朝日文庫
2018年12月 第1刷発行
解説・河合香織
493頁
刑事裁判の補充裁判員になった理沙子
まもなく3歳になる娘と夫と暮らす専業主婦です
世間を騒がせた乳児虐待事件の被告人である母親をめぐる証言にふれるうち、彼女の境遇に自らを重ねていくのでした
解説の河合香織さんが書いておられるように
この小説は一部、自分のことを書いているように感じました
些細なことが先入観や思い込みからデフォルメされ誤解され、その齟齬は広がり、それが人を追い詰めていき、取り返しのつかない場所に行き着く…
感情移入度100%まではいきませんでしたが、理沙子が子供や夫、夫の親族に感じたことに共感できる部分があって辛かったです
まるで、自分も裁判員裁判に参加しているかのよう
小説を読んでいるのではなくリアルな事件報道を見ているかのようでした
読み終えて疲れを感じました
ただ、過去に学んだはずが忘れかけていたことを思い出したのは収穫でした
意識せず自分が発した言葉が他者を傷つけることがある
自分の見方や考え方次第で他者を悪にも善にも置ける
角田光代さん、スゴイ作家さんですね
>この小説は一部、自分のことを書いているように感じました。
・・・わかります。角田光代さんは、自分の心の中の見たくないところをグワーンと引っ張り出して見せつけるので、怖い作家だと私は常々思っています。だからなるべく読まないでいたいのに、なぜか手が伸びてしまう・・・。
飛んで火に入る夏の虫、みたいなもんですかね。
契約していないので観られないのが残念です。シネフィルWOWOWかチャンネルNECOでの放送を気長に待ちますワ。
角田さんから人前で指摘されるのはカンベン願いたいですが、一人の読書でなら喜んで受容れましょう(笑)
ワタクシ、たまに厳しく言われないと人に迷惑かけるようなことを言ったりやったりする可能性大ですし。
怖いほど人間の内面を描いて角田さんご自身は大丈夫なのかしら、なんて余計な心配をしてしまいます。