「THE BATMAN」(2022)
バットマン単体映画の新作が久々に公開された。
「DARK KNIGHT RISES」の公開が2012年だったので、それから10年も経過していたのか。
時が経つのは早いものだ。
ベンアフバットマンも良かったのだが、彼単体の映画を作らずにBVSから急に始めたのは悪手だったと思う。
「マン・オブ・スティール」で折角、新しいスーパーマンが出来たのにアヴェンジャーズに影響されすぎて、DCでもヒーローチーム映画をやらないと!となってしまい、キャラの深堀りも全く出来ていないのに新しいバットマンとワンダーウーマンを作ってしまった。
もっと色々なベンアフバットマンを見たかったが、イマイチ盛り上がらなかった印象だ。
アメリカでは顎の形が良くないということであまり人気がないと聞いた。
今回のバットマン俳優はロバート・パディンソン(TENETのニール役)だ。
画面全体が暗く、陰鬱な感じも受けたがダークな世界観とマッチしていて良かった。
バットマン2年目の新人らしく、人の言うことを真に受けやすく、あまり深く考えずに行動してるようなシーンも多くみられた。
クリスチャン・ベールバットマンはスマートな大人といった感じだったが、ロバート・パディンソンは全体的にこう、童貞臭さを感じさせる。
また今回の悪役であるリドラーも非常に面白い悪役だった。
ジム・キャリーのリドラーとは全然似ても似つかない存在で、同じリドラーとは思えない。もちろんジム・キャリーが悪いというわけではなく、時代によるものだが。
今回のリドラーはゴッサムシティの権力と暴力の癒着を暴くために、市長や検事を殺していくというキャラクターだ。
今までの映画ヴィランのように無意味な大量殺人やよくわからない銀行強盗をしない。街の腐敗を正したい!という行動はある意味ヒーローのように思える。だからと言って殺せばいいというわけではないと思うが。
こうやって書いているとヒーロー映画、というよりマフィアの抗争劇にコスプレ正義マン参入!といったストーリーだったな。
話の流れとしては
ウェインパパが再開発基金を始める→ウェインパパ、ファルコーニに殺される→再開発基金でみんな(ファルコーニ、マローニ、市長など)ウハウハ→ファルコーニ、マローニを逮捕させて、市長を当選させる→市長暗殺といった感じか。
リドラーとしては自分達孤児のために使われるはずだったお金が悪人たちに使われてしまったせいで、不幸な人生を送ってきたことから”復讐”を始めたわけだ。なんかこうリドラーに感化された他のリドラー達も無敵の人みたいな感じだなぁ。結局、暴力に訴えかけてしまうとテロになってしまうが、それも人間の本能なのかもしれない。ロシアもウクライナに戦争を仕掛けている(あくまで日本人だからそう思うわけで、ロシアの人からしたら解釈は異なるだろうが)が暴力に訴えかけてしまった。現代的ではないのかもしれないが、やはり戦争は手段として残っているのだな、と思う。暴力は無くならないのだ。
さて、映画としては非常に良かった。というか俺は不評な「DARK KNIGHT RISES」も普通に楽しかったので、なんでも楽しめるのかもしれない。
洪水の中、バットマンがゴッサム市民を感電させないために、送電線をバットラングで切り、発煙筒で誘導してく、避難場所では覆面を被って被災者を助ける。これらのシーンは本当に良かった!!!これがヒーローなんだな、と思わされた。結局のところ、全てのヒーローはヴィランとの戦いに没頭してしまう傾向にある。その方が絵としても面白いしな。
それも大事なことかもしれないが、一般市民を守る、ということもヒーローのカッコいいシーンだな、と感じる。
老害的なことを書くが、ウインスペクターやソルブレインはいつもビルやら建物が倒壊し、下敷きになってしまった人たちを助けるシーンが毎回のように挿入されていた。ソルブレインにおいては人命救助シーンが顕著に描かれていて、ソルジャンヌが酸素マスクみたいのを吸入させるシーンもあった。この酸素マスクは玩具でも売られていたが誰が買うんだ、これと当時思っていた。が、そのような人を助けるシーンって大事だったんだな、と今は感じる。ソルブレインにはSS-1とかいう超巨大消防車みたいのも出てきたし、人命救助を意識したメタルヒーローだったんだな、と思う。まぁあまり人気が出なかったからか、ウインスペクター先輩が出てきてしまうというテコ入れが起きてしまったのだが。ナイトファイヤーかっこいい。仮面ライダーも戦隊も人命救助のシーンより悪者と戦うシーンが多すぎるのはちょっと残念なことだが、老害のつぶやきだろう。
というかバットマンを見てメタルヒーローを思い出すとは思わなかったな。
3時間もある映画だったが、飽きることもなく見ることが出来た。次回作も作るのかもしれないが、これ単体でもスマートに終わっている。
今回の「THE BATMAN」は、ヒーローという存在はどうあるべきかを改めて考えさせられる映画だった。
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