平凡社
2023年12月 初版第1刷発行
211頁
中京高校(現・中京大付属中京)で怪物と呼ばれた投手・野中徹博と応援団長・東淳之介
マウンドとアルプススタンドを通してふたりの友情とプライドを描く青春小説
事実に基づくフィクションとのこと
当時の野中フィーバー、よく覚えています
が、応援団がアルプススタンドで応援する姿は見ていましたけど応援団長の東君の存在までは知らなかった、というか全く興味がありませんでした
あくまで『応援』という立場で野中や、野球部を見つめ続けた東
ヤクザの息子で、元不良、女の子の気持ちには鈍感だけど応援部に入部してからどんどん変わっていく姿が眩しく、東の父親の息子への愛情と信頼は本物だったようで、その辺り、反社会勢力に属する人とはいえ共感を覚えました
彼らの在学3年間にこんなことがあったのか、あんなことがあったのか
野中と東の周囲の仲間たちも存在感バッチリです
事実ではないことも多いでしょうが久しぶりに熱い青春小説を読ませてもらいました
また、卒業後の彼らに関しての記述には栗山さんの温かな視線が感じられました
プロ野球チームに入団してからは、野中と共に中京高校のWエースと呼ばれ1983年ドラフト3位で広島に入団した紀藤のほうが記憶にあります
野中さんは高校時代から怪我で苦労されたのですね
当時は選手生命云々などあまり考えられていなかった時代
気の毒でした
でも、いくつ球団を渡り歩いても野球が好きというのは変わらなかったのです
ラスト、東のエールに応える野中の場面はベタでも感動でした
職場の中京高校出身のMさんに当時のことを聞いたらば
野中や紀藤と同い年で、おまけに紀藤とは中学が隣の学区
紀藤の中学の2年先輩にあたる工藤公康さんとは自動車学校で一緒だったというのです
羨ましい~
当時は男子校だったからか野球部の練習を見学に行くほどのファンは少なかったような気がするとのこと
Mさんは卓球部で練習の毎日、他の部に気を回す余裕もなかったそうです
傍観者だったけれど校内、校外で喧嘩沙汰は日常茶飯事だったとか
小説世界そのまんまです
本当に野中や紀藤、東たちがそこにいたのですね
後半でチラッと出てきた享栄高校からドラフト1位で中日に入団した藤王
彼も期待されたほどの活躍は出来ませんでした(自業自得)
味噌カツで有名な矢場とんの社会人野球チーム『矢場とんブースターズ』の初代監督を務めたこともあるらしいですが、現在はどこで何をしているのか不明みたいです
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