学習相談で「
という質問を受けたことは数えきれないほどです。
計算ミスをしてしまう原因は生徒個々に応じて異なりますから、
それを生徒に伝えたうえで、
ただ、学習相談で対応するのは実際に指導していない生徒。
その生徒が犯す計算ミスの原因を判断するのは難しく、
複数の「気づきどころ」があるのですが、
(1)答えの「一の位の数字」を確認する
たとえば、168×37=[ ] という計算で、一の位の数字は 8×7=56 より6だとわかります。
そこを確認するだけなら時間のロスはないはずです。
(2)概数で見当をつける
たとえば、246×75=[ ] という計算で、「250×70=17500に近い数値だろうな」
(3)途中の[ ]を求める計算問題では、自分の答えをあてはめて検算する
78.5+12×([ ]-1.6)=121.7 という計算問題で逆算した答えが5.2になったら、[ ]に5.2をあてはめて計算し、121.7になればOK
など。
人間である以上、
ならば、
計算ミスの「気づきどころ」をたくさん持っている生徒ほど、
また、
筆算に頼りすぎると暗算力はつきません。
何事も日々の積み重ねですね。
「わり算の意味、ちゃんとわかっていますか?」
事の発端は、とあるご家庭からのご相談。
何やら、学校の宿題で
「分数のわり算は、なぜ上下をひっくりかえしてかけるのか」
を説明しなければならないと。
中学受験の算数において
その説明をしてもらう機会はほとんどないでしょう。
疑問を感じる生徒がいたとしても
そうやって計算するものだと教わって
分数のわり算の授業はおしまい。
でも、「わり算の意味」を再確認してもらうには良い題材なので
今回取り上げます。
< わり算を初めて学習したとき >
初めてわり算を習ったとき
どんな題材を扱ったか覚えていますか?
「6まいのカードを太郎くんと次郎くんで
同じまい数ずつ分けたら、太郎くんは何まいもらえますか」
「15個のボールを3つの袋に同じ個数ずつ入れると
1つの袋に何個のボールが入りますか」
このような問題を取り扱うことが多いですね。
注目すべきところは
“等しく分ける”
という点。
わり算を初めて学習したお子さんは
わり算 = “等しく分ける”
という意識を持ちます。
< 分数を初めて学習したとき >
さらに、初めて分数を習ったとき
どんな題材を扱ったか覚えていますか?
ピザを6等分した図を用いて
そんな解説をされたかと思います。
ここでも、注目すべきところは
“等しく分ける”
という点。
分数を初めて学習したお子さんは
分数 = “いくつかに等しく分けたうちの何個分”
という意識を持ちます。
< わり算の意味 >
では、わり算の意味は
“等しく分ける” ということなのでしょうか。
実は、その意味は
数の世界が整数のときだけに限られます。
でも、ほとんどのお子さんは
分数のわり算を学習するときに
わり算 = “等しく分ける”
と思っています。
これが混乱のもと。
さらに、分数についても
分数 = “いくつかに等しく分けたうちの何個分”
と思っていますから
どうしても “等しく分ける” という感覚に引きずられます。
ここで思い出してほしいのが
わり算を学習する前に、必ずかけ算を学習するということです。
そこに、わり算の意味を理解するヒントが隠されています。
かけ算は
2倍、3倍、4倍、5倍、・・・
というように
2つの数量を比べて
倍数関係でとらえていきます。
ここから、わり算の意味は
2つの数量を比べたときに、何倍になっているかを求める
ととらえることができます。
数の世界が整数だけでなく
分数に広がった場合には
わり算 = “何倍かを求める”
ととらえて下さい。
< 分数のわり算 >
さきほどの、学校の宿題に戻りましょう。
「分数のわり算は、なぜ上下をひっくりかえしてかけるのか」
2つのわり算で考えてみます。
この場合は分母が等しいので
3は2の何倍か、と考えることができます。
この場合は分母が異なるため
(1)のように同じ分母にすれば
分子だけを比べて、何倍かを求めることができます。
そこで、通分してから、何倍かを求めてみると
結果的に、ひっくりかえしてかけていることになりますね。
宿題の答え
「分数のわり算は、なぜ上下をひっくりかえしてかけるのか」
⇒ 2つの分数を比べて、わられる数がわる数の何倍かを求めると
結果的に、ひっくりかえしてかけることになる
はい、完成。
「場合の数って・・・何?」
場合の数って、そもそもどういう意味かわかります?
< 名は体を表す >
算数には便宜上、色々な単元名が付されています。
つるかめ算
差集め算
旅人算
規則性
立体図形
etc.
「名は体を表す」
といわれるように
単元名を見れば
どのような内容かなんとなくイメージはつかめます。
つるかめ算なら、鶴と亀が出てくるんだろう
差集め算なら、差を集めるんだろう
旅人算なら、人がうろうろ動くんだろう
ところが、単元名を見ても、イマイチ内容がはっきりしないのが
ニュートン算
場合の数
ニュートン算はまたの機会に取り上げるとして
今回は、場合の数。
問題文で 「○○は何通りありますか。」
と聞かれる、アレです。
つまり
問題で指定している「○○の場合」
その数を求める
という問題ですね。
< 場合の数は、場合分け+たし算 >
場合の数の問題に取り組むとき
どんな問題でも、必ず
5×4×3×2×1=120通り
と、かけ算だけで処理したがるお子さまは要注意!
確かに、かけ算で処理する「積の法則」を習いますが
これはすべての問題に使える手法ではありません。
場合の数=かけ算(積の法則)
というイメージを持っているなら
まずはそれを捨てること。
結論を述べてしまえば
場合の数=場合分け+たし算(和の法則)
これが正しいイメージです。
< モノの数を正確に数えるには? >
場合の数はそもそも
モノの数を数え上げること。
モノの数を正確に数え上げるために
場合分け
という作業を行うのです。
場合分け? ん、なんだそれ?
こんなふうに、なんだかピンとこないときは
グループ分け
と思ってください。
具体的に考えてみましょう。
例えば、個別指導塾ドクターの生徒の人数を数えるとき
ひたすら数えるのは面倒ですし
モレやダブりという数えミスをやらかす危険性が高い。
そこで、グループ分けをするのです。
男女別 ⇒ 男子+女子=△人
学年別 ⇒ 6年生+5年生+4年生+・・・+1年生=△人
校舎別 ⇒ 代々木校+自由が丘校+吉祥寺校+・・・+たまプラーザ校=△人
色々なグループ分けの仕方が考えられます。
でも、最終的に出てくる全生徒数は同じですね。
このように、複数の種類が混ざったモノを
種類別に分けて数え上げ、最後に全部たす。
これが、さきほどお伝えした
場合の数=場合分け+たし算(和の法則)
ということです。
< 基本があってこそ、さらなる工夫ができる >
繰り返しますが
場合の数=場合分け+たし算(和の法則)
これが、場合の数の正しいイメージであり、基本でもあります。
この基本の上に、
さらなる“正しく数え上げるため”の工夫があるわけです。
それが
①同じ数ずつ出てくるなら、かけ算(積の法則)
②等しく重複するなら、円順列・数珠順列
③求めるもの以外を全体から引いた方がはやいなら、余事象
といった手法です。
基本を抜きにして
①~③のような手法を使っても
一部の問題が解けるようになるだけ。
場合の数を攻略するためには
まずは、場合分け+たし算(和の法則) をおさえてください。
それでは、また。
今回のお題は
「食塩水の問題への取り組み方」
理科のお話ではありません。
あくまでも算数のお話。
食塩水は入試では頻出の分野。
どこの塾でも5年生で取り扱うことが多いですね。
割合と比の学習を終えたお子さんであれば
取り組める分野です。
食塩水の問題では
つまずきやすいポイント
がいくつかあります。
それを確認していきましょう。
< つまずきポイント①:濃度ってなに? >
「濃度」というコトバに初めてお目見えすると
濃さのことだろう
とコトバの意味はわかった気になります。
数値が高いと、濃い食塩水
数値が低いと、薄い食塩水
というイメージは持てるはずです。
でも問題を解く段階で
このコトバの意味を本当に理解していないと
混乱するケースがあります。
試しに、お子さんに
「20%の食塩水に含まれる水の割合は何%?」
と確認してみてください。
80%と即答できたお子さんは
濃度の意味を理解しています。
濃度とは、食塩水全体に対する食塩の割合、のこと。
20%の食塩水とは、食塩水全体のうち20%
ということは、残りの水の割合は、100-20=80%
この、当たり前すぎることが、
けっこう多いんです。
公式にあてはめて濃度の計算をしているなら
要注意。
今一度、確認してみてください。
< つまずきポイント②:食塩水を取り出すと濃度はどうなる? >
受験生であれば必ず取り組む、食塩水のやり取りの問題。
容器Aには10%の食塩水300g
容器Bには25%の食塩水200g
「容器Aから50gの食塩水を容器Bに入れてかき混ぜました。
容器Bの食塩水の濃さは何%になりましたか。」
このとき
「容器Aから移した50gの食塩水の濃度がわからないから、
と思ってしまうことがあります。
10%の食塩水300gから50g取り出すと
残った250gの食塩水も、取り出した50gの食塩水も、10%
そう思ってしまうわけです。
食塩水を取り出しても、濃度は変わらない。
容器Aから何g取り出したとしても
残った食塩水と取り出した食塩水は、どちらも濃度10%のまま。
そう説明しても、いまいちピンとこないお子さんも。
「う~ん、薄くなるような気がするけどな・・・」
反応が鈍いときは
次のような説明をしています。
ビンに入った果汁100%のオレンジジュースを買ってきた。
そのうちの半分をコップに入れて飲んだ。
コップに入れたジュースは果汁100%だし
残ったジュースも果汁100%。
どちらも100%から薄くなることはないよね。
この説明をすると
「あ~言われてみればそうだね」
と納得してくれます。
食塩水を取り出しても、濃度は薄くならず、もとのまま。
理解しているか、確認してみてください。
< つまずきポイント③:どの解法を選択すべき? >
食塩水の問題には複数の解法が存在します。
①3公式の表
②ビーカー図
③濃度面積図
④平均面積図
⑤てんびん
etc.
①②③のうちのいずれか・・・A
④⑤のいずれか・・・B
の2つの解法を使い分ける生徒がほとんどでしょう。
ここでつまずきのポイントとなるのが
AとBの使い分けについて。
どの問題のときにAを使い
どの問題のときにBを使うか。
その識別ができるかどうかで
差がつきます。
覚えておいてほしい識別方法は2つ。
【識別方法・1】
アにイを混ぜてウができたとき
つまり、ア+イ=ウ、とたし算の式で表現できるとき
B(平均面積図、てんびん)が使える
【識別方法・2】
食塩水の量が1種類しかわからないとき
A(3公式の表、ビーカー図、濃度面積図)では解けないので
B(平均面積図、てんびん)で解く
ドクターの、イメージde暗記「根本原理」ポイント160
でも取り上げている
重要なポイントです。
ぜひ覚えてください。
はい、ここまで~。
それでは、また。