先週「犯人に告ぐ」を読みました。
その前にレンタルした映画版「犯人に告ぐ」を観て触発されたのが切っ掛けです。
遅いですねー私は
でも!面白かった!
上下一冊づつ、計二日で読めるちょうどいい長さ。
映画を観てから読むか、または読んでから観るか?
どちらかと聞かれれば、観てから読むのをオススメします。
(ここからは少々ネタバレとなるので何も知りたくない方はスルーしてください。でも今更有名すぎてネタバレもあまり気にしないでいいかもしれませんね。)
なぜなら、原作と映画では若干ですが、登場人物の年齢設定や、環境設定、事件の細部の流れが違うので、最初から原作の様な深さを求めると「なんだ、薄っぺらい、面白くない!」と思う向きもあるかもしれないという事。それから映画を観ると、それを演じた役者のキャラとどうしてもかぶってしまいますが、逆に原作を読む上ではイメージを描きやすく、いい効果を発揮して、より面白くなるからです。…ありゃ?(笑)どうも矛盾にきこえますね。(^^;
要するに映画と原作のキャラクターイメージが非常に近くて、それを挙げればとてもいいキャスティングだった。ただどうしても2時間という枠の限界から多少の設定の操作はしなければならないので、それが原作にある独特な深みを欠く要因にならざるを得ない。だから観てから読む方が両方楽しめるというわけです。
映画では主人公の巻島警視に豊川悦司、一癖ある上司・曽根本部長に、私も大好きな"危険なブルドッグ"(←自作の枕詞・笑)石橋凌、野心家のエリート若手警視・植草警視に小澤征悦、巻島を影で支える老刑事・津田巡査部長に笹野高史。
これは文句なく原作とぴったりのベストキャスティングでした。
刑事物特有の、市井の私達には読みづらい組織の複雑さはまったくなく、刑事物はちょっと~という方も気にならずに読めます。
主人公の背負っている過去というとても情緒的な部分を背景に、そこに周りの人間のさまざまな欲が絡むといった物語。
それに警察官僚の世界の内部事情やマスメディアの裏側なども巧みな人物描写とリアルな場面描写の両側面で描かれています。
事件、警察、犯人、被害者、家族、マスメディア、人間の欲と業、あらゆる角度から隙間なく物語が進行して行くサマはまさに映画の様な、否それ以上のエンターティナー小説で、最後までまったく飽きさせません。
そして、この物語の軸であり華を添えるのが「連続児童殺人事件」と「劇場型公開捜査」です。
すでに子供が4人殺されている後の公開捜査という設定なので、ハッキリ言って救いがない状況でありながら、読後感は非常に爽やかで感動を呼びます。
それは巻島とそれを支える津田長のエピソードがとてもいいからです。
また、ニュースショーに刑事が出て犯人に呼びかけるまでのいきさつ、その顛末は実に巧妙に読者を引きつけて納得させられるし、最後の100ページあたりから事件解決までは非常に緊張感に溢れ、しめくくりのエピソードは映画にはないシーンで、これには涙があふれます。
私は最後の一行でぐちゃぐちゃになりました。
特筆したいのは、主人公の巻島は見た目も行動も考え方もとてもクールで凄くカッコいい男として描かれています。しかし、一貫したクールな一面を持ちながら、一方では、人間味溢れる感情を持ち、それを支える家族や周りの刑事との交流を通して、そのクールさに一重も二重も厚みが加わっていること。
それから、曽根本部長も良かった。彼は巻島とは対局で、きたね~!…でも汚いんだけど、ここまで来るとカッコいい。
2人のシーンではやたら「苦笑」と「失笑」という文字が出て来るのも、かなりツボでした。
この2人を豊川悦司と石橋凌はとても上手く演じていたと思います。
とにかく映画、原作共にカッコ良かったですね。中年になったらイケメンはこうならないといけない…という説得力ある物語としても是非、皆様には読んでいただきたい一冊です(笑)。
満足満足~♪
yahoo.books 雫井脩介/著「犯人に告ぐ」
「映画「犯人に告ぐ」公式HP
その前にレンタルした映画版「犯人に告ぐ」を観て触発されたのが切っ掛けです。
遅いですねー私は
でも!面白かった!
上下一冊づつ、計二日で読めるちょうどいい長さ。
映画を観てから読むか、または読んでから観るか?
どちらかと聞かれれば、観てから読むのをオススメします。
(ここからは少々ネタバレとなるので何も知りたくない方はスルーしてください。でも今更有名すぎてネタバレもあまり気にしないでいいかもしれませんね。)
なぜなら、原作と映画では若干ですが、登場人物の年齢設定や、環境設定、事件の細部の流れが違うので、最初から原作の様な深さを求めると「なんだ、薄っぺらい、面白くない!」と思う向きもあるかもしれないという事。それから映画を観ると、それを演じた役者のキャラとどうしてもかぶってしまいますが、逆に原作を読む上ではイメージを描きやすく、いい効果を発揮して、より面白くなるからです。…ありゃ?(笑)どうも矛盾にきこえますね。(^^;
要するに映画と原作のキャラクターイメージが非常に近くて、それを挙げればとてもいいキャスティングだった。ただどうしても2時間という枠の限界から多少の設定の操作はしなければならないので、それが原作にある独特な深みを欠く要因にならざるを得ない。だから観てから読む方が両方楽しめるというわけです。
映画では主人公の巻島警視に豊川悦司、一癖ある上司・曽根本部長に、私も大好きな"危険なブルドッグ"(←自作の枕詞・笑)石橋凌、野心家のエリート若手警視・植草警視に小澤征悦、巻島を影で支える老刑事・津田巡査部長に笹野高史。
これは文句なく原作とぴったりのベストキャスティングでした。
刑事物特有の、市井の私達には読みづらい組織の複雑さはまったくなく、刑事物はちょっと~という方も気にならずに読めます。
主人公の背負っている過去というとても情緒的な部分を背景に、そこに周りの人間のさまざまな欲が絡むといった物語。
それに警察官僚の世界の内部事情やマスメディアの裏側なども巧みな人物描写とリアルな場面描写の両側面で描かれています。
事件、警察、犯人、被害者、家族、マスメディア、人間の欲と業、あらゆる角度から隙間なく物語が進行して行くサマはまさに映画の様な、否それ以上のエンターティナー小説で、最後までまったく飽きさせません。
そして、この物語の軸であり華を添えるのが「連続児童殺人事件」と「劇場型公開捜査」です。
すでに子供が4人殺されている後の公開捜査という設定なので、ハッキリ言って救いがない状況でありながら、読後感は非常に爽やかで感動を呼びます。
それは巻島とそれを支える津田長のエピソードがとてもいいからです。
また、ニュースショーに刑事が出て犯人に呼びかけるまでのいきさつ、その顛末は実に巧妙に読者を引きつけて納得させられるし、最後の100ページあたりから事件解決までは非常に緊張感に溢れ、しめくくりのエピソードは映画にはないシーンで、これには涙があふれます。
私は最後の一行でぐちゃぐちゃになりました。
特筆したいのは、主人公の巻島は見た目も行動も考え方もとてもクールで凄くカッコいい男として描かれています。しかし、一貫したクールな一面を持ちながら、一方では、人間味溢れる感情を持ち、それを支える家族や周りの刑事との交流を通して、そのクールさに一重も二重も厚みが加わっていること。
それから、曽根本部長も良かった。彼は巻島とは対局で、きたね~!…でも汚いんだけど、ここまで来るとカッコいい。
2人のシーンではやたら「苦笑」と「失笑」という文字が出て来るのも、かなりツボでした。
この2人を豊川悦司と石橋凌はとても上手く演じていたと思います。
とにかく映画、原作共にカッコ良かったですね。中年になったらイケメンはこうならないといけない…という説得力ある物語としても是非、皆様には読んでいただきたい一冊です(笑)。
満足満足~♪
yahoo.books 雫井脩介/著「犯人に告ぐ」
「映画「犯人に告ぐ」公式HP