「ちょろ」が、5,6才の頃だっただろうか。
トイレに座ったままでじーっとしている。
表情が固まっている。
「具合が悪いのかな。」直感的にそう思った。
ただならぬ雰囲気を感じて、すぐに病院に連れて行った。
診断は“尿路結石”だった。
オス猫に多いらしい。
今までメス猫ばかり飼っていたせいか、初めて聞く病名だった。
導尿してもらい、注射して帰る。
しかし、しばらくは、毎日導尿で通院することになった。
放っておくと、数時間、数日で死に至ることもあるという。聞かされてぞっとした。 早く気が付いて良かった。
それから、10日間くらい毎日通った。(治療代10万円くらいかかった!)
「ちょろ」にはつらい治療だったのだろう。最後は診察台で震えていた。見るのもつらい。
療法食になった。 …しかし、エサ代が結構高い。
元気になると、気が緩んだ。
pHコントロールしますと書いてある、市販のキャットフードなら大丈夫かな。
大好きなカツオ節もちょっと食べちゃった。
再発した!
油断したことを後悔した。
また通院が始まった。 「ちょろ」は痛くて、怖くて震えていた。
「ごめんね。ちょろ」
「この猫は、緊張しちゃうから入院はかわいそうだね。大変だけど毎日連れてきてください。」と言われた。 内弁慶だもん。
仕事が終わると、嫌がる「ちょろ」をキャリーケースに押し込み、自転車に乗せて通った。特別に休診の日も…。
もう、2度と市販のものはあげまいと心に決めた。
猫の命には代えられない。
「ちょろ」はキャットフードしか食べない猫だったから助かった。「ルド」みたいな雑食猫は大変だろうな…。
病気になって改めて考えさせられた。
…いつも元気でいてくれるとは限らない。今、こうしていられること、当たり前の日々が貴重なんだ。
猫だって、持病を持ってしまうことだってある。
大切な、大切な存在なのだから、つらい闘病も、力を尽くしてあげたいと思う。できれば、本人が苦しまないように…。
そんな覚悟も必要なんだ。