前の日の晩、「ルドルフ」はいつものように夫と晩酌の付き合いをしていた。
夕飯のお蕎麦をもらって、食べていたっけ。
「あれが、最後の食事になっちゃったんだな。」
そう思うと悲しい。
その後、外に出て行ったようだった。
だけど、なぜあんな危ない道を、あんな遠くまで行ったのだろう。
なぜ広い国道なんか渡ったのだろう。どこへ行きたかったのだろう。
「なぜ?」「なぜ?」…が次々と押し寄せた。
だけど、「ルド」にしかわからない。
「ルド」の体を庭に埋めてあげることができなかったのが心残りだった。
何も残さず消えちゃうなんて…。
でも、「ルド」らしい…。そんな気もした。
あんなに、たくさんの思い出があるのに、
家にあったのは、古いピンクの首輪一つ。
(怪我をして、首輪を外してあったのだ。)
今でも、時々思う。
なぜ あの日、あの時間、あの道を私は偶然通ったのだろう。
私は、「ルド」が、”さよなら”を言いたかったのだ と信じている。
最期に、一度、私たちに会いたかったのだ と思っている。
さよなら そしてありがとう。かわいい「ルドルフ」
たくさんの思い出を残して……。