「ルド」はお兄さんなんだから、仲よくしてね。
…なんていう都合の良い期待は すぐに打ち砕かれた。
「ルド」は以前話した「たま」のように、だれかの面倒を見る なんてことはからきし…だった。
「ちょろ」はすごい問題児だった。
朝ごはんが終わると、なぜか部屋中走り回る。
弾丸のようにすごい勢いで…。「なんなんだ!!」
勢いあまって、ソファーの隙間に足をはさんで、脱臼しそうになったこともあった。
「この子、人になつくのかな~?」と思うくらい人に甘えない。
…というより、人間に興味がないのだ。
遊ぶこと、動き回ることが、楽しくて楽しくて仕方ないのだ。エネルギーがすべてそこに注がれている。
だから飼い主なんて眼中にないのだ。
他にも困ることがあった。
家中の壁や柱で爪とぎする。 ボロボロになった…。
あちこちに”におい付け”する。部屋中雑巾を持って匂いを頼りに後始末が大変だった。
叱っても、ほとんど効果がない。 何しろ人間なんて怖くない。
こんな風に野性児みたいだった。
「ルド」はその点お上品だった。
爪はちゃーんと用意された段ボールの爪とぎでとぐ…
決まった場所で用を足す。粗相はしない。
うーん、育ちの差…?
「ちょろ」はエサはキャットフードしか食べない。
「ルド」はグルメだ。お刺身、お肉、お蕎麦、刺身のつまのダイコンまで、人間の食べ物は一応試してみる。
だから、夫の晩酌にも付き合う…。
「ルド」は野性児の「ちょろ」を冷ややかな目で見ていた。
「ちょろ」を避けて、一人でいることが増えた。
確かにこの2匹、うまくいく訳ないよな~。