診断基準は、腰背部痛、姿勢異常、身長短縮などの身体症状に加えて、脆弱骨折の有無、骨密度低値または脊椎X線像における骨粗鬆化の程度によりおこなわれます。骨密度は、若年成人平均値に比し70%未満が目安です。
治療は、食事療法・運動療法・理学療法・薬物療法がおこなわれます。食事は、カルシウムの摂取を増やしなるべく多くの品目の摂取を心掛けます。運動は、骨だけでなく筋力低下防止にも効果があり、散歩、腰痛体操、開眼片足起立訓練などがあります。薬物には、骨吸収を抑制するビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体修飾薬、カルシトニン製剤や、骨形成を促進する副甲状腺ホルモン製剤、その他、カルシウムの吸収を高めるビタミンD製剤などがあります。最近では、さきほども述べましたが、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病と骨代謝、骨粗鬆症との間に共通した病因が考えられており、これら生活習慣病を厳重に管理する必要性も求められています。 さらに特に、高齢者における骨折発生には、反射神経機能の低下、筋肉量減少(サルコペニア)による転倒リスクの増大が要因になるため、神経筋肉機能の改善のためのリハビリテーションや、自宅廊下や風呂場に手すりをつけるなどの環境改善も重要です。
最後に、”ロコモ”という言葉を聞かれたことはありませんか。 骨粗鬆症や関節疾患を含めた運動器障害により、日常生活の自立度が低下し、要介護状態あるいは要介護になるリスクのある状態をロコモティブシンドローム(通称”ロコモ”)といい、最近マスコミにも取り上げられ話題になっています。2013年総務省により発表されたわが国の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は25%で、4人に1人が高齢者です。高齢化とともに要介護者は増え、現在要支援・要介護の認定者数は570万人とされています。このうち運動器障害が認定要因になっている方は20%強です。
高齢化率は2055年には40%になるとの予想もあり、超高齢社会に入った日本では、運動機能の維持と運動器疾患の予防改善することにより介護に頼らないで自立して生きることが求められています。 皆様も“ロコモ”にならずに長生きができるよう日頃から心がけていきましょう。