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榎原雅治「中世の東海道をゆく 京から鎌倉へ、旅路の風景」

2022年07月29日 | 教養・学習本


吉川弘文館
2019年2月 第1刷発行
235頁

街道が整備された近世と違い、山や河原、海際をたどる中世の旅は残酷だった
貴族の旅日記を主軸に、地理学・地震学・地質学や潮の干潮の研究成果も活かし、当時の景観を復元
地形改変に挑む人々の営みにも触れる

序章 干潟をゆく-鳴海
第一章 旅立ち-京・近江
第二章 乱流地帯をゆく-美濃
第三章 湖畔にて-橋本
第四章 平野の風景-遠州平野・浮島が原
第五章 難所を越えて-天竜・大井・富士川・興津
第六章 中世の交通路と宿
第七章 中世東海道の終焉
補論


貴族の日記の細部表現から書き手のいた場所、年月日、時刻を確定したうえで、データによってその日、その時刻の太陽や月齢、潮の高さなどを推定
川の流路の変遷と地震による隆起、沈降の関係、ボーリング調査によって得られる堆積物のデータと水辺の関係などを検討した結果、そこに書かれている景観は実風景に忠実であることが判明
そうして明らかになる中世東海道の風景は、驚くほど現在とは違うものでした

序章と第二章、三章は地理に明るい場所のことで大変興味深く読みました
岐阜県と愛知県境を流れる木曽川や浜名湖の変容は驚きの連続です

第六章と七章の五十三次が整備される以前、人々はどのような旅を行っていたのか、少しでも円滑な旅のために、どのような工夫がなされていたのか、には感心するばかり
それらをベースに江戸時代に街道が、明治以降に鉄道や道路が整備され現代に至るのです

面白かったです



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2 コメント

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中世東海道の風景 (kei)
2022-07-29 11:35:14
鎌倉へ向かうこんにちは。

ちょうど昨日、『江戸人と歩く東海道五十三次』(石川英輔)を
アマゾンで注文したところでした。

中世の旅の様子、工夫、風景…、
こちらもちょっと気になります。
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keiさん (こに)
2022-07-30 10:15:28
資料の関係で、テレビや映画の時代劇は江戸時代でも中期~後期が多いと聞いたことがあります。
江戸時代でも初期の頃やそれ以前は庶民も含め人々のの暮らしや移動がどんなだったか、興味が湧きますよね~。
何だったかに、室町末期の社会情勢が混乱する中フランシスコ・ザビエルが西国から京都まで、よくぞ無事に旅が出来たものだ、と書いてありました。
確かに、です。
で、何で読んだのか記憶にないのが情けないです。
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