Drマサ非公認ブログ

はじめて入院した⑨

 入院したその日、一番困ったのはトイレであった。

 というのは、絶対安静を医師から命令されたからである。私に命令があったというよりも、看護スタッフへの命令でもあった。具体的はどういう命令だったか?少しの移動であっても、看護師が付き添い、車椅子移動しなければならないということであった。

 理由は血圧が200以上ということでの判断とのこと。これだけ高いと、立ち上がったり、歩いたりすると、めまいがして倒れることもある。それを回避するための措置なんだそうだ。考えすぎではないかと訝しながらも、リスクヘッジということなのだろう。

 私が入院したのはACCUという集中治療室で個室である。だから、トイレは個室内にある。ベッドからほんのわずかでトイレである。その距離たった1.5メートルである。点滴のおかげで、実は結構動けるようになってもいた。そこでトイレに行こうとするが、必ず看護師を呼んで連れていいてもらわなければならない。

 正直に言えば、たった1.5メートル。当然歩けるのだ。しかしながら、看護師に「自分で行けるよ」と言ったら、「ダメです。必ず呼んでください」とのご返答である。しょうがない。トイレに行きたくなったら、看護師を呼ぶしかないと考え、呼ぶようにした。

 「ああ、面倒臭い!」確かに身体には電極や点滴などが繋がれてはいる。ただ、自分で少し操作すれば、トイレまでは伸びる。それでも看護師を呼ぶしかない。

 1度目。0時少し前だったと思う。なかなか看護師がやってこない。やってきたら体に繋がれている医療機器を「あ〜たら、こ〜たら」、あやとりを解きほぐすようにしている。それが終わったら、ベッドの前に置かれた車椅子に座り、たった1メートル動かす。そうするとトイレになる。そこで看護師がトイレのドアが“ある程度”閉まる位置にまで押し込んでくれるが、自分で歩いたほうが手っ取り早いと思いながらも、身を任せ、やっとパンツを下ろす。もう看護師はいない。

 普通の水洗トイレなのだが、おしっこの量を測るためのプラスチックの容器がついており、そこに“放水”。そこで車椅子に自力で戻る。タイミングを測ったように看護師が戻ってきて、また1メートル車椅子を押してくれ、ベッドに戻る。看護師はプラスチックの容器を取って、部屋を出て行く。どこかで量を測っているようである。

 2度目。3時ごろ。ナースコールをして、同様の対応と行動。ただ看護師がやけに疲れている。顔に現れている。当日は深夜帯が特に忙しかったらしい。担当になった看護師は1年目か2年目の看護師である。とにかく一生懸命頑張っているという印象。

 3度目。5時半ごろ。看護師を呼ぶがなかなかこない。しょうがない。漏れそうだ。独力で行こうかなあとトイレの前に移動した時に看護師が来た。「申し訳ない、漏れそうで」と言うと、「ごめんなさい。遅くなって」との謝罪の言葉。申し訳ないなあと思っていたら、「こういうところ、先輩に見られたら怒られちゃう」と“可愛いお言葉”。「色々あるんだなあ」などとぼんやり思いながら、もう一眠りした。

 おしっこが近いのは薬のせいなのだが、それほどの量は出ていなかった。

 (つづく)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「医療」カテゴリーもっと見る