原題 THE RAILWAY MAN
2013年 オーストラリア、イギリス
鉄道愛好家の初老の男性、エリック・ローマクス(コリン・ファース)
ある日、列車で美しい女性パトリシア(ニコール・キッドマン)と相席となり一目で恋に落ちてしまう
二人の愛は一気に深まり結婚
幸せな結婚生活が始まるはずだったが…
エリックは若い頃第二次大戦に従軍しておりシンガポール陥落の際、日本軍の捕虜となり、泰緬鉄道の建設現場で働かされていた
パトリシアとの結婚式のあと、捕虜時代のあまりにも辛い記憶が夢に現れ彼の心を苛む
日増しに気難しくなり自分の殻に閉じこもるエリック
夫を救いたい一心でエリックと同じ退役軍人のフィンレイ(ステラン・スカルスガルド)を訪ねるパトリシア
フィンレイもエリックと同様、戦争のトラウマから立ち直ってはいなかったが、エリックにはフィンレイたちから隔離された2週間に経験した、目を覆いたくなるような苛酷な体験があるらしいことがわかる
そんな中、彼らの悪夢のような体験に深く関わる日本人通訳・永瀬(真田広之)が今も生きており、自らが戦地で捕虜やアジア人労務者に強いた非人道的な扱いに対する巡礼のため、タイに滞在していることを知る
トラウマから立ち直るためには、永瀬と向き合うことが必要と考えたエリックは戦後50年の時を経て、ひとりタイへと旅立つ
エリックと永瀬が対峙するクライマックスは静かでありながら圧倒されます
心に傷を負っていたのはエリックたちだけでなく永瀬も同じでした
同じ時間を共有した二人が対面し、後悔や苦しみを吐露し合ったことで、やっと過去と決別し、新たな人生に進む出発点に立つことができました
帰国後何通か手紙のやりとりをした後
妻を伴い再びタイを訪れたエリックと永瀬は涙ながらに抱き合うのでした
あれほどに酷い仕打ちを受けたエリックでも永瀬を許すことが出来ました
人はそうやって人を許すことができる力があるのです
原作は、エリック・ローマクスの自叙伝「THE RAILWAY MAN」
実話に基づいています
エリックと永瀬は、その後も長く友情を育んだそうです
永瀬さんは2011年に死去
エリックも映画の編集中に亡くなったそうです
戦争という狂気が引き起こす非人道的な行いは日本人に限ったものではないでしょうが、日本人としては観るに堪えない辛い場面も多く出てきます
しかし、現実にあったこととして認める必要はあるでしょう
本作を見終わった後、実在の2人が会話している動画を見ました。
ひたすら謝る日本人と、穏やかにほほ笑む英国人の姿が、映画よりも印象に残りました・・・
>ひたすら謝る日本人と、穏やかにほほ笑む英国人
容易に想像できますね。
戦争が引き起こす悲劇が地球上から無くなる日は来るのでしょうか…。
この二人は、言わずとも通じるお互いの辛い心情を確認しあうことで、過去の呪縛から逃れることができたのかもしれませんね。
最も会うべきでない二人のようでいて、実は最も対峙すべき二人だった・・・。
私、真田広之さんに「武士」を観ました(^_^;)
待っただけに真田さん登場後の二人の対峙場面は凄かったです。
軍の命令には逆らえないし、当時はそれで当然と思っていた(思い込んでいた)のでしょうが、それにしてもあの拷問は凄まじい…。
武士魂があったから、その後タイで暮らすことが出来たのでしょうか。思い返すに、永瀬役は真田さんしか考えられませんね。