「私というパズル」
原題 PIECES OF A WOMAN
2020年 カナダ、ハンガリー、アメリカ
【Netflix】
パートナーであるショーン(シャイア・ラブーフ)との間に授かった赤ん坊を助産師イヴ立会いのもと自宅出産の直後、悲劇に見舞われた女性・マーサ(ヴァネッサ・カービー)の苦悩と再生を描きます
すぐ死んでしまった赤ん坊、対立の絶えないパートナー、高圧的な母との関係に苦悩するマーサ
やがて、法廷で助産師イヴと対峙することになります
舞台となる冬のボストンの雪雲に覆われた重苦しい空気の下
どうしようもない喪失感から逃れられないマーサはどのようにして再生に向かうのでしょう
始まりが底辺なので後は上昇するのみですが、この物語が訴えかけてくる、女性が生きるうえでの障がいや苦悩、生き方そのもにまつわる諸問題はキツかったです
登場人物の誰かに入れ込むとマズいと思い極力客観的に観るように努めました
赤ん坊の死後、マーサはしょっちゅうリンゴを食べています
その理由に泣けました!
ラストシーンは明るい空の下、リンゴの木に登って遊ぶ少女
マーサが本当に立ち直ったことが分って嬉しくなりました

「わが谷は緑なりき」
原題 HOW GREEN WAS MY VALLEY
1941年 アメリカ
【BSプレミアム】
炭鉱で働くモーガン家の人々
主人公は10歳になる末っ子のヒューで、成長した彼が思い出を語る形で物語は進みます
父・ギリムと兄たちや町の人々が得る収入は十分で平和で穏やかな日々を送っていたのですが、経営者が労賃の値下げを断行したことから家でも町でも分断が起こります
ヒューの進学、姉と牧師の叶わぬ恋、落盤事故による父の死
楽しかったあの生活はもう戻ってこないのでしょうか
理不尽に耐え、愛する人と共に生きようとする人々の姿を優しく、シンプルに描きます
辛く悲しいことはあったけれど優しい家族と牧師に慈しまれて育ったヒュー
きっと心優しい大人になったのでしょうね

「おばあちゃんの家」
原題 THE WAY HOME
2002年 韓国
【Amazon Prime Video】
7歳になる都会育ちの孫と山村で素朴な生活を送る77歳の口のきけない祖母のひと夏の心の交流を描きます
母親の都合で無理やり田舎に預けられた孫
祖母に対する態度は酷いものですが、彼も寂しかったのでしょう
まだ狭い世界しか知らない子供に、かろうじて電気はきているもののテレビもラジオもない祖母の暮らしを理解できるはずがありません
村の女の子に仄かな恋心を抱くも、彼女にしたら特別でもなんでもない一人のよそ者の男の子にしか過ぎず…
想像はつきますが、祖母の無償の愛に気づき始めた少年は、母親が迎えに来る日が決まり文字が書けない祖母の為に「絵葉書」を何枚か残します
体調が悪い時には、この絵葉書を僕のところに送って、すぐ見に来るから、というわけです
ラスト10分、わかっていても泣かされました
祖母を演じたのはロケ地の山村に実際に暮らす方だそうです
坂道を同じペースで確実に上る様子は逞しく、腰の曲がった高齢者とは思えませんでした
そういえば自分も子供の頃は祖母に随分無茶なことを言ったりやったりしたなぁ…
あの頃の祖母は今の自分より若かったはず
今さらですが謝りたいです

「17歳のカルテ」
原題 GIRL,INTERRRUPTED
1999年 アメリカ
【Netflix】
17歳のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は大量のアスピリンを飲んで自殺を図り、親の勧めで精神科に入院します
診断は“境界性人格障害”
情緒不安定で著しい衝動性を持つ病気でした
しかし、同じ病棟の様々な病の少女たちとの交流を通して、やがて自分の心を見つめ直し立ち直っていきます
中でもスザンナの心を捉えたのは病棟のリーダー格で何度も入退院を繰り返しているエキセントリックなリサ(アンジェリーナ・ジョリー)でした
アンジェリーナ・ジョリーはこの演技で第72回アカデミー助演女優賞を受賞し一気にスターダムを駆け上がります
実話に基づくとのこと
心の病は難しいです
苦しく辛くても自分自身に向き合うことで「光」を見出す日がくることを諦めないで欲しいと思います
スザンナが入院時と退院時に利用したタクシー運転手が同じ人でね
彼がまたスザンナを外の世界に運んでくれると思えて嬉しくなりました
病院のスタッフリーダーにウーピー・ゴールドバーグ
手堅い配役でした

「ジョー・ブラックをよろしく」
原題 MEET JOE BLACK
1998年 アメリカ
【Netflix】
大富豪パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)の誕生日パーティの数日前、ひとりの見知らぬ客が訪ねてきます
ジョー・ブラック(ブラッド・ピット)と名乗る男は実はパリッシュを迎えに来た死神で、ここ数日パリッシュを観察していて人間世界に興味を持ち、彼を案内人にしばらく地上世界に留まることにしたのでした
パリッシュの次女スーザン(クレア・フォラーニ)はジョーの姿を見て驚きます
彼は、勤務先の病院近くのカフェで意気投合した青年に瓜二つだったのです
それもそのはず、ジョーはその青年がスーザンと店の前で別れてから交通事故に遭わせその肉体を借りて地上に降りてきたのです
死期が近いことを知ったパリッシュは自分が一代で築いてきた会社を失うのが惜しくなり契約成立間近だった合併話を断ってしまったことで、スーザンの未来の夫と目していた部下に裏切られ役員会で社長解任の決定が下されます
盛大な誕生日パーティの後に社長解任の発表と、死神と共にあの世に行くことが決まったパリッシュは自分の人生を振り返ります
そして死神=ジョーは人間というものを理解し始めます
見所はなんといっても美しいブラピですが、アンソニー・ホプキンスの家族を思う偉大で素敵な父親の姿が印象的でした
最後はどうなるかって?
それは観てのお楽しみ♪
美女を泣かせてはいけません

この映画も繰り返し見ましたが、見るたびに自分の感想が変わるのも面白いです。
最近は老人の立場に感情移入してしまいますね~。
https://blog.goo.ne.jp/mysketchbook/e/a67b5b815ba90f460790b07d62bcb567
シンプルで伝えたいことが分りやすくて好いですよね。
それと、日本は戦中戦後映画どころではなかったのに欧米ではこんな映画が作れたんだなぁ、と国力の差、文化の違いを思ってしまいます。
URLありがとうございました。