日本循環器学会や日本呼吸器学会など9学会がまとめた「禁煙ガイドライン」によると、喫煙は個人的趣味・嗜好の問題ではなく“喫煙病(依存症+喫煙関連疾患)”という全身疾患であり、喫煙者は“積極的禁煙治療を必要とする患者”であると認識しなければならないと書かれています。
前回書きましたさまざまな喫煙関連疾患のため禁煙が必要となるわけですが、ここで問題になるのが依存症の問題です。過去においては、禁煙できないのは意思が弱いためといわれていましたが、現在ではニコチン依存症という病気であるというのが現在の認識になっています。
依存症というのは、身体的依存と心理的依存があると考えられています。すなわちニコチンという薬物が体に及ぼす影響を身体的依存といい、喫煙衝動およびその他の禁煙困難要因をニコチンの心理的依存というわけです。この二つの依存をうまくコントロールして禁煙に導く方法が禁煙治療の骨子となります。
ニコチンの身体的依存として、禁煙時に離脱症状(気分の落ち込み、イライラ感、不安感、集中力低下、不眠症など)が生じます。この離脱症状は、禁煙開始1~3日をピークとして1ヶ月程度続くと言われています。離脱症状を緩和する方法として薬物療法があります。禁煙補助剤にはニコチンを含むガムやパッチを使用する方法とニコチンを含まない内服薬があります。
心理的依存を克服する方法としては、心理療法をベースにした医師・看護師など禁煙治療者によるアドバイスがあります。例えば、タバコを吸いたくなる衝動は1~3分間なのでその間、ガムをかむ、深呼吸をする、体操をするなどで気を紛らわすといったテクニックの紹介やなぜ禁煙することになったかを思い出したり、禁煙して良かったことを考えて禁煙を継続していく精神的なサポートをします。
これらの禁煙の手助けをするのが保険適応も認められた禁煙外来になります。禁煙は独力で行うと成功率は8%程度といわれていますが、禁煙外来を利用すると楽に高い成功率(50~70%)で実行することができます。
喫煙者の皆様は、喫煙病という病気であることを認識して一日でも早い禁煙をされることをお勧めいたします。