先日29日、私がずっとファンレターを出しそびれていた偉大な作家が亡くなりました。
三浦哲郎(てつお)先生の作品に出合ったのは高校生の時。学校で一泊読書会というイベントがあり、その時の課題図書が先生の「笹舟日記」でした。いわゆる短編エッセイ集と一言では片付けられない、ユーモアと温かみに満ちた文体で、一気にファンになりました。
その後芥川賞受賞作「忍ぶ川」「木馬の騎手」「踊り子ノラ」「モーツァルト荘」などを読みあさり「ユタと不思議な仲間たち」は劇団四季のミュージカルも観に行きました。人間の生と死、大人の事情。青森出身の先生の作品の登場人物は圧倒的に東北の人が多かったように思います。
実の兄弟姉妹の不遇の人生をつづった「白夜を旅する人々」が発表され、大学で国文学を専攻していたので、ぜひこの作品のことを卒業論文に書きたいとゼミの先生に相談したところ「まだ生きている作家で、作家全集も出ていないとなると論文としてまとめにくいので、違う作家を選んだほうがいい」と助言されました。私はその頃、三浦哲郎一辺倒だったので、はたと困ってしまった。どうしよう、それほど好きでもない作家のことを追究したところで、底の浅い論文になってしまうし・・・。何より好きな作家のことを書きたい。すると、それは今思えば神様が「そんなに好きなら書いていいよ」と言ってくれたとしか思えないタイミングで「三浦哲郎自選全集」が発売になったのです!そのことをいさんでゼミの先生に伝えに行ったところ「全集が出るのならいいでしょう」と言っていただき、大喜びしたのを覚えています。
つい最近も「お元気にしておられるのだろうか」と考えていたところでした。
高校の読書会の時、同じ部屋に宿泊して一晩中ずっとベランダで話をしていたのが、夏のライブに来てもらった友人のKさんでした。読書会も夏で、明け方にひぐらしが鳴くのを初めて聞いて「笹舟日記」の中にある「夜明けのカナカナ」に出て来る「消灯ラッパだ、消灯ラッパだ」というセリフを言い合ったものでした(ひぐらしは夕方に鳴くというイメージがありませんか?実は明け方も鳴くということをこのお話で知りました)
その時の切ないのだけど、夜通し起きて友達と色んなことを語り合った後のハイな気分とが入り混じった、まさに青春そのものな感覚。何となく今でも覚えていて、それをきれいなピアノの曲にしてみようかと、試行錯誤しているところでした。
一番多感な時期に、一番たくさん読んだ作家でした。涙の出るような素敵な物語をありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
三浦哲郎(てつお)先生の作品に出合ったのは高校生の時。学校で一泊読書会というイベントがあり、その時の課題図書が先生の「笹舟日記」でした。いわゆる短編エッセイ集と一言では片付けられない、ユーモアと温かみに満ちた文体で、一気にファンになりました。
その後芥川賞受賞作「忍ぶ川」「木馬の騎手」「踊り子ノラ」「モーツァルト荘」などを読みあさり「ユタと不思議な仲間たち」は劇団四季のミュージカルも観に行きました。人間の生と死、大人の事情。青森出身の先生の作品の登場人物は圧倒的に東北の人が多かったように思います。
実の兄弟姉妹の不遇の人生をつづった「白夜を旅する人々」が発表され、大学で国文学を専攻していたので、ぜひこの作品のことを卒業論文に書きたいとゼミの先生に相談したところ「まだ生きている作家で、作家全集も出ていないとなると論文としてまとめにくいので、違う作家を選んだほうがいい」と助言されました。私はその頃、三浦哲郎一辺倒だったので、はたと困ってしまった。どうしよう、それほど好きでもない作家のことを追究したところで、底の浅い論文になってしまうし・・・。何より好きな作家のことを書きたい。すると、それは今思えば神様が「そんなに好きなら書いていいよ」と言ってくれたとしか思えないタイミングで「三浦哲郎自選全集」が発売になったのです!そのことをいさんでゼミの先生に伝えに行ったところ「全集が出るのならいいでしょう」と言っていただき、大喜びしたのを覚えています。
つい最近も「お元気にしておられるのだろうか」と考えていたところでした。
高校の読書会の時、同じ部屋に宿泊して一晩中ずっとベランダで話をしていたのが、夏のライブに来てもらった友人のKさんでした。読書会も夏で、明け方にひぐらしが鳴くのを初めて聞いて「笹舟日記」の中にある「夜明けのカナカナ」に出て来る「消灯ラッパだ、消灯ラッパだ」というセリフを言い合ったものでした(ひぐらしは夕方に鳴くというイメージがありませんか?実は明け方も鳴くということをこのお話で知りました)
その時の切ないのだけど、夜通し起きて友達と色んなことを語り合った後のハイな気分とが入り混じった、まさに青春そのものな感覚。何となく今でも覚えていて、それをきれいなピアノの曲にしてみようかと、試行錯誤しているところでした。
一番多感な時期に、一番たくさん読んだ作家でした。涙の出るような素敵な物語をありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
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