交錯する過去と未来。
選んだ少女達はそれぞれの生を生き、選ばなかった少女は永遠を求めて飛ぶ。
(シムーン最終回ですが、長くなりそうなので、前後にわけます)
この先シムーン最終回のネタバレあり。
○森で小枝と花を摘む少女。
それは背と髪がのび美しく成長したリモネでした。
元が12才だったからあれから5~6年ほど経っていそうな雰囲気です。
天から降りて来た神の巫女なので、たいそう奉り上げられているかと思えば、とはいえそれほど神格化されてはいなようですね。
仲の良い友人もいるようだし、今のシムーンシヴェラほどの扱いでしょうか?。
花を摘むかごはユンの作った「ゆりかご」に似ています。
過去の世界ではリモネとドミヌーラの功績でシムーンの技術は一気に進んだようですね。
今日リモネと同世代のパルの少女が「翠玉のリ.マージョン」を行うようです。
その姿は未来のシヴェラとは違いますが、パイロットスーツさえ着ています。
「翠玉のリ.マージョンは幸いをもたらす」
そのおかげで新たな作物などが手に入るようになったと長老は語ります。
しかしドミヌーラ、リモネのパルでさえ行く先の制御できない(しかも戻れるかどうかも不明な)翠玉~がそう便利に使える物かは不明。
これは推測ですが、送りっぱなしの行きっぱなし。結果がどうあれ「神へ仕える」と祝福され、後世に伝えられているのではないでしょうか。
周囲の喜びの声とは違い、リモネの悲しげな表情も、それを知っているからなのではないかと推測しますが...
そして、リモネのパル、ドミヌーラは病にふせっていました。
そのためしばらくシムーンでも飛んでいないようです。
リモネは再び飛びたいようですが、あくまで「自分のパルはドミヌーラ」(だから他の誰かとは飛ばない)と言いきります。ここでも二人の絆の強さが垣間見えますね。
そして今の時代に翠玉のリ.マージョンを伝えた事を後悔してもいるようです。
現在。
戦艦メッシスの甲板にいたのはモリナスです。
つなぎ姿の彼女は、ワウフ元艦長が経営する運送業者で働いていました。
しかも彼女、妊娠しています。
やはり、というかワポーリフとの子供のようですね。
ワウフもすっかり社長業が板についています。おまけに可愛い娘さんがいるじゃないですか(笑)
元からいたのか、それとも戦後結婚したのか解りませんが、晩ご飯のことを話す彼は幸せそうです。
メッシスは老朽艦ということで、民間へ払い下げとなったんでしょうか?
2話で男性となった「エリフ」もここにいましたね。
自ら選ばなかった事を後悔していた彼ですが、もとシヴェラの経験をいかしてシュミレのパイロットとして、この仕事を楽しんでいるようです。
そして、モリナスが空を見上げた先にはシムーンらしき物が飛んでいましたが、幻のように消えてしまいます。
過去。アルクスプリーマ。
グラギエフとアヌビトゥフが、アーエル達の脱出させた件を嶺国代表から詰問を受けていました。
彼自身巫女出身だったため「希望の大地」には覚えが有るようです。
今翠玉の~を行う意味が有るのかと訪ねる代表にグラギエフは「意味が有ったとしたら彼女達は選ばない」と答えます
ここでの「意味」とは「価値、値打ち、有意義かどうか」ということではないかと取りました。
確かに「違う世界へ行く」という目的はあったかもしれませんが、今は翠玉のリ.マージョンを送り出してくれた元コールテンペストのメンバーの前で行う事が大切なのかもしれません。
現在。
パライエッタは戦争孤児の孤児院を経営、ロードレアモンもそれに協力していました。
二人とも美しく、貫禄さえ備えた大人に成長しています。
特にロードレの髪型は死んだマミーナと同じ、というのが泣かせますね。
緑の服装からすると、もしかしたら今は嶺国側政府に関係のある仕事をしているのかも?しれません。
「愛される事を知りたい」と言ったパライエッタですが、その言葉がかない多くの孤児から愛される立場にいるようです。
「孤児は犠牲者ではなく、希望の種。そして希望の大地を踏む事が出来る」というパライエッタ。
その言葉はあの日、空に消えた仲間へ向けた言葉でもあるんでしょう。
過去。
やはりこのままにしては置けないと、嶺国代表はアーエル達のシムーンを宮国シムーンで追撃。
泉に行って、もはやなにも出来ないもとシヴェラ達。
フロエは泣き崩れますが、それはくやしさかそれとも無力感でしょうか。男になって涙もろくなった?
リアルに鼻をかむ音がすごいなあ。
そんな彼女を慰める仲間達。パラ様が良い話しをしてるのに、いつのまにかキャッキャウフフのなごみ空間に。
今後男女化していくと、こういうじゃれあいすら意識して出来なくなってゆくかと思うと、寂しくなります。
未来、中庭でお茶を飲む二人の女性。
成長したカイムとすっかり髪の伸びたアルティ。
あのときの笑い声が聞こえたような気がして、空を見上げる二人でした。
○前半終了。
過去と現在という違う時間軸が微妙に重なって、ちょっととまどうところも若干ありましたが、韻を踏むというか、よい演出だと思います。
(例)現在でシムーンが飛ぶカット→過去で飛ぶカット。
冒頭がリモネというのにはちょっと驚きましたね。ほんのちょっと出てくるかと思えば、かなりのボリューム。
過去で幸せになっているかと思えば、翠玉のリ.マージョンを伝えたことで自責の念に捕われているとは思いませんでした。
あと、過去でリモネの摘んだ花は、アルティとカイムの家にも咲いていましたね。
現状の礁国嶺国の話しもちらほらと。
戦勝国はいまや冷戦状態。何時戦争が始まってもおかしくないとか。
第二次大戦後の大国を思わせる状況です。そういうと宮国は分割された旧東西ドイツというふうに見る事も出来ますね。余談ですが日本も数カ国による分割が予定されていたとか...
世界は動いてゆきますが、それでも元シヴェラたちはそれぞれ美しく、逞しく、それぞれの生を生きているのが嬉しくなりました。
感想後半に続きます。