朝日新聞出版
2023年7月 第1刷発行
243頁
ありふれた一日のはずだった、のに
眼の前の世界が不意にぐらりと揺らぐ瞬間を、さわやかに、艶めかしく、ユーモラスに描き出します
「雨の中で踊る」
コロナ禍中にリフレッシュ休暇を取らねばならなくなった会社員の男性
予定していた旅行もできず家で過ごす日々
妻の勧めでフットマッサージに行くはずが思い付きで海へ行くことにします
「Dahlia」
時代のニーズが産んだ産業「見舞い代行業」勤務の女性
今日もダリアの花を持って目当ての女性のお見舞いに出かけます
「太陽」
原因不明の激しい歯痛に悩まされ、初めての歯科医院を訪れた女性
歯の求めていることが読めるという不思議な歯科医の言葉「原因は歯ではなく心にある」に従ってストレスの原因を探ります
「獣の夜」
友人の誕生日に仲間うちでサプライズパーティを開く計画をたててていたものの、ハプニングの連続で会場に行けず、友人と2人でジビエ・フェスタへ行くことになった女性
「スワン(『ラン』番外編)
引き籠っていた女性が恋人から就職祝いにもらったスワンボートに乗って沼に漕ぎ出すと…驚くことに女性の心の『澱』が見えてきます
「ポコ」
愛犬を喪った家族のその後
「あした天気に」
思い付きで、てるてる坊主を作った男性
その夜、白雲の上にあるテルテル王国で国王であるテルテル103世から王国の受難を切々を訴えられるというシュールな夢を見ます
なんだ、この夢…
短編集とも知らず、タイトルと表皮カバーからハードな内容かと思いきや
ファンタジーあり、思わず微笑みたくなる素敵な短編集でした
久しぶり(多分10年以上)の森絵都さん
そうそう、こんな小説を書く方だったと思い出しました
「スワン」が「ラン」番外編とのことにて、次の森さんは「ラン」にしようと思ったら2008年に読んでいました
全く記憶にないので再読します
良かったです。
「全体のトーンは温かい。どの話も途中でクネッと捻じれるのですが、その捻じれっぷりが良いのです、なんか奇妙で不思議、そしてどこかクスッとするような可笑しさ。」
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/32204197.html
ちなみに『ラン』も2012年に読んでいますが、こちらは余り良い感想では無かったようで・・。
http://todo23.g1.xrea.com/book/keyword.html?key=9784041001653
多くの作家さんがおられますが、お一人お一人個性があってすごいなー、と思います。
森さんは時々読もうかな、程度な作家さんですが悪くないですね。