紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

【ライブアライブ】オルステッドの物語を追う[最終編:その2]

2010-11-29 22:59:40 | ○○の物語を追う

前回の続き


前回は、オルステッドを最終編の主人公に選んだ場合の物語だったが、
今回はオルステッド以外のキャラを最終編の主人公に選んだ場合の物語を追ってみる。


  7人の英雄



あらゆる時代、あらゆる場所において活躍した英雄たち。

 太古の時代において、クー族の呼び出した恐竜を退治した ポゴ
 遥かな未来において、宇宙船のメインコンピュータの暴走を止めた キューブ
 幕末の動乱のなか、城にとらわれた要人の救出に成功した おぼろ丸
 力で弱者を虐げる拳法集団を壊滅させ、仲間と師の敵を討った 心山拳師範
 無法者たちに狙われた西部の町を救い、人々に希望を取り戻した サンダウン・キッド
 世界中の格闘家を殺してまわるオディ・オブライトを打ち倒し、最強の座についた 高原日勝
 陸軍と狂科学者が画策する人類液体人間化計画を、巨大ロボットを操って阻止した アキラ

彼らは、悪と戦って勝利した。
彼らの存在は、その時代の人々にとっての大きな希望となった。

しかし。

平和になった世界で、彼らは闇から響く声を聞く。

「来たれよ・・・人間にいまだ幻想をいだく者よ・・・真実を知らしめんために・・・」

彼らは突如出現した闇の通路を通り、荒廃した中世の世界にいざなわれたのだった。


  荒廃した世界



7人は驚き戸惑った。
そこはすっかり荒廃した世界だった。
森は色あせ、城や家屋などの建物はひどく傷んでいた。

人の気配がみじんも感じられない世界で、7人はお互いを見つけ合い、
協力してこの世界の謎に挑む。



道の立て札は、なにかの惨劇がこの世界を襲ったことをありありと示していた。



城にも森にも山にも、あらゆる時代の魔物たちが集結していて、7人に襲いかかってくる。



ある洞窟で出会ったルクレチアの守り神という鯉は、かつてこの世界に人間が住んでいたことを語った。



そして、さまよえる魂があつまる場所にて、7人はかつてこの世界に住んでいた人々の魂と出会うのだった。















オルステッドのヤツめ・・・あヤツこそ真の魔王・・・!
ウソだよ・・・オルステッド様が魔王だなんて・・・
なんという事だ・・・ルクレチアがこんな最期をむかえるとは・・・
俺の・・・せいなのか・・・あいつがこんなになってしまったのは・・・
私以上に・・・あいつは人間を信用しなくなってしまった・・・
あのバカモノめが・・・
お願いです・・・止めてください・・・オルステッドを・・・



ルクレチアの人々の魂の叫びから、7人はおおよそこの世界で何が起きたのかを理解できた。

オルステッド。
どうやら、7人が会わなければならないのは、この人物のようである。


  魔王オディオ



7人はルクレチアの東にそびえる魔王山を進む。
そして、その山頂で7人は魔王と出会うことになるのである。



「待っていたぞ・・・我が名は・・魔王 オディオ・・・」

山頂にあらわれた人物…いや、人かどうかもわからない。
かつて勇者と呼ばれたオルステッドの姿が、そこにあった。



「君達にわざわざ集まってもらったのは他でもない・・・
 とても大事な事を伝えねばならぬからだ
 話は二つ・・・
 一つは、君達は英雄になった・・・
 しかし、他の人間達は一体何をした?
 助けをこうばかりだったろう?
 自らを危険にさらさないで他力本願にしあわせだけは求める・・・
 そんな人間なぞ救うに値しないという事・・・
 これが一つ目だ。
 そして二つ目・・・
 今度は君達自身の事だ・・・
 君達は一体何のために戦ってきたのだ・・・?」

魔王オディオは7人に語りかける。
お前達は一体、何のために戦ってきたのか?と。

7人それぞれに戦う理由がある。
他の人間達のことなど、関係がない。



「まあ、それもよかろう・・・
 さいわい 君達は戦いに勝って大切なものを手に入れた・・・
 だが、それらもしょせん一方的な欲望ではないのか?
 自分にとっての大切なもの・・・
 それを守るためならば他者を傷つけていいのか・・・?
 ・・・
 お前達もこの世界にすんでいたみにくい人間達と同じだ・・・
 あいつらと同じ様に・・・
 己の生き様を後悔しながら・・・
 別れをつげさせてやろう・・・
 悩みと苦しみに満ちた、その罪深き人生に・・・!!」


魔王オディオと、7人の英雄の戦いがはじまる!





オルステッドはもう完全に人ではなくなっていた。
まさに「魔王」である。
魔王の苛烈な攻撃が7人を攻める。







吹き飛ばされ、気絶させられ、石にされる・・・。
かつてルクレチアに住んでいた人々も、この容赦のない攻撃によって次々と殺されていったのだろう。
しかし、7人も持てる力のすべてを出し切り、魔王へぶつけた。

ひるまない7人を前に、
やがて、魔王の攻撃は止まった・・・。



魔王の闇の衣がはぎとられると、そこに一人の人間が現れた。
かつて人々から勇者オルステッドと呼ばれた男の姿が、そこにはあった。
オルステッドは自らの負けを認め、「とどめをさせよ・・・」と呟いた。

しかし、7人はオルステッドに背を向け、その場を去るのだった。


  LIVE A LIVE

「まだだ・・・!まだ終わらぬ!!」



魔王山を去ろうとする7人の後を、オルステッドが追ってきた。

「私を倒しても、私は生き続ける・・・知るがよい『オディオ』の意味を!
 太古の昔より・・・はるかなる未来まで!
 平和なる時も・・・混乱の世にも!
 あらゆる場所! あらゆる時代に!
 戦いの火ダネとなるものッ!!
 それは人間が存在する限り永遠に続く『感情』なのだ・・・
 その感情の名を・・・
 『憎しみ』あるいは・・・
 『オディオ』というッ!!」

魔王山の7体の石像の瞳があやしく光る!
7人は、かつて自分達が倒したオディオの化身たちと再び戦うこととなるのだ。



7つの時代において、再びの決戦がはじまる!



結果は、再び英雄たちの勝利に終わった。
またしても、魔王オディオの敗北である。



「なぜ勝てぬ・・・!これが我々の運命なのか!?
 我々とお前達と一体何が違うというのだッ!!」

オルステッドは慟哭する。
人間を憎み、魔王となってまでルクレチアの地を滅ぼしたオルステッドが、
ここに来て7人の英雄たちに圧倒されている。

これが自分の運命なのか?
こいつらと自分とで何が違うというのだ?



オルステッドは「運命」と言うが、そんなものは他人や神様が決めるものではない。
自分で決めるものだ。
確かにそれも人間の欲望なのかもしれないが、人間である以上、人間が嫌になったらおしまいだ。

オルステッドは7人に諭されることとなる。

自分は人間であることを忘れて、あやまった方を選択してしまっていたのか・・・
もし、自分が人間であり続けていたら・・・?
どうなっていただろう・・・?
自分は救われていただろうか・・・?
そんなことは、今さら思っても仕方のないことだ。

オルステッドは7人に向き直り、「私が消えればお前達もそれぞれの世界に帰れる」と語った。



だが・・・ 覚えておくがいい・・・
誰しもが魔王になりえる事を・・・
『憎しみ』がある限り・・・
いつの世も・・・


予言めいた言葉を遺し、オルステッドは消えた。
最期は魔王としてではなく、人間として消えていったのだろうか。
それはもう、わからない・・・。
オルステッドを見送った7人は、やがて光に包まれ、それぞれの世界に帰って行った・・・。




荒廃したルクレチアの地は



魔王の消滅によって、その美しさを取り戻した。
かつて、オルステッドがアリシアと共に愛を語ったテラスも、
あの時とかわらぬ姿でそこにあった。


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8 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-12-30 04:46:15
アリシアの心変わりが未だによくわからない
元からオルステッドを愛してなどいなかったのか。
あるいは親友の方を愛していたのか。
なんか唐突に裏切って終わるので
彼女の心の変遷がよくわからない。
あと、自分の娘であり一国の姫を
武術大会の商品にするってどうなのよ王様。
そういうとこだと思うよ、子供の教育の荒廃って
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Unknown (通りすがり)
2019-12-30 04:42:01
ラスト、美しい元の姿を取り戻した王国。
でも人は一人もいない。
大人になると、これそこが「完全な世界」
なのだとよくわかる。
現実世界でも、きっとAIが実現してくれると
信じています。
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Unknown (Unknown)
2018-07-31 05:06:31
すごくわかりやすくて面白い内容でした。
どうもありがとうございました。
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Unknown (勇者ダンジョンあああ)
2018-03-23 05:39:25
面白かったです。魔王になっちゃうんですね。
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Newニンテンドー3DSバーチャルコンソール (Mrエックス)
2017-05-21 14:52:28
真のエンディングを見たのだった。
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Unknown (Unknown)
2016-03-25 03:02:32
勝った方が正義
負けた方が悪
これを直視させられる作品だったわ。
勿論、それを表現したいわけじゃないのはわかるけど。

で、現実世界ではこの作品の悪が正義なわけで
所詮はゲーム。ご都合主義もいいところだね
だったらこんな盛大なストーリーに触れないで
ご都合主義のストーリーやった方がバカ以外にもウケがいいよ

自己陶酔のストーリーなだけであって、物凄く気持ちが悪かった作品
三大悪女絡みで言うなら、やはりバハラグの方が遥かにストーリーは良い。まあ好みの問題かもね。

脱線するけどバハラグは流れも演出も良い。テンポは負けるけどね。
でもここまでむきに比較するってことはやっぱり、今のゲームと比較しても良く練られたストーリーだと感じてるのかも。
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Unknown (Unknown)
2013-11-08 11:32:27
なるほどなぁ
この時代のRPGはやっぱりストーリー凝ってるわ
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Unknown (Unknown)
2013-10-20 03:52:54
すごい面白かったです。
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