日本経済新聞出版
2022年12月 第1刷
441頁
いつもの通勤電車ではなく、反対側の下りホームにやってきた列車に乗って、知らない場所へ行ってしまいたい
月曜の朝、そんな思いに駆られた野崎修作は下りの急行に飛び乗り終点の小さな駅で下車
目の前にどでんと迫る山に登ってみようと、駅前の老婆が営む雑貨店でハムカツサンドとメロンパンと缶ビールを買って意気揚々と向かいます
辿り着いた草原で気分よく寝転がっているうち、うたた寝していたようで夕闇が迫っていることに気づき大慌てで駅に戻り、無事自宅に帰った…はずなのですが…
何かがおかしい
街の風景も、自宅も、妻も、会社も、飲食店のメニューも…ラム丼って何?
全く違うわけではないけれど、少しずつどこか変…
変なのは自分なのか?
パラレルものです
山から帰ってきたら別の世界に飛んでいることに気づいた野崎は元の世界に戻ろうと、再び下り列車に乗り同じことを繰り返します
やれやれ、と思ったのも束の間
そこはまた別の世界で…
都合3+1の世界が描かれます
一つめと二つめの世界の価値観の違いが面白いです
私たちが暮らす現代社会のある部分をそれぞれ強調したような感じでしょうか
三つめは隣国である半島の北半分と同じ政治形態になっている世界で、これは勘弁願いたいところです
あり得ないような経験を通して、偶然や些細な選択の違いが人生を大きく変えてしまう、国家も同じなのだろう、と気づく野崎
やっとの思いで元の世界に戻れた…と思ったら…
ありゃぁ~、でした
駅前の雑貨店店主・照子さんの物語が切なかったです
軽いファンタジーもののように見せながら、荻原さんの思うところが存分に詰め込まれた内容でした
軽く、ですがメッセージ性が強いところもあるので人によってはつまらないかもしれません
期待しすぎず読むのが良いかも^^
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/30686455.html
荻原浩さん、読んでみました、で(#^^#)
荻原浩さんの「ワンターランド急行」のレビューをされていますので、コメントしたいと思います。
何時もの駅の前には、見慣れないモニュメント時計があり、真正面にあるはずのパチンコ屋が無くなっています。
家には妻の美冬がいましたが、何か会話が噛み合いません。
翌日、仕事に出掛けましたが、電車の中では誰もマスクを付けていません。
会社の会議でスカイツリーの話をしても、誰もその存在を知りません。
主人公の野崎は、まず最初に、記憶に関する病気を疑います。
でもここが、自分の住んでいた世界ではなく、よく似た別の世界だという事に気付きます。
そこで、前と同じように反対側の電車に乗り、元の世界に戻ろうとしますが、今度も別の世界に着いてしまいます。
ここでは元カノが、妻になっていて、子供までいます。
二つ目の世界で妻の美冬は、新興宗教の巫女をしていたり、三番目の世界で妻だった高瀬菜緒は、野崎と離婚しようとしている様です。
このあたりは、面白おかしく読めるのですが、その次の世界は怖いですね。
日本が東と西に分かれていて、兵隊が跋扈していて、それまでの雰囲気とは全然違います。
でもそんな中で、よろづ屋のおばあさんと出会います。
この昭子さんという老婆も、大分昔に違う世界からやってきており、守男さんという男が元の世界に帰ろうとしていた事を知ります。
現実逃避のために、違う世界に行くというのは、ある意味、希望でもあると思います。
ちょっとずれた世界、帰る事ができるのなら行ってみたいですね。
訪問&コメントありがとうござます。
>ちょっとずれた世界、帰る事ができるのなら行ってみたいですね
夢の中だけなら良いかもしれませんが、現実には帰ることができたとしても、あまり…ですねぇ。