へんくつゃ半睡の「とほほ」な生活!

 奇人・変人・居眠り迷人。医療関連を引退⇒
某所で隠遁準備中。性質が頑な、素直ではなく、
偏屈でひねくれています。

日本とアメリカの公的健康保険制度の違い

2019年05月20日 | 医療制度
  

「公的健康保険制度の違い」

  

 公的健康保険制度が、アメリカ合衆国と日本では公的健康保険
 制度が大きく異なる。
 日本では国民皆保険制度を導入しているが、アメリカ合衆国では
 受給資格がある人のみ公的医療保険制度に加入できる。
 主な公的医療保険制度として、「メディケア(Medicare)」と、
 「メディケイド(Medicaid)」がある。

  

 「メディケア」は、65歳以上の高齢者、身体障害者、及び透析や
 移植を必要とする重度の「腎臓障害」を持つ人を対象とした
 連邦政府が運営する制度で、「メディケイド」は、低所得者を
 対象に、州政府と連邦政府によって運営されている。

   
 
 そのため、これらの制度の対象外となる人は民間の保険への加入を
 検討する必要がある。
 国勢調査局(US Census Bureau)の最新の統計結果によると、2016年の
 保険未加入者は全米で約2810万人(国民の約8、8%)となっている。

 アメリカ合衆国の健康保険を理解する上で必要な基本知識、
 日本で加入済みの保険の利用、および最新の動向について説明する。
  

基本用語

  

 アメリカ合衆国の保険を理解するうえで必要な用語について説明する。
 (※定義、保険プランの仕組み・内容・条件等については、
 合衆国・州法やプランを提供する医療保険会社によって異なる。)

  

Allowed Amount
 保険でカバーされる医療サービスにおいて、保険給付計算の対象と
 なる金額。Eligible Expense、Payment Allowance、Negotiated Rateと
 呼ばれることもある。
 医療機関が、Allowed Amountを超える金額を請求した場合、その差額を
 保険加入者が支払わなくてはならない場合がある。
 ※(Balance Billingを参照)

  

Balance Billing
 
医療機関が医療サービスに対する請求額と保険会社が保険給付精算の
 対象とするAllowed Amount の差額を請求することをBalance Billingと
 いう。例えば、保険でカバーされる医療サービスに対する医療機関の
 請求額が100ドルで、Allowed Amountが70ドルの場合、医療機関は
 保険加入者の自己負担分に加え、差額の30ドルを保険加入者に請求する
 可能性がある。
 ネットワーク内の医療機関を利用した場合、医療機関からの差額の
 請求は発生しない。

  

Co-Insurance(保険給付割合)
 保険でカバーされる医療サービスにおいて、保険給付精算の対象となる
 Allowed Amountに対し、保険加入者が支払う医療費割合(%)のこと。
 Deductibleが設定されている場合は、Co-InsuranceとDeductibleの
 両方が自己負担となる。
 例えば、加入者のCo-Insuranceが20%でDeductibleをすでに満たして
 いる場合、医療サービスに対するAllowed Amountが100ドルであれば、
 20ドルが個人負担、残りの80ドルは保険会社の負担となる。

  

Co-Payment
 
保険でカバーされる医療サービスを受ける際に、医療機関に対して
 支払う一定額(例:通院につき15ドル)のことを指し、保険加入者の
 自己負担となる
 医療費割合(%)を指すCo-Insuranceとは異なる。診療所や病院など、
 医療サービスのタイプによって金額が異なる場合がある。

  

Deductible(年間当初自己負担額、あるいは保険会社免責額)
 保険会社から保険金給付が開始される前に、保険加入者が負担する
 金額。例えば、 Deductibleが1000ドルの場合、Deductibleの対象と
 なる医療サービスは1000ドルまですべて自己負担をしないと、
 保険金の給付がされない。
 一部の予防医療サービスなど、すべての医療サービスがDeductibleの
 対象となるわけではない。

  

Out-of-Pocket-Maximum(年間自己負担限度額)
 保険対象となる医療費支払いの自己負担額の上限(通常暦年で設定
 されている)。当該上限を超えた医療費の支払については、原則、
 保険会社が「Allowed Amount」の100%を給付。医療保険改革法は、
 既得権プラン(Grandfathered Plan)を除くすべての医療保険プランは、
 Co-Payment・Deductible・Co-Insurance・Essential
 Health Benefits(検体検査や予防医療サービスなど10項目の
 医療サービス)に対する支払いについて、Out-of-Pocket Maximumの
 計算対象としなければならないと定めている。
 また、保険料・ネットワーク外の医療機関を利用した際の
 Balance Billing・エッセンシャルヘルスベネフィット以外の
 医療サービスに対する支払いは、Out-of-Pocket Maximumの計算に
 含めなくてもよいとしている。

  

UCR(Usual Customary and Reasonable)
 同じ地域内で同一または類似の医療サービスが、一般的に請求されて
 いる額をもとに地域毎に設定された医療費の基準額。
 UCRは、一般的に、ネットワーク外の医療機関を利用した際の
 Allowed Amountの設定に使われることがある。

医療制度改革法成立時(2010年3月23日)に既に存在していた
 プランのこと。
 これらのプランには既得権が付与され、医療保険改革法の一部条項が
 適用除外となる。
 給付水準の引き下げや自己負担額の増加など、プランに大幅な変更が
 あった場合、既得権がなくなる場合がある。

  
 
  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

アメリカ合衆国における
 「医療保険の種類」に、続く


  
コメント
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