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吉田修一「犯罪小説集」

2025年03月13日 | や・ら・わ行の作家


角川書店
2016年10月 初版発行
331頁

人間の深奥に潜む弱く歪んだ心
どうしようもなく罪を犯してしまった人間と、それを取り巻く人々の業と哀しみを描ききった、実際に起きた事件の影が差す珠玉の5編

「青田Y字路」「曼殊姫午睡」「百家楽餓鬼」「万屋善次郎」「白球白蛇伝」

どれも事件の“真実”には迫らず、犯罪が起きるまで、起きてから、犯罪の周囲をめぐります
それは真実であるかのようで実はフェイクに過ぎないのかもしれません

吉田さんの描写により、人間とはそういうものなのだと犯人や彼らを取り巻く人々の気持ちが理解できてしまう不思議
これこそが小説の醍醐味ですね

「青田Y字路」「万屋善次郎」を原作にした映画「楽園」
機会があったら観たいです

「万屋善次郎」で、善次郎は自宅前にマネキンを並べていて気味悪がられています
我が家の近所にその通りの家があって随分と気味悪がられていたものです
今は駐車場になっていますがあれは何の目的だったのか、いまだに謎です


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