「向かい風」
原題 DES VENTS CONTRAIRES
2011年 フランス、ベルギー
【Netflix】
売れない作家・ポール(ブノワ・マジメル)は家族が寝静まった深夜に執筆活動をしており朝はクタクタなのに医師である妻のサラ(オドレイ・トトゥ)に子供たちを学校に送るよう頼まれます
それが原因で口論になってしまいサラは「もう耐えられない」と言い残して出勤していきます
夜になってもサラは帰ってきません
サラの携帯は繋がらず、職場や友人に確認しますが居所は分からないままでした
警察やサラの父親は失踪当日の朝の口論からポールがサラを殺害したのではないかと疑いますが証拠は見つからないまま1年が過ぎ、ポールは2人の子供たちと共に故郷に戻ります
作家活動は休止、ポールの兄が経営する自動車学校の教員をしながら暮らす日々ですが悪いことが重なり八方塞状態でどうにもなりません
しかしポールにも2人の子供にもやがて立ち直りの兆しが見えてきます
田舎の美しい風景とポールが時々思い出すサラとの過去が映し出される演出が上手いです
あれほど愛し合っていた2人なのにサラはどこに消えてしまったのか
全ての出演者の演技が良かったです
なかでもポールの2人の子の母を慕う思いが素晴らしくてもらい泣きしてしまいました
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「仕立て屋の恋」
原題 MOUSIEUR HIRE
1989年 フランス
【WOWOWプラス】
独り暮らしの仕立て屋・イール(ミシェル・ブラン)
腕は良いのですが、同じアパートの住人たちに好かれておらず階上から粉をかけられるなど嫌がらせを受けています
孤独な生活を送る彼の唯一の楽しみは夜、ブラームスを聴きながら向かいの建物に住むアリス(サンドリーヌ・ボネール)を覗き見ることでした
ある日、若い女性がバッグを奪われたうえ殺されるという事件が発生します
刑事はイールに前科があることから彼を疑います
しかし、イールは犯人ではなくアリスの部屋にやってきた犯人=アリスの恋人を目撃していたのでした
初めのうちはイールのアリスへの思慕が異常としか思えず気持ちが悪かったのですが、恋心が本物と分かってからは応援したくなりました
しかし、恋愛経験が乏しく女心が読めないイールは、救いの手を差し伸べたつもりが、したたかなアリスに裏切られてしまうのです
結局、犯人に仕立て上げられたうえ命を落としてしまうイール
何たる理不尽!
しかし、イールはアリスを恨むことはなかったでしょう
僅かな時間でも愛という幻想の世界にいられたことはイールにとって至上の悦びだったに違いありません
その後、イールの手紙を受け取った刑事がどうしたのか…気になるところです
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「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
原題 VICTORIA AND ABUDUL
2017年 イギリス、アメリカ
【Netflix】
1887年、ヴィクトリア女王(ジュディ・ディンチ)の在位50周年記念硬貨の贈呈役に選ばれたアブドゥル(アリ・ファザル)は英領インドから遥々イギリスへとやってきます
最愛の夫を亡くして30年、孤独に心を閉ざしていた女王は、王室のしきたりに臆することなく女王に対し「人」として接するアブドゥルに心を開いていきます
そんな2人を快く思わない周囲の人々が画策を巡らせやがて英国王室を揺るがす大騒動へと発展してしまいます
女王が、統治されている国の、それも身分の低い人間に敬意を払い、友情を深めようとする姿は美しいものです
生きながら空っぽだった女王が喜びを見出していく様子に共感します
しかし、それにしても根回しが必要だったのではないでしょうか
側近たちの警戒感は当然のことです
女王の言葉は絶対、だけで周囲を納得させられるものではありません
アブドゥルと一緒にイギリスにやってきた『小さいインド人』の警告は至極当然と思われます
アブドゥルが女王のお気に入りにならなければ早々にインドに帰れたものを、イギリスの風土に馴染めず異国の地で命を落とすことになるとは気の毒なんてものではありませんでした
女王亡き後のアブドゥルの運命は想像の通り
ドラマタッチのドキュメンタリーと思って観れば悪くはない作品かもしれません
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「ミッドサマー」
原題 MIDSUMMER
2019年 アメリカ
【Netflix】
不慮の事故で家族を失ったダニー(フローレンス・ピュー)は大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れます
彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加でした
特殊なコミュニティに入り込んでしまったダニーたちは彼らの文化や価値観に大きく混乱させられていきます
民俗学の研究対象としてその文化を受け入れよう云々以前の話
明らかに異常なカルト集団です
ホラーにしても随分と大仰な作品を作ったものです
私は、怖さより理解不能が先に立ちました
集団の中で一組の老夫婦?が死を迎えるのですが男性役が「ベニスに死す」の美少年・タージオを演じたビョルン・アンドレセンと知り驚いたのなんのって
若い頃はハンサムだっただろうと思ったのですがまさかのタージオだったとはね~
彼の役者人生はどんなものだったのか調べたら、幼いころから家族の愛に恵まれず、祖母が生活苦からその整った顔立ちを利用せんと役者の世界に送り込んだのだとか
「ベニスに死す」以降も大人の食い物にされ散々な人生だったようです
彼のドキュメンタリー映画が今年12月に公開されるとのこと
う~ん、観たいような観たくないような
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「ベン・イズ・バック」
原題 BEN IS BACK
2018年 アメリカ
【Netflix】
クリスマスイヴの朝、薬物依存症の治療施設で暮らす19歳のベン(ルーカス・ヘッジズ)が突然自宅に帰り家族を驚かせます
母親のホリー(ジュリア・ロバーツ)が久々の再会に喜ぶ一方、妹のアイビーと継父のニールは、ベンが何か問題を起こすのではないかと不安を抱きます
両親はイヴの一日だけ家で過ごすことを認めますが、一家が教会から帰宅すると家の中が荒らされ愛犬が消えていました
昔の仲間の仕業と確信するベンは愛犬を取り戻しに心当たりを探しまわり、後を追ったホリーは息子の人生を変えた恐ろしい事実を知ります
息子を全力で守ると決心するホリーでしたが、母に迷惑をかけられないと考えるベンは姿を消してしまいます
愛犬を探すところはホラーのようで肩に力が入りました
母の愛を知っているからこそベンは嘘をついてまで母の前から姿を消したのです
逆にベンの為なら自らも法に外れたことをするホリー
親の業です
タイトルは冒頭の家に戻ってきたベンとラストのベン、両方の意味を含んでいます
薬物中毒患者を救い出すことの難しさに頭を抱える思いでいっぱいになりました
母と家族と愛犬の為にも、ベンが立ち直る日が来ることを願います
ルーカス・ヘッジズは本当に将来が楽しみです
ジュリアロ・バーツ、以前はあまり好きではありませんでした
1999年公開の「グッドナイト・ムーン」で恋人の娘だったかに「あの分厚い唇」と揶揄されていたように、あの大きなお口にベッタリと塗られた口紅が苦手だったのです
でも、最近は落ち着いた役柄が増えたせいかお化粧も薄くなってきてほとんどスッピンでもその美しさがわかるようになってきました
益々のご活躍を期待します
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大きな唇に真っ赤な口紅、私もアンジーとともに若い頃は苦手としてました💦
でも、この映画見て、やっぱりすごい女優さんだったんだ~って思いましたよ。あ、『ワンダー 君は太陽』のロバーツも良かったです。
「ヴィクトリア女王 最期の秘密」は未見です。
ジュディ・ディンチのファンなので見てみたいです。
アンジーは今でもちょっと…。
ワンダーも感動的でしたね。子供への愛情&自分のやりたいこと、とタフな女性でした。
Netflixでルーカス君&ニコール・キッドマンの「ある少年の告白」を観始めたところです。どんなルーカス君が観られるかワクワクしています。
「ヴィクトリア~」
老いをさらけ出した演技はさすがジュディさんでした。物語はイマイチと思いましたが鑑賞されても無駄ではないかと思います^^