文藝春秋
2011年1月 第1刷発行
245頁
信長の命により息子の信康を自刃させてしまった家康。日々鬱々として過ごす家康は、ある日名案を思いつき、臣下の服部半蔵を安土城に派遣する。果たしてその結果は?表題作「安土城の幽霊」ほか、一つの小さな茶壷にまつわる天下取りの因縁を描いた「つくもなす物語」など著者初めての中篇歴史小説集。秀吉の秘技、家康の妄執、天下人たちの意外な素顔を巧みに描く本能寺三部作外伝
「藤吉郎放浪記」
木下藤吉郎(豊臣秀吉)の浜松時代から信長に使えるまでの逸話を秀吉自身の回顧録のような形で描きます
出自をひた隠し、信長に認めてもらうよう賭けにでる場面には大河ドラマ「どうする家康」とはまた違う緊張と迫力がありました
浜松時代に一度結婚したものの3日で妻に逃げられた、というのは史実なのでしょうか
仲人役を務めた松下源太左衛門長則の手相占いは当たっていたようで…
「安土城の幽霊」
信長の命により長男の信康を自刃させてしまった家康
日々鬱々として過ごす家康は、幽霊を見せて信長を怖がらせてやろうという案を思い付き、臣下の服部半蔵を安土城に派遣します
最初は些細な悪戯にすぎなかったのが、実は信長は本物の幽霊に悩まされていたのでした
「つくもなす物語」
足利幕府第三代将軍、足利義満の時代から明治維新、現代に至るまで
明の到来物で、持ち主に栄華と同時に不幸も与え、割れても焼けても復活する名器・つくも茄子の流転を描きます
3作とも、面白い角度から描かれています
加藤さん初読
「本能寺三部作」など、他作品にも興味津々です
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