原題 GHAHREMAN
英題 A HERO
2021年 イラン、フランス
【伏見ミリオン座】
元看板職人のラヒム(アミール・シャディディ)は別れた妻の兄に借金を返せなかった罪で訴訟を起こされ服役中の囚人です
彼の恋人・ファルコンデ(サハル・ゴルデュースト)が偶然、17枚の金貨が入ったバッグを拾い、それを換金して借金の返済に充て訴訟を取り下げてもらおうと奔走するのですが示談交渉は失敗
罪悪感を持ったラヒムは金貨を落とし主に返すことにします
その細やかな善行はメディアに報じられ“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていきます
ところがSNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変
今度は詐欺師を疑われてしまいます
ラヒムを巡って、彼の行いを褒めたたえる者、利用しようとする者、疑惑の眼差しを向ける者
様々思惑が絡み合う人間の倫理観を問うサスペンスです
きちんと下調べもせず報道するマスコミや、それを鵜呑みにして彼の行いを褒め称える慈善団体
ラヒム側にも手落ちがあり、作り話ではないかと疑う側の言い分も当然と思います
それにしても恐ろしいのはSNSです
万国共通ですね
あっと言う間に動画やメールの内容が拡散し、味方と思っていた人が手のひらを返すように冷たくなり、一瞬にして英雄から詐欺師へ突き落されてしまうのです
その発信源は誰なのか、はさほど重要視されていませんがちゃんと伏線は敷かれていました
ファルコンデと一人息子だけは何があってもラヒムを裏切らないと思わせるラストに少しだけ救われましたが、過去の作品同様、様々な問題提議の成された作品で「う~む」となりました
アスガー・ファルハディ監督の次作はどんな内容なのでしょう
作品を発表する度に人間への厳しい視線がパワーアップしていく感じがします
さらに厳しくなると避けたいけれど、きっと観てしまうだろうなぁ…
なんだか疲れる映画でしたね。
SNSに絡め取られる人間が右往左往する様子が、よく描かれているとは思いましたが。
しかし、この有名監督、盗作疑惑で訴えられ、しかも最近敗訴が決定したようですよ。
色々な意味で驚きました。
訪問&コメントありがとうございます。
>この有名監督、盗作疑惑で訴えられ、しかも最近敗訴が決定したようですよ。
残念ですねぇ。
どうしても題材にしたかったのでしょうか。
性被害とか、映画監督という職業に「何だかな」と思ってしまいます。
失礼しました。
本や映画が好きです。
色々語り合えたらと思います。
本も映画も他の方の感想を読むのはとても刺激になります。
宜しくお願いします。