みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0135「あぶない贈り物」

2018-01-08 18:42:47 | ブログ短編

「お姉(ねえ)ちゃん、何やってたの」杏(あん)はじれったそうに帰ったばかりの美鈴(みすず)の手を引っぱった。
 美鈴は靴(くつ)を脱(ぬ)ぐのもそこそこに、居間(いま)へ押(お)し込まれてしまった。そこで杏は少し怯(おび)えたような感じで、居間の中央(ちゅうおう)に置かれた小包(こづつみ)を指(ゆび)さして言った。
「ほら…、それ」
「何なのよ」美鈴はその小包を手に取って、「誰(だれ)からきたの?」
「小林(こばやし)の叔父(おじ)さんよ。ほら、世界中を放浪(ほうろう)してる」
「えっ!」美鈴は思わず手に持った小包を落としそうになった。「う、嘘(うそ)でしょ…」
 美鈴は危険物(きけんぶつ)を扱(あつか)うように、持っていた小包をそっと畳(たたみ)の上に置くと、ゆっくり後退(あとずさ)った。そして、妹(いもうと)と顔を見合わせて訊(き)いた。
「ねえ、お母さんにきたんだよね。私じゃないよね」
「あたし、ちゃんと見たよ。お姉ちゃんの名前になってた」
「何で! 私、いらないよ。あんたにあげるから…、好(す)きにしていいよ」
「いらないわよ。あたし、去年(きょねん)もらったし。それで充分(じゅうぶん)。もう、思い出したくもないわ」
「そんなこと言わないで。お姉ちゃんの言うこと聞けないの!」
「いやよ。お姉ちゃんにきたんだから」杏は美鈴の背中(せなか)を押しやり、「早く開けなさいよ」
「そんな…」美鈴は恐(おそ)る恐る近づくが、途中(とちゅう)で足がすくんでしまい引き返してしまった。
「ねえ、お母さんが帰ってきてからにしない? そうしようよ、ねっ」
<つぶやき>とんでもない珍(めずら)しいものが入っているかも。何が入っているのか興味津々(きょうみしんしん)。
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