よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

骨粗鬆症について(2)

2014-03-04 18:19:25 | 健康・病気

  診断基準は、腰背部痛、姿勢異常、身長短縮などの身体症状に加えて、脆弱骨折の有無、骨密度低値または脊椎X線像における骨粗鬆化の程度によりおこなわれます。骨密度は、若年成人平均値に比し70%未満が目安です。 

 治療は、食事療法・運動療法・理学療法・薬物療法がおこなわれます。食事は、カルシウムの摂取を増やしなるべく多くの品目の摂取を心掛けます。運動は、骨だけでなく筋力低下防止にも効果があり、散歩、腰痛体操、開眼片足起立訓練などがあります。薬物には、骨吸収を抑制するビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体修飾薬、カルシトニン製剤や、骨形成を促進する副甲状腺ホルモン製剤、その他、カルシウムの吸収を高めるビタミンD製剤などがあります。最近では、さきほども述べましたが、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病と骨代謝、骨粗鬆症との間に共通した病因が考えられており、これら生活習慣病を厳重に管理する必要性も求められています。 さらに特に、高齢者における骨折発生には、反射神経機能の低下、筋肉量減少(サルコペニア)による転倒リスクの増大が要因になるため、神経筋肉機能の改善のためのリハビリテーションや、自宅廊下や風呂場に手すりをつけるなどの環境改善も重要です。

 最後に、”ロコモ”という言葉を聞かれたことはありませんか。 骨粗鬆症や関節疾患を含めた運動器障害により、日常生活の自立度が低下し、要介護状態あるいは要介護になるリスクのある状態をロコモティブシンドローム(通称”ロコモ”)といい、最近マスコミにも取り上げられ話題になっています。2013年総務省により発表されたわが国の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は25%で、4人に1人が高齢者です。高齢化とともに要介護者は増え、現在要支援・要介護の認定者数は570万人とされています。このうち運動器障害が認定要因になっている方は20%強です。

 高齢化率は2055年には40%になるとの予想もあり、超高齢社会に入った日本では、運動機能の維持と運動器疾患の予防改善することにより介護に頼らないで自立して生きることが求められています。 皆様も“ロコモ”にならずに長生きができるよう日頃から心がけていきましょう。

 


骨粗鬆症について(1)

2014-03-04 18:14:10 | 健康・病気

骨粗鬆症とは、「骨強度の低下により骨が脆弱となり、骨折の危険性が高くなる骨の障害」と定義されます。ここでいう骨強度とは、骨密度と骨の微細構造や骨の基質蛋白により影響を受ける骨質とよばれるものにより決定され、骨密度70%、骨質30%で説明されると考えられています。わかりやすく言い換えると、「骨密度が低下したり骨質が劣化することにより、骨がもろくなり、腰背部痛、骨折、脊柱変形などをきたした疾患群」をさします。

 一般的には、骨は力学的負荷に応じて強度が決定されますが、骨はカルシウムを貯蔵する器官でもあるため、カルシウム平衡をつかさどるホルモンなどによる制御も受けています。

 骨はいったん形成された後も常に古い骨が吸収され、新しい骨に置き換わる骨リモデリング(再構築)により正常な強度が維持されています。健常成人でも年に約10%の骨基質が入れ換わることが知られています。 別の見方をすると、骨基質に埋まった骨細胞、骨形成を担う骨芽細胞、骨吸収を担う破骨細胞により骨は絶えず代謝されているとも言えます。

 さて、加齢に伴う骨の変化はどうなっているでしょう。骨量は、20歳前後で最大となり、45歳以降は減少してきます。女性では、閉経以降1年間に23%低下し、6065歳以上では減少率は0.51%と穏やかになります。男性では、65歳頃から女性と同様に年間0.51.0%の骨量が減少するといわれています。

 骨粗鬆症の種類は、エストロゲン欠乏により骨吸収が亢進して起こる閉経後骨粗鬆症、骨生成が低下して骨密度が減少する老人性骨粗鬆症、慢性腎不全、内分泌疾患あるいは薬剤により起こる続発性骨粗鬆症などが知られています。

 メカニズムとしては、エストロゲン欠乏や加齢、生活習慣病に伴う酸化ストレスの亢進により、(1)破骨細胞の活性化、(2)骨芽細胞機能の低下、(3)コラーゲン架橋の異常を生じ、骨強度の低下をきたすと考えられています。特にコラーゲン架橋の異常は、加齢や糖尿病などによる酸化ストレスによって増加する終末酸化産物の過形成によって生じるとされトピックになっています。

 (2)につづく・・・